2020年10月 大手百貨店4社売上高
髙島屋が13カ月ぶりに増収、国内顧客は高額品中心に復調
大手百貨店4社の10月売上高は、前年が消費増税の駆込み需要の反動減を強いられていたこともあり、回復基調が顕著に表れた。髙島屋が13カ月ぶりに前年実績を上回り、三越伊勢丹がほぼ前年並みまで戻し、阪急阪神百貨店、大丸松坂屋百貨店も2~3%台のマイナスまで復調した。いずれも高額品の取り扱いが多い基幹店が総じて堅調だった。
髙島屋(国内百貨店子会社含む)は2.6%増となり13カ月ぶりの増収で、92.7%減だった免税売上高を除く店頭売上高は9.4%増だった。ただ反動減がない前々年との対比では12.2%減で、まだ戻り切れていない。店舗別では、日本橋、玉川、立川が二桁伸長で、地方都市の岡山、岐阜、高崎も二桁伸長で健闘している。大阪が二桁減だが、免税売上高のマイナスが響いている。法人事業が25.5%増、クロスメディア事業が23.8%増と共に高伸長を遂げ、前者は前年の消費増税の反動減の影響が大きく、後者は食品の売れ行きがけん引した。商品別では家庭用品が突出しており、中でも家電が2倍近い伸び。雑貨と身のまわり品も前年実績を上回っており、雑貨では美術・宝飾品・貴金属が1.6倍超も伸びており、特選ブランドを含め高額品がけん引している証しだ。
三越伊勢丹は国内百貨店計で1.3%減まで復調し、さらに既存店ベースでは前年実績を確保した。伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店の首都圏基幹店は、宝飾や時計など高額品が好調で、共に増収遂げた。銀座店を含めた基幹3店舗合計では2.5%減だが、身のまわり品、雑貨、食品が前年実績を上回った。また、立川、浦和の郊外店も増収で、国内グループでは仙台、静岡、広島、高松、岩田屋三越の5社が増収だった。
阪急阪神百貨店は2.9%減まで戻したが、入店客数は21.7%減のマイナス。阪急本店が1.3%減まで復調。インバウンドを除く国内売上高は15%増。ラグジュアリーブランドや時計が好調で、再開した大型催事も想定通りに推移した。支店の中でも高槻、西宮などの郊外立地の店舗が食品、リビング、子供関連がけん引して、郊外店合計でプラスだった。
大丸松坂屋は3.7%減だが、97.3%減だった免税売上高を除いた国内顧客では7.4%増となる。ただ前々年比では14.5%減となり、まだ復調途上。店舗別では神戸、京都、名古屋、静岡などが増収を遂げた。対して免税売上高の激減が響いた心斎橋、東京の低迷が目立つ。婦人服はラグジュアリーブランドが二桁増でけん引し、前年実績を上回った。雑貨は二桁減だったが、美術・宝飾・貴金属は44.6%増と高伸。家庭用品は家電がけん引して、6.4%増と好調だった。