昭和西川、サステナブル素材や羽毛布団のメンテナンス提案でSDGsへの姿勢を強化
昭和西川は来春夏シーズン、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを強化する。以前から環境や地球にやさしい素材を用いるブランド「エシカルウエア」を展開していたが、来春に再生ポリエステルや再生繊維「キュプラ」とオーガニックコットンを組み合わせ、環境へのやさしさと機能性を両立させる商品を発売。さらに羽毛布団やムートンを定期的なメンテナンスによって長く使用してもらう「100年羽毛」、「50年ムートン」という考え方を提唱し、持続可能な社会に向けた新たなスタイルを提案する。
エシカルウエアは、2020年春にスタート。「地球によいこと。暮らしに良いこと。」をコンセプトに、オーガニックコットン、ヘンプ、キュプラ、再生ポリエステルなど、地球環境にやさしく、生産者の負担も軽減できる素材を用いた商品を展開している。
来春に発売する商品のうち、中心となるのは4種類。どの商品も環境への配慮だけではなく、デザインや肌触りにもこだわっている。
「ジャカードパイルガーゼケット/シースコア」は、2重構造糸「クイックドライコットンエコ」をパイル部分に使用したガーゼケット。糸の芯(シース)部分にはペットボトルを原料としたリサイクルポリエステルを使用。鞘(コア)部分にはトルコのイズミール地方で栽培されたオーガニックコットンを採用しており、滑らかな肌触りとなっている。サイズは140×190cmで、価格は1万4300円。
「リバーシブル ガーゼケット/レリーフ」はオーガニックコットンとキュプラを使用する。キュプラは綿糸に使用されない綿の種(コットンシード)に付いた産毛部分の「コットンリンター」を100%原料にしている。天然由来の原料のため、廃棄後は自然に還る。湿気をコントロールする機能にも優れており、夏のムレやべたつきを抑える。サイズは140×190cmで、価格は1万1000円。
「ウォッシャブル 合繊肌掛けふとん/トレース」は側地にポリエステルを85%、綿を15%使用し、ポリエステルのうち30%はリサイクルポリエステル糸「REPREVE?」を使用する。中わたは、抗菌・防臭加工に加えて通気性、弾力性に優れたリサイクルポリエステルわた100%を使用。リサイクル素材を用いることで、石油などの天然資源、製造時に排出される温室効果ガス、その過程で使用する水やエネルギーの削減が可能となり、環境負荷の低減に貢献する。シングルサイズ1枚で500mlペットボトルおよそ26本分をリサイクルする換算。サイズは150×210cmで、価格は1万1000円。
「羽毛ふとん/トレース」も側地に「REPREVE?」を一部使用し、温室効果ガスやエネルギーの削減に貢献する。詰めものにはフランス産ホワイトダウンを使う。サイズは150×210cmで、肌掛けふとん(0.3㎏)が2万4200円、合掛けふとん(0.8kg)が4万4000円、本掛けふとん(1.2kg)が6万500円。
もう1つのサステナブルな取り組みとして、「100年羽毛」、「50年ムートン」といった考え方の提案を始める。これは羽毛やムートンが天然資源であることから、羽毛布団やムートン製品を定期的にメンテナンスして長期間使用することを、「環境にやさしく持続可能な社会にふさわしいスタイル」として推奨する。どちらも購入した店舗で承り、専用の工場でメンテナンスを行う。
対象となる羽毛布団は、同社の商品の中でも厳しい品質基準に合格した上質なもののみ。認定された羽毛布団は下げ札を付けてPRし、販売員もその旨やメンテナンスについて説明する。同社は目安として、購入から3~5年経ち、汚れやにおいが気になるときは通常のクリーニング、ふくらみが減ったり羽毛が出てきたりした際は「プレミアムメンテナンス」を推奨。プレミアムメンテナンスは高い加工技術を持つ工場で行うリフォームで、ダウンの汚れを徹底的に除去するほか、新しく高品質なダウンを充填し、買い上げ時と同規格の新しい側地に交換する。
ムートン製品も同様に、POPや販売員の接客で紹介。メンテナンスでは肌触りや弾力性、保温性などを蘇らせるクリーニングや傷んだパーツの交換などができる。
現状は必ずしもSDGsへの意識が高い顧客ばかりではないという。しかし、既に関心の高い客への訴求だけでなく、寝具を通して新たにエコやサステナブルといった観点に触れてもらい、SDGsへ興味に繋げていきたい考えだ。