2021年12月 大手百貨店4社売上高
11月に続き基幹店が2桁伸長で牽引
大手百貨店4社の12月売上高は、前月に続く高水準の伸長率で、3社が2桁伸長した。大都市部の基幹店が牽引し、インバウンドを除く国内売上高でコロナ禍前の前々年比を上回った百貨店も表れた。ラグジュアリーブランド、高級時計、宝飾品など高額品が引き続き好調で、前月同様に気温低下を背景に重衣料や防寒アイテムなど、ファッション全般も好調だった。
阪急阪神百貨店の売上高前年比は、阪急と阪神の両本店が牽引して15.8%増となり、前月の伸長率(11.5%増)を上回り、3カ月連続で増収。前々年(19年)比は3%減まで回復し、インバウンドを除く国内に限ると2%増とコロナ禍前の実績を超えた。阪急うめだ本店は23.5%増で、前月の高伸長率(19.3%増)をさらに上回った。すべてのカテゴリーが2桁伸長し、中でも婦人ファッションは約3割増。ラグジュアリーブランドのバッグ、宝飾品、時計が高伸し、100万円以上の高額品は4割増。同店の前々年比は1.0%増とコロナ禍前を上回り、国内に限ると9.0%増まで復調した。10月に建て替え先行オープンした阪神梅田本店は35.3%増で、前月(14.6%増)よりもさらに高い伸長率。12月8日に1~9階が改装フルオープンし、高感度で比較的若い客層の来店が増えた。両本店の他、博多阪急(18.2%増)、阪急メンズ東京(11.7%増)が2桁伸長した。主要品目では、身のまわり品(25.5%増)と雑貨(23.5%増)が2割超の伸長率で、衣料品(16.7%増)と家庭用品(16.2%増)も好調だった。
大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高前年比は12.6%増となり、前月(13.8%増)に続き2桁の増収。入店客数は26.1%増となり、同じく前月(16.3%増)に続き2桁伸長で、前月の伸長率を大幅に上回った。店舗別では心斎橋(21.4%増)東京(23.2%増)、札幌(22.7%増)が2割超の増収で、神戸(15.9%増)、名古屋(12.5%増)などの基幹店が牽引した。商品別では前月に続き主要5品目がすべてプラス。衣料品が2桁伸長(16.5%増)し、中でも婦人服が前月(18.1%増)とほぼ同水準の18.4%増。引き続きラグジュアリーブランドが好調で、気温低下でニットやコートなど主要アイテムも好調だった。雑貨も2桁伸長(15.1%増)し、中でも美術・宝飾・貴金属が前月(24.4%増)とほぼ同水準の23.5%増だった。また、食料品では、入店客数増を背景に、菓子(16.2%増)と惣菜(11.1%増)が2桁伸長。食堂・喫茶も前月に続き44.9%増という賑わいだった。
三越伊勢丹(国内百貨店含む)の売上高前年比は10.0%増となり、前月(10.6%増)に続き2桁の増収。前月と同様に首都圏の基幹店が牽引。新宿が17.9%増(前月16.5%増)、銀座が21.3%増(同15.4%増)の2桁伸長で、日本橋を含めた3店舗合計では前月と同水準の14.1%増。首都圏5店舗では12.9%増だった。この5店舗では主要5品目がすべて前年実績を上回り、中でも衣料品(14.3%増)、身のまわり品(15.9%増)、雑貨(14.9%増)の3品目が牽引した。前月と同様にラグジュアリーブランドをはじめ、時計、宝飾、ハンドバッグなどが好調だった。加えて防寒ニーズや外出機会の増加から、買い替えや2点目以降の購買などの需要が目立ち、コートやアクセサリーなどの売れ行きが好調だった。一方のグループ店は5.8%増で3カ月連続のプラスだが、前月(7.2%増)よりも伸び率は鈍化した。
髙島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は9.4%増となり、前月の伸長率(8.9%増)を上回り、3カ月連続の増収。前月同様に大阪(13.1%増、前月14.6%増)、京都(9.6%増、同12.5%増)、横浜(12.4%増、同12.2%増)、新宿(26.3%増、同12.3%増)の大型店が牽引した。品目別では前月に続き衣料品が13.1%増(前月12.0%増)、身のまわり品が23.4%増(同24.2%増)となり、2桁伸長した。衣料品では婦人服が16.5%増で牽引し、前月(17.0%増)同様に回復傾向が顕著だった。食料品(4.3%増)では菓子が前月(14.9%増)に続き12.4%増で牽引した。クロスメディア事業はおせちなどの季節商材が好調で、10.6%増の2桁伸長した。ただ前月が増収(10.0%増)だった法人事業は2.1%減の減収を強いられた。