2022年1月 大手百貨店4社売上高
ファッションと高額品牽引、基幹店の高伸長続く
大手百貨店4社の1月売上高は前月に続く高水準の伸長率で、4社すべてが2桁伸長した。前年の緊急事態宣言に伴う営業時間短縮や外出自粛の影響の反動増に加え、ラグジュアリーブランド、高級時計、宝飾品など高額品が引き続き好調で、前月同様に気温低下を背景に重衣料や防寒アイテムなど、ファッション全般も好調だった。前月に続き大都市部の基幹店が牽引した。
髙島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は21.6%増となり、前月の伸長率(9.7%増)を大幅に上回り、4カ月連続の増収。店頭に限ると21.8%増だが、前々年比では14.2%減までの回復度にとどまった。店舗別では14店舗のうち13店舗が増収。前月同様に大阪(23.7%増、12月13.1%増)、京都(19.4%増、同9.6%増)、横浜(31.5%増、同12.4%増)、新宿(27.9%増、同26.3%増)、日本橋(25.6%増、同0.7%増)の大型店が牽引した。玉川(22.6%増)や立川(11.0%増)、高崎(14.2%増)など地方都市、郊外立地の店舗も2桁伸長した。品目別では前月に続き衣料品が25.1%増(前月13.7%増)、身のまわり品が33.7%増(同25.5%増)の高伸長を遂げ、雑貨も20.0%増と2割伸長。衣料品では前月(16.5%増)同様に婦人服が28.1%増で牽引した。雑貨では美術・宝飾・貴金属が54.1%増の突出した伸長率だった。食料品は12.9%増となり、前月の伸長率(4.3%増)を大幅に上回った。菓子(18.0%増)と惣菜(15.1%増)に加え、その他(15.2%増)も健闘した。法人事業は前月の減収(2.1%減)から、大口案件があり、14.2%増。クロスメディア事業はカシミヤなど季節商材が好調で、4.8%増だった。
三越伊勢丹(国内百貨店含む)の売上高前年比は20.9%増となり、前月(10.0%増)を上回る伸長率で、4カ月連続の増収。前月と同様に首都圏の基幹店が牽引。新宿が28.1%増(12月17.9%増)、銀座が35.3%増(同21.3%増)、日本橋が27.0%増(同3.8%増)で、3店舗合計では28.7%増(同14.1%増)。首都圏5店舗では26.8%増(同12.9%増)だった。この5店舗では主要5品目がすべて前年実績を上回り、中でも前月同様に衣料品(30.6%増、12月17.8%増)、身のまわり品(41.5%増、同17.2%増)、雑貨(34.5%増、同19.4%増)の3品目が牽引した。新宿や日本橋では、顧客ロイヤリティの高い時計、宝飾、ハンドバッグ、ラグジュアリーブランドなど高付加価値な商品が継続して好調。加えて話題性・独自性のある催事も好調だった。一方のグループ店は12.3%増。前月(5.8%増)を上回る伸長率で、4カ月連続のプラス。岩田屋三越(22.9%増)や新潟三越伊勢丹(13.2%増)、名古屋三越(11.4%増)なども2桁伸長を遂げた。
大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高前年比は17.3%増となり、前月(12.6%増)を上回る2桁の増収。入店客数は21.6%増となり、前月(26.1%増)よりも伸び率は鈍化したとはいえ、復調傾向が続いた。店舗別では心斎橋(23.9%増、12月21.4%増)東京(33.9%増、同23.2%増)、神戸(26.3%増、同15.9%増)、名古屋(21.7%増、同12.5%増)、札幌(12.3%増、同22.7%増)などの基幹店が牽引した。昨年9月から1月までの5カ月累計の売上高前年比では、心斎橋(17.2%増)、東京(17.1%増)、神戸(14.8%増)、札幌(16.1%増)、名古屋(10.6%増)、静岡(13.6%増)が2桁の増収で、合計でも10.1%増で推移している。商品別では前月に続き主要5品目がすべてプラス。衣料品が22.0%増と前月(16.5%増)を上回る伸長率で、中でもラグジュアリーブランドが好調な婦人服が25.1%増で牽引した。雑貨では美術が約8割増、時計が約4割増となり、結果、美術・宝飾・貴金属が前月(23.5%増)を上回る39.2%増の伸長率だった。食堂・喫茶も前月(44.9%増)に続き37.0%増の高伸長を遂げた。
阪急阪神百貨店の売上高前年比は、阪急と阪神の両本店が牽引して15.7%増。前月(15.8%増)と同水準の伸長率で、4カ月連続の増収。阪急うめだ本店は22.1%増で、前月(23.5%増)同様に2割超の伸長率。カテゴリー別では婦人ファッションの好調が持続して、約4割増。加えて100万円以上の高額品は前年の2倍以上も伸びた。昨年10月に建て替え先行オープンした阪神梅田本店は22.1%増で、前月(36.8%増)に比べ伸び率は鈍化したものの、25日から28日まで改装工事のため臨時休業した影響もある。支店では、博多阪急(25.0%増、12月18.2%増)と阪急メンズ東京(17.8%増、同11.7%増)が前月に続き2桁伸長した。支店合計でも7.7%増のプラスだった。