2024年11月19日

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減収続くも、高額消費がけん引した基幹店が復調

大手百貨店4社の2月売上高は、緊急事態宣言の延長に伴う外出自粛傾向の継続や対象エリア店舗の営業時間短縮に、前年の閏年による営業日数の1日減の影響が加わり、引き続き減収を強いられた。ただ、2割台後半から3割台半ばの大幅減収だった前月と比べると、1桁台から10%台まで回復してきた。株高を背景に引き続きラグジュアリーブランドや宝飾、時計、美術などの高額品が堅調で、大都市の基幹店の回復が顕著だった。

髙島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は4.7%減となり、前月(26.7%減)より22ポイントもマイナス幅が縮小した。大口受注による法人事業(39.3%増)とバレンタイン商材がけん引したクロスメディア事業(32.5%増)が共に好実績だったこともあるが、免税を除いた店頭売上高も6.9%減まで復調してきた。免税売上高も前年2月に新型コロナウイルスの影響を受けていたこともあり、前月の86.7%減から46.9%減までマイナス幅が縮小した。とはいえ、コロナ禍の影響がなかった19年2月との前々年比の店頭売上高(免税含む)は19.4%減と、引き続き厳しい状況。商品別では主要5品目のうち家庭用品が2桁伸長。家庭用品では巣ごもり需要の高まりを背景に、家電(24.3%増)とその他家庭用品(18.3%増)がけん引。加えて特選衣料雑貨、宝飾品など高額品も好調だった。

三越伊勢丹(国内百貨店含む)は8.5%減となり、マイナス幅は前月(30.6%減)より22.1ポイントも改善した。首都圏の三越伊勢丹(5店舗)に限ると、4.8%減まで回復した。伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店ではロイヤリティの高い顧客を中心に宝飾・時計、ラグジュアリーブランドなどへの購買意欲が高く、客単価が前年比で2桁増。加えてリビング・ダイニング家具やキッチン雑貨も好調だった。さらにオンラインショッピングは和洋酒、バレンタイン、英国展などが好調で、前年の約1.5倍。三越日本橋本店は雑貨(26.7%増)と衣料品(0.3%増)がけん引して4%の増収だった。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)は10.6%減となり、マイナス幅は前月(34.7%減)より24.1ポイントも改善した。高級絵画やラグジュアリーブランドなどの高額品が好調で、前年同時期に新型コロナの影響が出ていたことから、回復傾向に転じ、大丸松坂屋百貨店合計では8.1%減まで復調。免税売上高を除く国内売上高では5.5%減まで小幅なマイナスになった。免税売上高は69.5%減で、大幅なマイナスだが、前月(94%減)よりも改善した。店舗別では、心斎橋、神戸、芦屋、上野が増収に転じた。商品別ではラグジュアリーブランド(2割増)がけん引した婦人服・洋品と、現代アートや宝飾品が好調だった美術・宝飾・貴金属がプラスを遂げた。

阪急阪神百貨店は11.7%減となり、前月(29.4%減)よりマイナス幅が17.7ポイント改善した。免税売上高を除く国内売上高では10%減まで回復。ただ前々年比は17%減になる。全店の入店客数は28.8%減で、前月(40.7%減)よりも改善した。前月が約3割減だった阪急本店が7.2%減まで復調し、国内売上高に限ると5%減までマイナス幅が縮小。中でも富裕層の購買意欲が高く、ラグジュアリーを中心に春夏の新作の動きが良く、改装1周年フェア効果で時計も好調。バレンタインチョコレートの売上高は約22億5000万円で、過去最高だった前年に対し8%減だが、コロナ禍では善戦し、中でもオンライン利用が前年の4倍超となり、売上高シェアで12%まで上昇した。