ハンドバッグ特集、「ニューノーマル」のハンドバッグ売場運営-三越銀座店
コロナ下で百貨店の売り方は大きく変わった。インバウンド需要が大きく減少し、日本人の来店も頻度は減っている。その中で安心・安全な売場を作り、客に商品を購入してもらうかは、どの業種・業態も模索している最中であろう。今回はインバウンド売上げが大きかった三越銀座店に「ニューノーマル」のハンドバッグ売場運営について聞いた。
三越銀座店1階に広がるハンドバッグ売場は、世界のラグジュアリーブランドから旬のブランドまで、幅広く品ぞろえしている。最新シリーズから定番アイテムまで取りそろえ、「銀座に来街する全てのお客さまに先ず立ち寄ってもらいたい」(銀座店ホームページより)フロアだ。
しかしその売場にもコロナの逆風が吹いた。コロナ前はハンドバッグ売場の売上げの約35%が免税売上げであったがほぼゼロに、国内客も減った。国内百貨店の主要顧客層は60代前後、三越銀座店も50~60代の来店が多かったが、その年代の外出控えが売上げに響く。それでも国内客の売上げは前年比85%程度まで回復してきた。
鍵は若い世代にあるようだ。「若い世代が増えているというわけではないが、50代以上の顧客の来店が減った分、売場でよく見かけるようになった。7月以降の土日にはカップルで買い物を楽しむ姿も少なくない」と銀座店の婦人雑貨スタッフマネージャー山口晃治氏は言う。売れ筋もロエベのかごバッグやハンモックとなっている。
コロナを受けて品揃えには随時手直しを加えてきた。さらに「今後はSNSでの発信を強化していきたい」(山口氏)としている。また三越伊勢丹のアプリとの連携も強める。全体のEC売上げは好調であるため、銀座店独自MDのEC販売を強化し、さらに店頭とも連動させていく。
コロナ下では店頭でも声掛けに工夫が必要だ。銀座店では三密を避け、「何かご用命ございましたらお声かけください」に統一した。ただ、この状況で来店する客は接客を欲している。コロナで、高いモノでもECで買うことを躊躇しなくなった人も多い。それでも「店頭に足を運んでくださる方は店頭で試着し、接客を受けて購入したいという希望があるお客様、つまり三越でのお買い物を楽しんでくださっている方」(山口氏)である。そうやって来店した客には、身体に触れない・距離をとるなどの制約はあるものの今まで通り、今まで以上のの接客を続けていく。
来店する人の中には事前に情報を集めてからくる客も多い。滞在時間を減らすためのウェブルーミング(事前にインターネットなどで商品の情報を集めておき、実店舗を訪れて確認して購入する)も増えているだろう。今後は情報発信を強化し、そういった消費行動にも対応できるようにしていく。「販売員のマスク着用や手指のこまめな消毒はもちろん、お客様にも店舗入り口での検温やマスク着用、消毒など協力していただいている。だれもが安心・安全に買い物できる売場を引き続き作っていきたい」(山口氏)と、今後のハンドバッグ売場運営を語った。
ハンドバッグメーカーの取り組み
マルショウエンドウ、「マンハッタナーズ」30周年記念したスペシャルバッグ
マルショウエンドウはアートブランド「マンハッタナーズ」がスタートして30年を迎えることを記念し、「30周年記念スペシャルバッグ」を発売する。30年を代表する作品を30点選び、パッチワーク風のトートバッグに仕上げた。ブランドの歩みを初期から振り返ることのできる逸品だ。
光沢の美しいシルキータッチ素材に作品をプリントした。作品同士のつなぎ目はシルバーのステッチになっている。ハンドルはイタリア製の牛革を採用。30周年を記念して作られた特別なマークが刺繍してあり、とても高級感のあるつくりだ。4カ所あるホックでバッグのシルエットが変えられるため、その日の荷物や気分、スタイリングに合わせて形をアレンジできる。ホックにも作品がプリントされており、作り手のこだわりがうかがえる。
バッグには30作品をまとめて紹介するミニ作品集とパスチャームが付く。作品集は30作品の解説や猫たちのプロフィールを掲載。バッグを購入した人だけが手に入れられる。パスチャームは表が作品をプリントした牛革、裏がヌメ革製で、30周年記念チャームもついている。ヌメ革部分には作家の久下貴史氏にサインを入れてもらうことも可能だ。サイン会の日程はマンハッタナーズ オフィシャルオンラインショップのホームページで確認できる。
URL: https://www.manhattaners-onlineshop.jp
バッグ内側の革ネームとパスチャームにはそれぞれシリアルナンバーが刻印される。ブランドのファンならぜひとも手に入れたいコレクターズアイテムだ。
30周年記念の長財布も用意する。作品「いつものように」をプリント、アップリケ、刺繍の3つの手法を組み合わせて表現。バッグと同じくサインを書くスペースのあるカードケースもセットされている。
価格は30周年記念バッグが4万5000円、財布が2万円。
「マンハッタナーズ」は、ニューヨーク在住の画家久下貴史氏が猫たちからひらめきを得て描いた作品の世界を商品に融合させたアート・ブランド。個性豊かであたたかく美しい久下ワールドを、商品というキャンバスに魅力的に表現する。日本では毎年、銀座の伊東屋で個展を開催、その後全国を巡回するサイン会を行っており、年に1度のファンとの交流を大切にしている。
プリンセストラヤ、「Dakota」後染めで革の風合いを楽しむテネシーシリーズ
プリンセストラヤは2020年秋冬コレクションを発表した。メインは「Dakota」のテネシーシリーズ。革の魅力を全面に出したバッグだ。
縫製してから染色、洗いにかけることで長年使いこんだような風合いをだした。シンプルなデザインなだけに革そのものの魅力と染めの技術が光る。ころんとした丸い形もかわいく、身体にそっと寄り添うようなデザインだ。使うほどふっくらとソフトになる経年変化も楽しめる。染めによって個体差が出るため、同じ商品でもどれにしようか悩むのも楽しい。
白いバッグ(画像左)を染色すると1割程度小さくなる。バッグ内側や糸は違う素材のため、染まり方が違うのもおもしろい。表面のステッチはさりげないアクセントにもなっている。
バッグは職人が丁寧に染め上げる。そのため1日に作ることのできる数は少ない。それでも後染めにこだわり作り上げられたのがこのテネシーシリーズだ。
染色の様子はインスタグラムでも見ることができる(画像3枚目)。
カラーはワイン、チョコ、キャメル、グリーンの4色。価格は2万9000~2万2000円。全国の百貨店とオンラインストアで販売する。