2024年11月19日

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前月に続き2桁の減収、地方・郊外店が食品軸に健闘

大手百貨店4社の12月売上高は、免税売上高の継続的大幅減に加え、新型コロナウイルス感染症の第3波によって入店客数が落ち込み、いずれも2桁の減収を強いられた。ただ、増収店舗が散見された地方都市や郊外立地が健闘しており、前月よりマイナス幅を改善した百貨店もある。引き続きラグジュアリーや宝飾、時計、美術などの高額品が堅調だった。

髙島屋(国内百貨店子会社含む)は10.6%減となり、前月(11.6%減)よりも1ポイント改善した。前月に続き地方店が健闘。岐阜と高崎が増収を遂げ、岡山は1%台の微減にとどめた。加えて首都圏郊外の玉川、立川も微減まで復調してきた。対照的に大阪、新宿、京都など大都市圏で免税売上高規模が大きい店舗の減収が足かせとなった。免税売上高は87.6%減で、これを除いた店頭売上高は8.8%減(既存店7.0%減)までマイナス幅が縮小する。また、2桁伸長が続いているクロスメディア事業は引き続き食品がけん引し、高伸長(22.5%増)を遂げた。法人事業も前月(1.3%増)の伸長率を上回り、堅調な業績(9.3%増)を遂げた。商品別では家庭用品がプラスに転じ、構成比は低いものの家電が約3倍でけん引し、家具とその他家庭用品も健闘した。雑貨はマイナスだが、美術・宝飾・貴金属が前月(12.9%増)程ではないものの、プラスだった。

三越伊勢丹(国内百貨店含む)も前月(12.8%減)よりもマイナス幅が0.2ポイント改善し、12.6%減。ただ首都圏(5店舗計)は平均を下回る13.4%減となり、前月(13.3%減)とほぼ同水準。このうち首都圏基幹3店舗計は13.8%減となり、免税の減少が大きい銀座の減収が響いた。対して地方都市の国内グループ店が健闘しており、11.4%減。高松は前月(1.7%増)に続き増収(5.7%増)を遂げた。商品別ではラグジュアリーブランドのハンドバッグ・靴・財布や宝飾品・時計などの高額品が引き続き堅調で、中でも伊勢丹新宿や三越日本橋で顕著だった。オンライン売上高は、おせちやセール特集がけん引し、前月(約1.4倍)とほぼ同水準の約1.5倍になった。

阪急阪神百貨店は、前月(13.7%減)よりもマイナス幅が広がり、16.5%減。阪急本店が前月(13.8%減)より4.1ポイントも減少幅が広がった影響が大きい。全店の入店客数も前月(26.7%減)よりもさらに低下し、33.2%減となった。ただ支店は前月に続き比較的健闘。合計売上高は10.8%減となり、中でも郊外店が7%減でとどめた。郊外店は食品(1%減)への支持が高く、大井食品館は0.3%の増収を遂げた。歳暮は店頭受注が苦戦したものの、ネット受注でカバーして前年並みを確保。おせち商戦はネット受注や支店を中心に客数が増え、売上高は前年比16%増だった。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)も前月(20.6%減)より1.5ポイント改善し、19.1%減。94.6%減だった免税売上高を除いた国内顧客では前月(11.9%減)とほぼ同水準の11.4%減まで小幅なマイナスになる。店舗別では、免税売上高が少ないうえ、駅立地ではなく固定客が多い神戸が6.7%減となり、前月(1.1%減)に続き、基幹百貨店の中では健闘し、名古屋店も5.7%減と軽微に収めた。品目別では、全品目がマイナスだが、ラグジュアリーブランドや美術が前年実績を上回り、宝飾品も堅調だった。