2022年9月 大手百貨店4社売上高
軒並み2桁増、高額品の好調が持続
大手百貨店4社の9月売上高は、全て前年比で2桁増を記録した。三越伊勢丹は21.9%増、高島屋は24.1%増、大丸松坂屋百貨店は18.3%増、阪急阪神百貨店は36.1%増。引き続きラグジュアリーブランドをはじめとする高額品が好調だったほか、新型コロナウイルス禍の一段落で、大半のカテゴリーが伸びた。
高島屋の24.1%増には法人事業(91.3%増)やクロスメディア事業(10.8%減)が含まれており、それらを除くと23.6%増。店舗別では新宿店(39.4%増)、岐阜高島屋(30.6%増)、大阪店(26.7%増)の伸長が目立ち、日本橋店(19.9%増)、洛西店を含む京都店(18.8%増)、「タカシマヤ フードメゾン 新横浜店」を含む横浜店(18.0%増)など大型店も好調だった。同社によれば「緊急事態宣言に伴い売上げが減少した前年の反動に加え、高額品が好調だった」という。免税売上げは153.0%増と前年から急増したが、コロナ禍前の19年比では54.2%減。法人事業は大口受注が嵩上げした。入店客数は17.8%増。
商品別では、衣料品のその他衣料品(8.7%減)、食料品のその他(1.1%減)を除いて全てプラス。中でも食堂・喫茶(51.8%増)、身のまわり品(44.9%増)が大きく伸ばした。
三越伊勢丹は、法人外商事業やEC事業、小型店舗を含む伊勢丹新宿本店、小型店舗を含む三越日本橋本店、三越銀座店、伊勢丹立川店、伊勢丹浦和店の合計が27.9%増、地域事業会社の合計が12.1%増、全体で21.9%増。同社によれば「コロナ禍の影響は限定的で、高額品への購買意欲が高かった。特に伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店は消費増税前の駆け込み需要があった19年には届かなかったものの、18年は大きく上回った」という。
商品別では家電(13.2%減)を除いて全てプラス。食堂・喫茶(54.2%増)、身廻り品(27.7%増)、雑貨(26.2%増)、婦人服・洋品(26.1%増)らの伸長が目立った。
大丸松坂屋百貨店は、直営店の合計が17.6%増(既存店は21.6%増)、法人・本社等が43.0%増、関係百貨店の博多大丸と高知大丸を含めた百貨店事業の合計が18.3%増(既存店は21.8%増)。旅行者や出張者の増加で東京店(38.6%増)の復調が目覚ましく、前年比では札幌店(34.5%増)や京都店(26.1%増)、心斎橋店(23.9%増)、博多大丸(18.9%増)が続く。入店客数は百貨店事業合計が27.6%増(既存店は30.9%増)。
商品別では、家庭用品(5.6%減)とその他(4.8%減)を除いてプラス。前年比は食堂・喫茶(64.0%増)を筆頭に、美術・宝飾・貴金属(28.8%増)、菓子(27.5%増)、婦人服・洋品(24.7%増)、化粧品(18.1%増)と並ぶ。主力の婦人服・洋品は「ラグジュアリーブランドが引き続き好調を持続したほか、ワンピース、ジャケット、ブルゾンなどの高単価品が伸ばした」(同社)という。菓子はコロナ禍前の19年度を上回った。
阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店が35.4%増、阪神梅田本店が249.2%増、支店の合計が14.6%増、全店合計が36.1%増。支店では博多阪急(34.1%増)、神戸阪急(28.3%増)、阪急メンズ東京(15.2%増)、高槻阪急(11.5%増)が2桁増、西宮阪急(6.4%増)、川西阪急(2.0%増)、千里阪急(1.8%増)、阪神・御影(1.7%増)も前年を上回った。入店客数は全店計で42.3%増。
商品別は軒並みプラス。前年比では食堂・喫茶(147.6%増)、身の回り品(51.1%増)、雑貨(39.8%増)、衣料品(29.8%増)、食料品(29.6%増)と続き、衣料品では婦人服・洋品(35.1%増)が最も伸びた。
(野間智朗)