2021年12月 全国百貨店売上高
3カ月連続プラス、国内顧客はコロナ前の水準に迫る
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・189店)の21年12月売上高は5920億円余で、前年比(店舗調整後)は8.8%増となり、前月(8.1%増)とほぼ同水準の伸長率で、3カ月連続のプラスだった。入店客数は前月の伸長率(7.0%増)を上回る14.1%増まで復調した。同協会では「新型コロナ感染者の減少継続を背景とした外出機運や消費意欲の高まりに加え、各社が展開した外商催事、会員向け施策、イベントなども奏功した」ためと総括している。
地区別では10都市が2桁伸長し、品目別では衣料品、身のまわり品、雑貨が2桁伸長した。コロナ禍前の前々年(19年)比では売上高が6.1%減(前月7.4%減)、入店客数が18.6%減(同21.9%減)だが、売上高はインバウンドを除くと2.0%減となり、コロナ前の水準に迫ってきた。
3カ月移動平均値は、4~6月44.9%増、5~7月11.7%増、6~8月2.5%減、7~9月3.4%減、8~10月3.9%減、9~11月2.7%増、10~12月6.9%増。秋以降、着実な回復傾向が顕著に表われてきた。
顧客別では国内市場(シェア99.4%)が8.8%増となり、前月(8.0%増)を上回る伸長率で、3カ月連続増。前々年比で2.0%減まで復調した。インバウンド(免税売上高)は6.5%増だった。前月(24.7%増)に比べ伸長率が低く、前々年比は87.8%減で前月(86.7%減)とほぼ同水準の厳しい状況が続いた。
地区別では、大都市(10都市)が前月に続き全地区でプラスとなり、11.7%増。前月(10.2%増)に続く2桁伸長で、プラス実績は3カ月連続。前々年比は5.9%減(前月7.3%減)まで復調してきた。一方の地方都市(10都市以外)は1.8%増となり、6カ月ぶりにプラスだった前月(2.7%増)に続きプラス。ただ大都市との前年比格差は前月よりさらに広がった。また前々年比では6.6%減となり、大都市を0.7ポイント下回っている。
品目別では、前月に続き主要5品目が全て前年実績を上回った。このうち身のまわり品(15.7%増)と衣料品(11.5%増)、雑貨(10.7%増)が2桁伸長した。身のまわり品は前月(16.1%増)に続く2桁伸長で、ラグジュアリーブランドの増勢が続いたうえ、外出機会の増加で、旅行用品やアクセサリーなども活発に動いた。衣料品も前月(10.4%増)に続き2桁伸長で、は気温低下などの天候与件もあり、コート、ジャケットなどの重衣料や防寒商材が好調だった。雑貨は時計、宝飾品などの高額品が好調で、美術・宝飾・貴金属が前月(19.4%増)に続き18.1%増で牽引し、連続増は11カ月まで更新した。
食料品は4.5%増となり、3カ月連続増。前月(15.8%増)に続き菓子が14.0%増の2桁伸長し、4カ月連続増。手土産や年末年始需要、クリスマスケーキが好調だった。惣菜も前月(6.1%増)に続き5.9%増と健闘し、同じく4カ月連続増。ただ生鮮食品は3.2%減となり、7カ月連続減だった。
免税売上高(88店舗)は約36億6000万円で、前年比6.5%増。伸長率は前月(24.7%増)よりも鈍化したものの、4カ月連続増。購買客数は約8000人で、前年比は12.6%減。前々年比は98.1%減となり、前月(98.2%減)同様の厳しさが続いた。対照的に1人あたりの購買単価は約44万1000円、前年比21.8%増となり、前月(約48万3000円、27.0%増)と同様の高い水準が続いた。