チョコの祭典バレンタイン 〝自分買い〟を深化 会場限定の仕掛けで集客
〝チョコを楽しむ祭典〟という意味合いが年々強まるバレンタイン。義理チョコを減らし、その分自分用に高級なチョコを買うという人も多く、各店は「自分買い」需要をターゲットに施策を打つ。会場にはイートインのスイーツを充実させ、特別なイベントを開催するなどして来店を促進。品揃えではフェアトレードなどの「エシカル消費」や「健康志向」などをキーワードに、付加価値の高い商品を揃える。バレンタインは、百貨店が獲得を狙う20代~30代の女性が大勢訪れる好機だ。各店は「今、ここでしか体験できない」価値を提供し、女性の心を惹き付ける。
最近のバレンタインは、自分のためにご褒美としてチョコを購入するなど、催事を主体的に楽しむ傾向が強い。各店はイベントやイートインなどを充実させ、「会場でしか味わえない体験」の提供に注力する。髙島屋は回転寿司のように回るパフェのトッピングから好きなものを選び、自分のオリジナルを作る「パフェ ゴー ラウンド」を横浜店、新宿店、日本橋店で開催する。「モンサンクレール」の辻口博啓シェフが監修した。時間を区切っての入れ替え制で、1回で税込1980円となる(ドリンク付き)。
松屋銀座本店は、イタリアで25年以上行われているヨーロッパ最大級のチョコレートの祭典「ユーロチョコレート」を関東地区に初めて誘致。チョコレートの塊をその場で割って量り売りするなど、ヨーロッパのマルシェのような雰囲気を体感できる。日本初の5ブランドを含む全12ブランドを扱う。
近年拡大しているイートインは、定番となったソフトクリームを充実させ、それ以外のスイーツも始める店舗が多い。催事会場の魅力の向上だけでなく、複数買いによる単価のアップも期待できる。西武池袋本店は商品数を昨年から4アイテム増やし、全12アイテムを用意する。昨年好評だったソフトクリームに新店舗を入れ、ホットサンドイッチやロリポップチョコレートなども展開。三越日本橋本店も抹茶味のショコラドリンクやワッフル、ホットミルクなどを新規に導入する。
エシカルやヘルシー充実
品揃えでは「自分買い」ニーズに向け、フェアトレードやオーガニックなどのエシカル消費や、健康志向といった付加価値での訴求が活発化している。松屋銀座本店では、タブレットチョコレートの売上金の一部を、途上国の女の子をサポートするNGOに寄付するキャンペーン「#サポチョコ」を実施する。初回となる昨年は店頭表記のみの告知だったが、反響が大きかったため、今年はカタログにも表記。活動の輪をより一層広げる。
西武池袋本店も売上の一部が公共財団法人を通じてザンビアの女性支援に活用されるチョコや、オーガニックカカオを使用したチョコなど、人や環境にやさしい商品を用意する。
髙島屋は三井製糖と協業し、ゆっくりと消化吸収される糖質「パラチノース」を使った体にやさしいチョコレート菓子を提案。「マ・プリエール」のチョコレートケーキなど、有名ブランドの商品を揃える。
また、他とは違う切り口でアプローチをする店舗も。三越日本橋本店は「チョコレート愛への目覚め」と銘打ち、喜怒哀楽の感情に合わせた4種の味の詰合せなど、見た目や味わい、食感など5感で刺激するチョコを集める。これはチョコの楽しみ方をより深く知ってもらい、さらには「バレンタインだけでなく長期的な“チョコレートファン”になってもらうため」(同店担当者)だという。
バレンタイン市場は縮小傾向にあるというデータもあるが、催事における百貨店の優位性は他の競合と比べても高い。販促策や品揃えに磨きを掛けることで、今年もさらなる盛り上がりが見られそうだ。