2024年11月19日

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東京ソワール、「式典服」のセミカスタムオーダーサービス

オリジナルの生地と職人の技術による仕立てで、華やかなシーンでの装いをサポートする

東京ソワールは先ごろ、式典や叙勲、結婚式に着用される世界基準のフォーマルウエア「正礼装」のスーツをセミカスタムでオーダーできるサービスを開始した。三越日本橋本店の本館4階にあるフォーマルサロンで受け付けている。スーツはジャケットとドレスのセットで2通りの内容。デザインと色は各2種類の計4種類、サイズは5~19号までの計8種類から選べる。価格は55万円と33万円。設計から縫製、仕上げまで自社で一貫して行い、約3週間で完成する。

「正礼装」は、国際プロトコール(各国間で取り交わされる公式国際儀式)に準ずる装いのこと。叙勲や褒章の伝達式、式典や結婚式に着用され、フォーマルな場面では最も格式の高い装いに位置付けられる。仕立ては、専任のコンシェルジュが客一人一人の身体に合わせて採寸、同社の技術専任チームが1着ずつ縫製する。丈の変更に伴って変化するシルエットバランスも1着ずつ確認し、必要時には型紙の修正も行う。

「モデルA」シルク100%の米沢織の素材を使用。深みのある光沢感が優雅な品格を演出する

正礼装のオーダー内容は、昼用の「アフタヌーンドレス」の2型を用意した。1つ目の「モデルA」は、シルク100%の「シャンブレーシャンタン」の表地を使用。深みのある光沢が特徴で、色はピンクとネイビーを揃える。ジャケットは襟元をラウンド型にデザインし、ワンボタンのすっきりとした仕様。くるみボタンとデザインボタンの2種類から選択でき、選ばなかったボタンはスペアで提供する。ドレスはバックに分量を持たせたフレアなフォルムで、優雅な品格を纏うデザインに仕立てた。価格は55万円。

「モデルB」米沢織のふくれジャガードの生地を使用。繊細な立体感が上品な印象を与える

2つ目の「モデルB」は、ポリエステル90%とシルク10%の「ふくれジャガード」の表地を使用し、立体感のある上品で華やかな見た目と、軽やかな着用感を実現した。使用する先染め糸の経糸と緯糸の色を変えた深みのある素材感が特徴。色はスカイブルーとネイビーのブルー系2色を揃える。ジャケットはスタンドフリルを施した襟元で、ドレスは細身のロングワンピースに仕立て、クラス感のある装いを演出する。価格は33万円となる。

いずれの生地も、国内有数のシルク織物の産地である山形県米沢市で開発している。

専任のフォーマルコンシェルジュが、サイズや着こなしの相談も受けながら採寸を行う

セミカスタムオーダーは、既成のシルエットの美しさと、客の身体に合う最適なサイズの両方を叶えることができるのが魅力のサービス。

まず採寸は、客一人一人に専任のフォーマルコンシェルジュが付く。5~19号サイズのサンプルを試着してもらい、袖丈、着丈、ウエストの寸法を測る。

次に型紙作成のプロである専任パタンナーが、採寸後の型紙を1着ごとに確認。既存デザインのシルエットを保ちながら、ベストなバランスに仕上げる。必要に応じてウエスト位置の調整も行う。一般的なお直しは丈の長さの調整のみだが、それとは一線を画す対応だ。

縫製から仕上げの工程は、技術担当のチームが一貫して行う。熟練した職人が、生地の特性に合わせ、手縫いとミシン縫いを使い分けて縫製する。裏地の袖ぐりを全て手縫いでまつることで、しめつけの少ない柔らかな着心地を実現。さらに、折り返した袖口が美しくみえる「額縁仕立て」や、歩行時に美しい裾さばきになる「裾巾」、裏地のまつりを手縫いし着用にゆとりをもたせる「中とじ」など、高い手縫いの技術が各所に取り入れられている。ミシン縫製では、生地の特性とデザインにミシンの針目を合わせ、縫い目の間隔を調整する。ウエストとショルダーラインの針目を変えるなど、身体の可動域に合わせて微細な調整を行う。

最後にアイロンがけを行う。仕上がりを左右する大切な工程で、袖口や襟、裾など細部に至るまで、熟練のテクニックにより美しいフォルムが完成する。

合格者に配布される「栄典フォーマルアドバイザー」の認定証

同社は、販売員の育成と知識習得を目的とした社内資格制度「栄典フォーマルアドバイザーライセンス」を独自に導入している。全国の販売員を対象に研修と認定テストを実施し、現在は合格した772人が取得し、客へのきめ細やかな対応の向上に励む。2017年に創業者である故・児島絹子氏が藍綬褒章を受章したのを機に制度が開始された。フォーマルに関する「新規産業功績」と、その継承への思いを込めた藍色の認定バッチも資格者に配布される。