2024年11月19日

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2021年 メーカー首脳 年頭所感

高付加価値スキンビューティー領域をコアにさらなる成長戦略

資生堂 社長 魚谷 雅彦

昨年、世界経済は全世界で感染が拡大した新型コロナウイルスの影響を受け、未曽有の危機を迎えました。日本経済も、続く自粛生活の下、人の移動の制限や消費の冷え込みにより、これまでに経験したことのない困難に直面しています。

資生堂は「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」となるため、昨年は中長期戦略「VISION2020」の最終年度として、全社一丸となり日々取り組んでまいりました。新型コロナの拡大による影響で、生活者のライフスタイルや意識が大きく変化する中、迅速に生活者の実態を捉え、手指に優しい消毒液をはじめとした商品開発、今役立つ美容や生活にまつわる情報提供など、本業を通じて資生堂にしかできないことを徹底的に取り組んでいます。

本年は中期戦略「WIN2023」がスタートし、23年に完全復活をするための大変重要な1年であると捉えています。当社の強みである高付加価値スキンビューティー領域をコア事業とし、新しい価値創造に向けて、さらなる挑戦をしてまいります。

中でも日本事業は、資生堂グループの中核です。新ビジョン「Quality of Beauty Life」の実現に向け、全ての考え方や活動の中心を「お客様起点とした美の価値提供」とすべく、抜本的な改革を進めています。

特に専門店事業においては、「人生100年時代のビューティーパートナー」という専門店とともに目指す共通ビジョンの下、「生涯顧客づくり」に全力で取り組んでいます。各地域のお客様のニーズを1番良く理解し、深い絆を持つ専門店でしか提供できない価値をさらに高め、長期に亘って提供し続ける協働パートナーとして、明るい未来を創り上げていきたいと考えています。

本年は化粧品専門店専用ブランド「ベネフィーク」の刷新のほか、デジタル技術を活用した新たな化粧体験の提供、すなわち協働プラットフォームの開設にもチャレンジします。リアルとデジタル、それぞれの強みを生かし、融合させ、お客様の期待を超える価値を創造、提供し続けることで、「生涯顧客づくり」への取り組みを一層加速させてまいります。

未だ先行きが不透明ですが、新型コロナがもたらした足元の厳しい環境を改革の機会と捉え、引き続き市場や生活者の変化に迅速に対応し、ビューティービジネスを通じて生活者と専門店、そして社会に貢献していきます。


未来をつくる基盤と収益向上の構造改革を確実な成果に

資生堂ジャパン 社長 直川 紀夫

昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、外出自粛やリモートワークの普及など日本を含む世界の生活者の価値観やライフスタイル、行動などが大きく変わりました。

化粧品市場においても、肌のケアに対する価値観が大きく変化しました。外出機会が減り、マスクをすることが日常となり、口紅をはじめとするメイクアップの使用機会が減少。一方で、マスクの常用による肌悩みが急増するなど、スキンケアへの意識は一段と高まりをみせています。

お客様のデジタル利用の加速も顕著でした。例えば「インスタグラム」などのSNSを使った情報収集、あるいはECでの商品購入の機会が増えていることも、その1つだと考えています。

一方で、日本のお客様の多くはリアル店舗で商品を購入すること自体に大きな価値を感じており、まさに専門店の強みである「人と人の繋がり」を大切にしています。そういった意味でも、今後は「リアルとデジタルを融合し、いかにビジネスに発展させていくか」が重要であると捉えています。

2021年は日本ローカルへ集中し、ニューノーマル時代に適合しながら、資生堂ジャパンの未来をつくる基盤と収益向上の構造改革を行い、確実な成果に繋げる「実行の年」と捉えています。

重要戦略の1つが「ローカル市場における長期愛用者の拡大」です。取引先の状況に合わせて、リアルとデジタルの双方を強化し、愛用者の満足度を高めていきたいと考えています。リアルの店頭では、BCによるお客様のニーズに合わせたフレキシブルな対応やベネフィット提案など〝記憶に残る応対〟に、さらに磨きをかけます。

