2024年11月19日

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東京ミッドタウン八重洲の全容(下)

先行オープンした地下1階の商業施設は13店舗からなる

2023年3月10日にグランドオープンする「東京ミッドタウン八重洲」は地下4階~地上45階からなり、そのうち商業施設は地下1階~地上3階までの低層階に整備される。集積される店舗数は初出店が6、東京初出店が11、商業施設初出店が21、新業態が9店など全57。ターゲットはオフィスワーカーからバスターミナルの利用者、都心生活者、国内外の観光客まで幅広い。

「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」をコンセプトに、「HOSOO」、「CFCL」といった現代および次世代の日本を担うジャパンブランドの店舗から、東京をホームタウンとする14のスポーツチーム・団体のグッズなどが一堂に会す「TOKYO UNITE」などの物販店舗、有名パティシエが手掛ける新店舗「EN VEDETTE LUXE」、東京初出店の寿司の名店「千葉たかおか」といった飲食店舗まで、国内外から注目されるラインナップとなる。

今年9月17日に先行オープンした地下1階には、バスターミナルの利用者を含むツーリストや忙しいオフィスワーカーが短時間で利用できるフロアとして、飲食や食物販を中心に13店舗が集結した。

地元・北海道の旬の魚を厳選して提供する「立ち食い寿司 根室花まる」、創業の地である名古屋の地鶏・名古屋コーチンを使用した親子丼をはじめ焼鳥、手羽先、唐揚げなどを手掛ける鶏料理専門店「鳥開総本家」、神楽坂に本店を構える四川料理専門店・芝蘭の都内初となる担々麺専門店「芝蘭担々麺」、オリジナルポークランチョンミートとたまごを挟んだ沖縄のソウルフード・ポークたまごおにぎりを提供する「ポーたま」、日本酒とのペアリングが楽しめるカフェ&バー「タスプラス」、ブリトー専門店の「フリホーレス」、デリカテッセンの「PARIYA DELICATESSEN」、ベーカリー&カフェの「THE CITY BAKERY」、「スターバックスコーヒー」、オーガニックコスメ&フードの「Biople ORGANIC LIFE」、スマートフォン・タブレット関連製品を揃えた「Anker Store」、ドラッグストア・調剤薬局の「ウエルシア」、「セブン-イレブン」などだ。

幅広いジャンルのレストランが集積される3階(イメージ)

地上1階は「ジャパン・ラグジュアリー」をテーマに、国内外から人が集まる東京・八重洲にふさわしい体験価値を提供する。これまでの日本・東京・八重洲を支えてきたクラフトマンシップを現代に体現するジャパンブランドを集積し、「現代の日本発ラグジュアリー」を提案する。

日本発のライフスタイル&ビューティブランド「AHRES」、初のイートイン併設店舗でチョコレート、ケーキ、焼き菓子などを提供する、清澄白川に本店を構えるEN VEDETTEの新ブランド「EN VEDETTE LUXE」、紳士靴の三陽山長とコート専業ブランドのSANYO COATを展開し三陽商会の品質本位を体現するショップ「三陽山長 粋」、ジェラート ピケのメンズコレクションを取り揃える、ジェラートピケオム直営第1号店となる「GELATO PIQUE HOMME」などが出店する。

そのほか1階には「ONITSUKATIGER NIPPON MADE」、吉田カバンの直営店「PORTER」、オールスクラッチ製法にこだわったベーカリーレストラン「POINT ET LIGNE」、耐熱ガラスメーカーのHARIOが職人の手仕事技術の継承のためにつくり始めたガラスアクセサリーを販売する「HARIO Lampwork Factory」などが入る。1階の店舗数は12。

2階は新しいメイド・イン・ジャパンを提案するフロアとなり、スポーツ、食、アートなど多様な情報に触れながら体験も可能で、東京ミッドタウン八重洲の利用者に東京の新しいライフスタイルを提供する。

東京のスポーツチーム、団体による新ブランド、TOKYO UNITEのライフスタイルショップが全国初出店するのをはじめ、青森生まれのガラスウェアブランド「津軽びいどろ」、確かな技術でワンランク上の施術を個室空間で提供する「Queensway LUX」、「あしたの仕事も頑張れる」がコンセプトのステーショナリーショップ「STÁLOGY」など10店舗が入る。

2階に開設される「ヤエスパブリック」で、新しい立ち飲みスポットとなる「ALLSTANDS」(イメージ)

