2022年1月 全国百貨店売上高
売上げ、入店客数共に2桁伸長も、前々年比では約2割減
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・189店)の1月売上高は3751億円余で、前年比(店舗調整後)は15.6%増となり、前月(8.8%増)の伸長率を上回る2桁伸長を遂げ、4カ月連続増となった。入店客数も2桁増の14.7%増となり、前月(14.1%増)とほぼ同水準で、3カ月連続プラス。同協会では「年始から月の前半までは前年の緊急事態宣言による時短営業などの反動に加え、増勢が続く高額品や気温低下による冬物衣料などの伸びが牽引し、各社の販売促進策や各種催事も奏功した」と総括している。とはいえ、コロナ禍前の前々年(20年)比では売上高が18.8%減(前月6.1%減)、入店客数が30.7%減(同18.6%減)で、前月より回復度が悪化している。
3カ月移動平均値は、5~7月11.7%増、6~8月2.5%減、7~9月3.4%減、8~10月3.9%減、9~11月2.7%増、10~12月6.9%増、11~1月10.3%増。秋以降、回復傾向が継続している。
顧客別では国内市場(シェア98.8%)が15.6%増となり、前月(8.8%増)を上回る伸長率で、4カ月連続増。ただ前々年比では13.9%減となり、前月(2.0%減)よりもマイナス幅が広がった。インバウンド(免税売上高)も2桁増の12.5%増となり、5カ月連続増だったが、前々年比は85.9%減で、前月(87.8%減)とほぼ同水準の厳しい状況が続いた。
地区別では、大都市(10都市)が前月に続き全地区でプラスとなり、19.4%増。4カ月連続増で、しかも前々月(10.2%増)、前月(11.7%増)と3カ月連続で2桁伸長。ただ前々年比は19.0%減で、前月(5.9%減)よりマイナス幅が広がった。一方の地方都市(10都市以外)は6.6%増となり、3カ月連続増。10都市に比べプラス幅は低い。ただ前々年比では18.4%減となり、前月(6.6%減)よりマイナス幅が広がったとはいえ、10都市とほぼ同水準の回復度だ。
品目別では、前月に続き主要5品目が全て前年実績を上回った。このうち身のまわり品29.2%増、(前月15.7%増)、衣料品18.4%増(同11.5%増)、雑貨15.8%増(同10.7%増)が前月に続き2桁伸長した。約3割も伸びた身のまわり品では、ラグジュアリーブランドの増勢が続いた。雑貨でも時計や宝飾品などの高額品が牽引し、美術・宝飾・貴金属が前月の伸長率(18.1%増)をさらに上回る33.4%増となり、12カ月連続増。衣料品は4カ月連続増で、うち11月から3カ月は2桁伸長が続く。前月同様に気温低下などの天候与件もあり、コート、ジャケットなどの重衣料や防寒商材が好調だった。
食料品も手土産需要の菓子や、物産展などの食品催事が好調で、前月の伸長率(4.5%増)を上回る8.5%増となり、4カ月連続増。菓子は前月(14.0%増)に続く2桁伸長の15.8%増となり、5カ月連続増。惣菜も11.9%増の2桁伸長。前月(5.9%増)の伸長率を上回り、同じく5カ月連続増。その他食料品も7.0%増で、2カ月ぶりにプラスに転じた。ただ生鮮食品は3.9%減となり、前月(3.2%減)とほぼ同水準のマイナスで、8カ月連続減だった。家庭用品は2.5%増となり、他の主要品目に比べ伸長率は低いものの、3カ月連続増。家電のマイナス(16.3%減、7カ月連続減)が足かせとなっている。
免税売上高(88店舗)は約44億9000万円で、前年比12.5%増。伸長率は前月(6.5%増)を上回り、5カ月連続増だが、前々年比では85.9%減。購買客数は約9000人で、前年比21.0%減。前々年比では97.9%減となり、前月(98.1%減)と同様の厳しさが続く。対照的に1人あたりの購買単価は約47万9000円、前年比42.4%増となり、前月(約44万1000円、21.8%増)と同様の高い水準が続いた。