デジタルでは、よりパーソナライズな対応を図るとともに、オンラインカウンセリングやSNSによるコミュニケーションなどを通じたCRMを強化します。

20年度は創業以来の厳しい業績を見込んでいます。まずは、この結果を真摯に受け止め、そしてその中でお客様から選ばれるために何ができるかを常に考え、前例にとらわれず、資生堂にしか成しえないことを、徹底的にやり続けていきたいと考えています。


新たなチャレンジ続け、「究極の高ロイヤルティ企業」に

コーセー 社長 小林 一俊

昨年は新型コロナウイルスが猛威を振るい、私達の生活や経済活動に大きな影響をおよぼしました。収束の兆しが見えない状況ですが、人類の英知の結集によって必ずや克服されることでしょう。そして、どんな世界になろうとも、人々の生活に彩りと潤いを与え、心を豊かにする化粧品は、必要不可欠なものであり、我々の存在意義と責任は、今後もますます高まるものと考えます。

当社は現在、目指す将来像として「究極の高ロイヤルティ企業」を掲げています。それは世界中の誰もが知る「憧れの存在」であり、お客様にとって唯一無二の「かけがえの無い存在」になることです。特にこれからの商品開発においては「サステナビリティ」と「アダプタビリティ」の高さこそ、重視すべき付加価値と考えています。

さらに、コロナ禍では「新しい生活様式」への転換が求められ、様々なニーズの変化に的確に応える必要があります。このような時こそ、我々がお客様から選ばれる存在なのか、社会から必要とされる存在なのか、その厳しい問いに応えるべく、ピンチをチャンスに変え、新たなチャレンジを続けてまいります。

すでに当社は様々な他業種とのコラボレーションを通じ、新たな商品やサービスの創出を進めています。また、銀座に続いて表参道にも「Maison KOSÉ」をオープンし、ここでの成果を全国の販売店の活動にも生かしていきたいと考えています。

これからも、お客様の声に耳を澄ませ「ウィズ・コロナ」、「アフター・コロナ」の時代に向けて進化してまいります。


デジタル、カスタマイズ、ライフスタイルの成長戦略を加速

オンワードHD 社長 保元 道宣

昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、世界的に大変厳しい社会情勢が続き、ファッションビジネスを取り巻く経営環境も激変しました。未だ完全なる収束が見えない中ではありますが、ワクチンの開発が進むなどの明るい兆しも表れています。

このような状況において、オンワードグループは「デジタル」、「カスタマイズ」、「ライフスタイル」の3つの事業領域における成長戦略をさらに加速させるとともに、 新しい生活様式に即した商品改革をはじめとする総合的な事業構造改革を推進していきます。

お客様のニーズに応えるモノ、コトを提供していくことが生活文化企業としての使命と捉え、グループが一丸となって事業に取り組んでまいります。


創業455年、「ONE西川」で睡眠の大切さを的確に伝える

西川 社長 西川 八一行

2020年を振り返ると、まず大きかったのが10月の西川本店の移転です。日本橋1丁目の再開発計画にともない、「コレド日本橋」の地下1階にオープンしました。店舗はネットでできるようなことはあえてせず、リアルならではの体験を重視しました。地下1階という立地ですが、オフィスワーカーや近隣の富裕層が足を運び、オープン月の売上げは計画の120%超と好調な滑り出しをみせました。

19年の旧西川3社の統合を受け、全体の意識改革、西川イズム、企業メッセージを明確にしました。生活に健康をもたらすような、商品だけでなくサービスの提供を目指し、今後IOTや「睡眠ソルーション」の専門部署をつくる予定です。コロナ禍によって「数年先に起こることが早まった」と言われる中で、すでに改革、統合を進めていてよかったと改めて実感しました。

新型コロナウイルスの影響は大きく、特に4~6月に強烈なインパクトがありました。ただし専門店は比較的「密」になることが少ないため、場合によっては前年の売上げを超えました。6月以降は健康や免疫力を高めたいというマインドを持つ消費者が増えたことから、回復傾向にあります。

21年は、創業455年を迎えます。旧3社を統合したシステムが稼働し、「ONE(ワン)西川」となります。これを機にあらゆるものを見直し、健康の3大要素である睡眠の大切さをしっかりと伝えていきたいと思います。イエナカニーズが高まり、「Zoom(ズーム)」などで家の中を見られる機会も増えた結果、インテリアへの注目が高まっており、ここで「デザインの西川」をアピールしていきます。