また、東京の新名所となるような「ヤエスパブリック」が登場する。「人と場所、文化が重なる。新しい八重洲の公共スペース」をコンセプトに、異なる飲食業態が集結した新しい立ち飲みスポット「ALLSTANDS」、バスの待ち時間や買い物のスキマ時間を楽しめる物販・休憩エリア「イチジテイシ」、八重洲の裏路地のようなアンダーグラウンドなエリア「八重洲のロジウラ」の3つのゾーンに飲食と物販を合わせて11店舗が配置され、多様な一人一人が思い思いに楽しめる。

ヤエスパブリックにはミシュランガイド掲載店、ミシュランガイドを目指す全国の超有名ラーメン店が期間限定で出る「RAMEN WALKING」、全国の人気店が八重洲でかき氷のリレーを繋ぐ「かき氷コレクション・バトン」、「異彩を、放て。」をミッションに、福祉を起点に新たな文化創造を目指す岩手県発のアートライフスタイルブランド「HERALBONY」、現代版スピークイージーな会員制バー「SPEAKEASY TOKYO(仮称)」、渋谷のクラフトビールバーが商業施設初出店する「カタラタス ヤエス」などが並ぶ。

3階は東京らしさ(=大衆感、最新感、本物感)を凝縮した、どこにもない東京を演出する飲食フロア。11店舗からなり、50年以上受け継がれてきたローマサバティーニ伝統のレシピで作られる本格イタリア料理を提供する「ラ・テラッツァ サバティーニ」、ミシュランガイドに掲載歴のある超人気ビストロの新店「Aux delices de dodine」、都内に日本酒専門店を展開する酛(もと)グループの最新店舗「酛TOKYO」などが連なる。

「バスターミナル東京八重洲(第1期エリア)」の開業日に行われたバス出発式

先行オープンした地下1階の商業フロアと同時に地下1~2階に開業したのが「バスターミナル東京八重洲(第1期エリア)」。乗降用の6バース(バス停留所)、待機用の3バース、計9バースを備え、開業時には東京駅前周辺の路上などで発着していた約1200便/日の高速乗合バスなどのうち、約550便/日が同バスターミナルへ移行し、新規乗り入れ便の約50便/日と合わせ、約600便/日の高速乗合バスなどが発着する。

付帯設備も整備され、JR東京駅から八重洲地下街などを通って地下直結でのアクセスが可能。案内カウンター、待合スペース、トイレ、授乳室などの設備のほか、物販・サービスなどの店舗も併設し、加えて地下1階に先行オープンした商業施設がバスの待合室に隣接するなど、利用者の利便性は格段に高まった。

東京の玄関口である東京駅周辺、特に八重洲側は各方面に向かう高速乗合バス、空港連絡バスなどが発着する停留所が駅前交通広場前では足りず、周辺の道路上に散在しているため、鉄道などとの乗り換えが不便で、道路上での乗降によって円滑な車両交通および歩行者通行が妨げられるなどの課題を抱える。

こうした課題を解決するために、東京駅前(八重洲口)の市街地再開発事業で地下部分にバスターミナルを整備し、東京駅周辺の路上などで発着するバス停を集約することが計画されたが、約1200便の高速乗合バスなどを収容するには3地区の再開発事業にまたがる規模(20バース)のバスターミナルが必要とされ、難事業だ。

UR都市機構が再開発の進捗に合わせて段階的に3地区のバスターミナルを取得し、バスターミナルの運営のノウハウの豊富な京王電鉄バスが運営することで、3地区一帯のバスターミナル機能の確保が実現した。

3地区の再開発事業とは、東京ミッドタウン八重洲のほか、25年竣工予定の「東京駅前八重洲一丁目東B地区」(地下4階~地上51階、高さ約250メートル、延床面積約22万5200平米)と、28年度竣工予定の「八重洲二丁目中地区」(地下3階~地上43階、高さ約226メートル、延床面積約38万8300平米)を指す。

3地区の再開発事業にまたがってバスターミナルが整備されると、施設全体の規模は面積が約2万1000平米、乗降バースは20バース(第1期6、第2期7、第3期7)となり、全体が完成すると国内最大級の高速バスターミナルとなる。

なお、第2期エリアの完成は25年度、第3期エリア完成が28年度が予定されている。

(塚井明彦)

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