東急百貨店、ShinQsの改装やECの強化へ 本店営業終了後も渋谷に軸足
東急百貨店は、渋谷ヒカリエ ShinQs(以下、ShinQs)の改装や渋谷駅周辺に展開する「ビューティー」関連売場の拡充、食品宅配やインターネット通販の強化に乗り出す。本店の営業終了が来年1月31日に迫っており、収益力の向上を急ぐ。
渋谷ヒカリエの地下3階~地上5階に構えるShinQsは来春、「アップグレード」をテーマに改装に着手。「時計・宝飾やラグジュアリーコスメティックの一部を導入して品揃えのカテゴリーおよび価格帯を拡大し、多様なニーズに応える」(東急百貨店)。既存のショップも一部をリニューアルし、とりわけギフトを強化。近年需要が旺盛なパーソナルギフトや“自分へのご褒美”を取り込む。外商顧客用の「東急百貨店 お得意様サロン」も新設。本店を利用してきた外商顧客の流出を防ぐ。
新たなサービスも始める。「お客様へ『トキメキ』、『ワクワク』する買い物体験と、『買ってよかった』、『もらって嬉しい』など購入後の満足を提供する」(東急百貨店)方針だ。
ビューティー関連売場は、ShinQsの地下1階、地上1階、同2階と「渋谷スクランブルスクエア」の6階に構え、ブランドの数は計87に上る。今年9月には渋谷スクランブルスクエアの5階に化粧品売場を拡大。「ポルタメントザストア」、「ショーレイヤード」、「ラブクロム ヘア&スカルプ ラボ」を入れたが、来春にもビューティー関連売場に4つのブランドを追加し、品揃えを充実させる。
リアル店舗の価値を高めるとともに、新型コロナウイルス禍で一段と浸透した食品宅配やネット通販にも注力。食品宅配は昨年9月に「テイクアウト&デリバリー by 東急フードショー」を立ち上げたが、新たに「menu」と提携し、来春に「渋谷 東急フードショー」の生鮮品やグローサリー、惣菜、スイーツなどのフードデリバリーを始める。
ネット通販は品揃えを多様化。すでに取引先と商品や在庫の情報などを連携し、婦人服の一部の取り扱いをスタートしており、取引先から直接送る商品の拡充、老舗の菓子や高機能な家庭用品などを集める「特選商品」のページの新設なども含め、品揃えの幅を広げていく。
本店は来年1月31日で閉まるが、同社は「渋谷を拠点に新たなお買い物体験を提供」し、既存顧客の囲い込みと新客の開拓を目指す。
(野間智朗)