チャネルに関しては、新型コロナによって一極集中が危険ということが分かりました。あらゆるところにタッチポイントが必要なため、専門店やチェーンを連結し、購入状況を共有、シームレスに活用できる直営ECを立ち上げます。

百貨店には複合的な売場でなく、コレド日本橋のように全面的に西川が編集する売場の提案もできればと考えております。

21年はワクチンができるかできないかは別として、健康が重視されるようになるでしょう。その中で歴史とデータのある会社として、しっかり楔(くさび)を打ち込んでまいります。


お客様に1番愛され、共に成長するCSV経営に徹する

キリンビール 社長 布施 孝之

昨年の酒類業界は、やはりコロナ禍の影響が色濃く反映されました。外出自粛や営業自粛の影響を直接に受ける飲食関連市場は売上げ、利益ともに大幅に減少する大変な状況に直面しており、大いに心を痛めています。このため、同市場向けのビールの大樽や瓶、洋酒は大幅に縮小していますが、巣ごもり消費を背景とした家庭用市場は堅調で、ビール類の缶商品やチューハイ、ハイボールなどのRTD(レディ・トゥ・ドリンク)は順調に推移しています。

コロナ禍に翻弄される不確実な状況の中、当社は従来からの行動指針である「お客様のことをどこよりも一番考えて、お客様に寄り添う」マーケティングや営業活動を一貫して実践。お客様の本音やインサイトを的確に把握して、お客様の要望や困り事に果敢かつ柔軟に対応することに努めてきました。

ビール類においては、昨年10月に日本で初めてビールでの糖質ゼロを実現した「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を発売しました。当社独自の一番搾り製法による「澄んだ麦の美味しさ」と「糖質ゼロ」を両立させ、お客様がビールカテゴリーに期待する新しい価値を実現したことで大変な好評をいただいており、当社のフラッグシップブランドである「キリン一番搾り生ビール」などを含めた一番搾りブランド全体の缶商品計は、10月以降大幅に前年を上回り、年間でも対前年でプラスを確保できたと思います。

また、昨年に発売3年目を迎えた「本麒麟」も、新ジャンルの価格帯で「ビールに近い美味さと品質」を備えた商品としてお客様の益々の支持をいただき、年間で2000万ケース(大瓶換算)規模の大型商品に成長しています。

当社のビール類全体は、コロナ禍の影響もあり前年を割り込むこととなりましたが、一番搾りブランドや本麒麟の好調が牽引した家庭用市場を中心とする缶商品合計では、前年を上回って、一定の成果を収めることができたと思います。

さて、本年についてですが、未だコロナ禍の収束が見通せない中、引き続き様々な環境変化への柔軟な対応が必要になってくると思います。お客様のことをどこよりも1番考えて寄り添い、本音やインサイトを的確に射抜き、要望や困り事に事業として果敢に対応し解決していく、そして自社も一緒に成長するというCSV経営を一貫して実践し、お客様に信頼、支持されるブランドを構築していきたいと考えています。

昨年後半に一部地域でテスト展開を開始した2タップタイプの新たなサーバー「TAPPY(タッピー)」は、商品ロスが少ない、美味しいビールが飲める、手軽なオペレーションが可能という飲食業界の困り事を解決する、新たなビジネスモデル提案の一例だと思っています。

また、加速する消費の二極化のうち、特に付加価値を重視する志向への対応については、将来に向けて酒類業界をブルーオーシャンに変革していく意味で重要だと考えています。

ビール業界を例にとると、94年に市場がピークを迎えましたが、現在はその4分の3程度まで規模が縮小しています。当社としては、その間、価格や規模を追いかける一方で、「ビール類をもっと魅力的に」という姿勢が弱かったのではないかと反省しています。

これからは、お客様が求める新たな価値を次々と提案し、ビール類をはじめとした酒類全体をもっと魅力のあるものにしていくことが、次なる時代に向けて非常に大事であるとも考えています。

