松屋銀座、伝統の「百傘会」スタート
松屋銀座は8日、半世紀以上続く名物催事「GINZAの百傘会」をスタートした。今回はテーマを「日本の職人傘」とし、職人が手掛ける傘や修理し長く使えるサステナブルな傘など50ブランド、約3000本の傘を集積する。期間は29日まで。
昨今、傘の催事は減少傾向にあった。その中でコロナによるさらなる打撃を受け、傘の販売機会が減少しており、手作りで仕上げる日本の傘職人が苦境に立たされている。今回の催事ではこういった職人が手掛ける傘を集積した。
今年は会場の装飾を変更。藍染のインスタレーションが正月以来再登場し、会場を彩った。
会場ではアンブレラ・マスターによるコンサルティング販売会も実施する。傘売場のスペシャリストであるアンブレラ・マスターによる事前予約制のコンサルティング販売会で、知識豊富な販売員が、傘を選ぶ時のポイントや手入れの方法などを提案する。また雨の日の特典として、GINZAの百傘会会場で買い物をした客にヘアケアサンプルをプレゼント。また化粧品売場で2万円以上購入(先着100名)すると送料無料にするサービスなどを用意している。
「ホワイトローズ」(東京都台東区)は日本製の高級ビニール傘。骨はしなやかで折れにくく風の力を吸収する超軽量カーボン樹脂を使用している。風を通しながら雨は入れない「逆支弁穴開き加工」がほどこされ、風にも強く、おちょこになりにくい。部品の修理やビニールの張り替えが可能で、使い捨てではなく、長く使用できる。同社のビニール傘は雨の園遊会などで天皇皇后(当時)両陛下が使用されるなどで、注目を集めた。
「モンブランヤマグチ」(東京都墨田区)は、日本の伝統的手法「ほぐし織り」(仮織りをした生地に手捺染し、仮糸をほぐしなから本織りをする)作業により目の詰まった丈夫な生地となる。傘の完成まで約30人の職人が携わっており、丁寧に使えば、数十年も使用可能だという。着物の生地としても用いられているほぐし織りならではの、にじんだような色柄の柔らかさと奥行きも特徴。
大阪市のメーカー「かさはな」は着物を傘にアップサイクルさせるオーダーを受ける。着る機会の減った着物の生地を、職人の技術により再利用。全ての傘に撥水加工を施すことができる。思い出の着物の保管用や、ギフトにもおすすめだ。実際の着物生地を再利用して作った一点ものの傘も販売する。
百傘会で購入した傘は婦人雑貨売場で会期以外でも修理を有料で受け付けている。