2021年5月 全国百貨店売上高
3カ月連続増も、19年比は43%減、前月より厳しさ増す
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・191店)の5月売上高は2465億円余で、前年比(店舗調整後)は65.2%増となり、3カ月連続で前年実績を上回った。前月(167.0%増)と同様に前年の緊急事態宣言にともなう臨時休業や時短営業など営業自粛の影響(前年65.6%減)の反動増が顕著に表われた。ただ、コロナ禍前の前々年(19年5月)比では43.1%減となり、前月(前々年比27.7%減)と比べると15.4ポイントも下がった。緊急事態宣言の発令による限定営業並びに外出自粛などの影響で、実質的には前年よりも厳しい状況が続いた。
3カ月移動平均値は、9~11月17.8%減、10~12月10.8%減、11~1月18.6%減、12~2月18.0%減、1~3月8.9%減、2~4月28.6%増、3~5月61.2%増。コロナ禍の2巡目に入り反動増が顕著だが、前々年比では「7~8掛け」状態が続いている。
顧客別では国内市場(シェア99.0%)が64.4%増となり、前月(164.3%増)と同じく大幅な伸長率だったが、前々年比では39.5%減となり、前月(22.6%減)よりもマイナス幅が広がっており、実質的には「6掛け状態」まで落ち込んだ。インバウンド(免税売上高)は223.8%増となり前月(797.4%増)と同じく大幅な伸長率だったものの、前々年比では91.9%減で前月(86.9%減)と同様に厳しい状況が続く。
地区別では、大都市(10都市)が66.3%増(前月192.1%増)、地方都市(10都市以外)が63.0%増(同121.2%増)。ただ、前々年比は順に48.5%減、29.0%減で、依然として大都市の厳しさが続いている。中でも大阪は感染拡大の影響が深刻で、前年比が唯一のマイナス(13.7%減)で、前々年比では72.4%減だった。
品目別では前月に続き身のまわり品、雑貨、衣料品が大幅な伸長率を遂げた。雑貨のうち美術・宝飾・貴金属が3倍超も伸びた。加えてラグジュアリーブランドや高級時計も含め、高額品が健闘した。さらに巣ごもり需要が顕在化。食品では精肉や鮮魚、菓子、惣菜、酒類などが、家庭用品ではキッチン雑貨、リビングアイテムや寝具が好調だった。
また、外商とECも健闘した。ECではウェブ接客、オンラインイベント、OMO施策などが好評で、中元ギフト、デパ地下グルメ、コスメ、ランドセル、母の日ギフトなどが好評だった。
ただ、主要5品目の前々年比では、身のまわり品が48.9%減、雑貨が46.0%減、衣料品が54.4%減、家庭用品が39.0%減、食料品が22.8%減となっており、先月よりもマイナス幅が広がっている。細分類では化粧品が53.5%減、婦人服が54.7%減、紳士服が59.6%減となっており、「半減状態」が続いている。
免税売上高(88店舗)は約25億1000万円で、前年比は223.8%増だった。前月(約45億円、前年比797.4%増)よりも売上高、伸長率共に下がったとはいえ、3カ月連続増。購買客数は約5000人で、前年比65.6%増。しかしながら前々年比では売上高が91.9%減、購買客数が98.9%減となり、前月(売上高86.9%減、購買客数97.6%減)とほぼ同水準の厳しい状況が続いた。一人あたりの購買単価は47万3000円で、前年比95.5%増となり、前月(約40万2000円、前年比92.0%増)の水準を上回った。