コロナ禍をはじめとして、酒類業界を取り巻く環境は本年も厳しい状況が続くと予想されますが、当社は常に「お客様に1番愛され、信頼される会社」になることを目指して挑戦を続け、酒類総需要の拡大、そして業界の発展に向けて邁進していく所存です。


正念場の再生プラン、社員一丸で目標達成にまい進

三陽商会 社長 大江 伸治

2020年はコロナ禍という未曾有の厄災に全世界が遭遇した、文字通り苦難に満ちた年でした。

当社も、かつて経験したことのない予測外の状況に直面する中で、新型コロナウイルス対策を徹底してダメージコントロールを進めながら、“併行して事業構造改革を断行する”、“両者を連動させることで改革を加速させる”ことを基本テーマとして「再生プラン」の実行にあたってきました。

この基本テーマの下で、特に注力すべき重点課題として「4つの徹底」を掲げさせていただきました。「売上げ回復の徹底」、「在庫削減の徹底」、「販管費削減の徹底」、「キャッシュフロー対策の徹底」です。

これまでの進捗状況を振り返りますと、売上げ回復については特に11月以降のコロナ禍の第3波の影響などにより、数字が大きく変動する不安定な状況が続いています。必ずしも目論見通りの推移とはなっていませんが、在庫削減の徹底、販管費削減の徹底、キャッシュフロー対策の徹底については、積み重ねられた成果がはっきり出ており、想定を上回る進捗となっています。来期の黒字化に向けた基礎固めが着実に進展しつつある確かな手応えを感じています。

ただ、再生プランは未だ折り返し前の段階であり、むしろこれからいよいよ正念場を迎える、確実に結果を出さなければならない局面に入ってきます。改めて再生プランのゴールまでの残り14カ月間の課題を挙げます。

1つ目は、今期の残された1~2月の2カ月間に重点課題を継続推進し、決算の最良化を通じて来期黒字化を達成するための基盤を作ること。2つ目は、来期に確実に基礎収益力の回復、黒字化を実現し、再生プランを完遂すること。3つ目は、策定途上にある成長戦略を完成させ、再来期以降の会社成長を実現するための基礎的な施策に着手すること。これらの課題を全社員と共有し、会社再生の実現を目指したいと思います。

コロナ禍は未だ終息せず、出口が見えない悩ましい状況が続いています。まだまだ先行き不透明な環境が続くと思われますが、社員一丸となって乗り越え、目標達成に邁進したいと考えています。私もこれまで同様、本年も常に陣頭に立って、ミッションの遂行に取り組む覚悟です。


ヒト・モノ・コトを見直し、つくり手の考えを伝え続ける

川辺 社長 岡野 将之

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大によって、世界経済はもとより日本経済もかつてないほどの打撃を被りました。本来はオリンピックイヤーで、内需だけでなくインバウンド需要にも期待を寄せていましたが、それも壊滅的な状況に陥り、当社においても極めて厳しい状況となりました。

しかし、コロナ禍で時計の針が一気に進み「ニューノーマル」、「新しい生活様式」などの言葉に代表されるように、消費の新潮流が生まれ、「ウィズ・コロナ」および「アフター・コロナ」時代のビジネスチャンスの芽が見付かり始めた1年でもありました。

今年は、昨年の経験から「ヒト、モノ、コト」の価値を見直し、実行に移す年にしていきたいと考えます。

ヒトに関しては、特定の技能やスキルを持つ人材がますます稀少となる時代になってきました。特に自分の「得意」を発揮し会社に貢献する機会が増え、社員の視点が企業価値の掘り起こしに繋がり始めています。リモートワークやオンラインビジネス、SNS活動の普及にあたり、社員個人の価値を会社がしっかり見直して生かしていきたいと考えます。

モノに関しては、20年にニッチな商材と環境に配慮した商品が非常に支持されました。ニッチな商材はSNSを通じ人から人への広がり度が高く、好きなものを追求する傾向や購買意欲も高いと感じ、今後の大きなビジネスへ発展する可能性を感じています。環境に配慮した商品は、消費者が今や当たり前と感じ始めており、「応援消費」と相まって今後さらに見直しを強化していきたい商材です。

