2021年6月 全国百貨店売上高
4カ月ぶりのマイナスも、19年比で2割減まで戻す
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・191店)の6月売上高は3715億円余で、前年比(店舗調整後)は1.6%減となり、4カ月ぶりにマイナスに転じた。緊急事態宣言対象地区店舗の土日休業や営業時間短縮、外出自粛による集客減が響いた。入店客数も5%減だった。前々年(19年6月)比では20.6%減となり、前月(43.1%減)よりもマイナス幅は大幅に改善したものの、実質的にはコロナ禍前の「8掛け」の厳しい状況が続いている。
3カ月移動平均値は、10~12月10.8%減、11~1月18.6%減、12~2月18.0%減、1~3月8.9%減、2~4月28.6%増、3~5月61.2%増、4~6月44.9%増。コロナ禍の2巡目に入り春以降の反動増が顕著だが、前々年比では「7~8掛け」状態が続いている。
顧客別では国内市場(シェア98.8%)が2.1%減となり、前月の大幅伸長(64.4%増)から一転してマイナスに陥った。ただ、前々年比では16.7%減で、前月(39.5%減)よりもマイナス幅は大幅に改善している。それでもコロナ禍前の「8掛け」の状況。インバウンド(免税売上高)は68.1%増で4カ月連続増だが、前々年比では84.0%減で、先月(91.9%減)よりも改善したとはいえ、苦境が続く。
地区別では、大都市(10都市)が0.4%増となり、4カ月連続増。東京、大阪、京都、神戸、福岡の5都市がプラスだった。対して地方都市(10都市以外)は6.5%減で、4カ月ぶりにマイナスに転じた。ただ、前々年比では大都市の21.7%減に対し地方都市は17.6%減となっており、依然として大都市の厳しさが続いている。
品目別では、主要5品目のうち身のまわり品(0.6%増)、雑貨(3.7%増)、食料品(3.3%増)がプラスだった。雑貨のうち美術・宝飾・貴金属(25.8%増)が前月に続き突出した伸長率。富裕層を中心に高額消費が活発で、ラグジュアリーブランドや高級時計、美術、宝飾品が好調だった。さらに巣ごもり需要の顕在化が続いており、食品では菓子、惣菜、酒類などが、家庭用品では家電、高級家具が好調だった。また、前月に続きECが高伸した。中元ギフトや父の日ギフトなどでシェアを拡大している。
ただ、主要5品目の前々年比は、衣料品が27.1%減、雑貨が25.9%減、家庭用品が19.1%減、身のまわり品が18.8%減、食料品が9.1%減。さらに細分類では化粧品が37.8%減、婦人服が25.3%減、紳士服が32.4%減。いずれの品目も先月よりマイナス幅が改善しているものの、厳しい状況が続いている。
免税売上高(88店舗)は約45億1000万円で、前年比は68.1%増となり、4カ月連続増。前月(約25億1000万円、前年比223.8%増)より売上高は増えた。購買客数は約1万人で、前年比22.2%減となり、先月(約5000人、前年比65.6%増)のプラスから再びマイナスに転じた。ただ、前々年比では売上高が84%減、購買客数が97.9%減となっており、前月(売上高91.9%減、購買客数98.9%減)とほぼ同水準の厳しい状況が続いた。一人あたりの購買単価は約46万6000円、前年比116.2%増となり、前月(約47万3000円、95.5%増)とほぼ同じ水準を堅持した。