コトに関しては、これまでも参加型や体験型のイベントなどを行ってきましたが、今後はさらにモノの魅力を伝えるために、エンターテイメント性が必要と考えています。インスタライブやライブコマースだけでなく、「新たな体験」をしてもらい、価値を感じていただくためにコトの伝え方の見直しにも力を注ぎます。

お客様(消費者)との距離感が、コロナ禍で非常に近くなったからこそ、ヒト、モノ、コトに力を注ぎ、つくり手の考えを消費者に「ダイレクト」で伝える時代だからこそ、3つのことを見直す必要性を感じます。

人も消費も心で動くもの。消費者から応援される企業として、オンラインでもオフラインでも、伝え続ける21年にしていきたいと思います。


ブランドポートフォリオに基づく新事業運営体制が始動

カネボウ化粧品 社長 村上 由泰

2020年を振り返ると、国内市場は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響による消費の低迷やインバウンドの消滅など、化粧品業界にとって大変厳しい状況となりました。カテゴリーで見てみると、外出機会の減少やマスク着用の常態化により、口紅とベースメイクへのダメージが甚大です。

スキンケアは、いわゆる「おうち時間」を利用して、今まで以上に時間をかけて丁寧に肌を手入れする傾向もみられ、比較的堅調に推移しました。とはいえ、非常事態宣言解除後に一時的な回復基調があったものの、第2波、第3波の影響で市場の回復は遅れており、依然として不安定な状況が続いています。

一方、世界に目を向けると、中国市場は早期に感染拡大を抑え込んだことで、ECが力強く牽引して市場がいち早く回復。欧米も度重なるロックダウンにより厳しい状況にありましたが、経済活動との両立により、回復の兆しが見え始めてきています。

花王グループの化粧品事業は、20年を新成長戦略をさらに加速させるための重要な年と位置付け、「新グローバルポートフォリオ」に基づいて存在感のある強いブランドづくりを推進してまいりました。コロナ禍によってプレステージブランドが苦戦を強いられる中、「KANEBO」においては、昨年2月のリブランディングによるブランド育成が順調に進み、CMがギャラクシー賞テレビCM部門大賞を受賞するなど、“希望を発信するブランド”として多くの方に認知していただけたのではないかと思います。

また、昨年は「トワニー」、「リサージ」といった主力のカウンセリングブランドのリフレッシュを行いました。さらに、エシカル視点を取り入れ発売した「athletia」ブランドを上市(じょうし)するなど、ESG視点の事業運営を加速してまいりました。

コロナ禍は人々の価値観、生活行動を大きく変え、5年かけて変わる世の中のトレンドを2週間に速めたとも言われています。しかし私は、これらの急速な変化を“危機”ではなく、これまで課題として認識してきた取り組みをより加速させる“機会”と捉え、やるべきことがより明確になったと考えています。

例えば、“インバウンド依存からの脱却”や“デジタルシフト”といった側面においては「キュレル」、「フリープラス」で中国のECの取り組みが軌道に乗り始め、昨年11月のW11(=ダブルイレブン、独身の日)も前年の約70%増を達成するなど、インバウンド需要の減少を中国での売上げ増にシフトすることができており、今後の明るい材料と言えます。

コミュニケーションのデジタル化についても、その活用を加速させています。「SENSAI」「KANEBO」、「ルナソル」では、「LINEミニアプリ」を導入することで、オンラインとオフラインの垣根を超えてお客様との絆をより深めるためのコミュニケーション、取り組みを進めており、オンラインカウンセリングやライブイベントにも積極的に取り組んでいます。

そして今年1月には、我々の新成長戦略をより力強く加速させるために、これまでのブランドの管理および運営体制を見直し、ブランドポートフォリオに基づく新たな事業運営体制をスタートします。

21年は「ニューノーマルへの着眼による新価値提案」、「ESG視点でのモノづくり、社会貢献活動」、「プレステージスキンケアブランドの強化」に取り組んでまいります。

花王グループの化粧品事業は、今後とも“個性ある尖ったブランド群”を通して、1人1人、その人ならではの「美」と「個性」に寄り添い、確かなサイエンスと溢れる感性で、引き出し輝かせることで、希望と“きれい”を提供し続けてまいります。