松屋、中元商戦でネット通販に本腰
松屋は中元商戦でインターネット通販に本腰を入れる。品揃えを昨年から50点以上増やすとともに、送料無料や「松屋ポイントカード」のポイントが5倍といったメリットを打ち出し、売上げを前年の1.8倍に引き上げる。一方で、中元の販売やギフトセンターの運営は効率化。従来の「全国送料無料ギフト」を「全国送料110円ギフト」に変更し、銀座店のギフトセンターは展示見本を約3分の1に減らして買い取りや寝具のイベントなどを併催する。収益性の向上や物流費、什器のレンタル料、人件費の圧縮が狙いだ。中元を販売する期間はネット通販が5月27日~7月26日、ギフトセンターが6月1日~7月19日。
松屋のネット通販は、980点が全国送料無料。ネット通販で中元を購入すると松屋ポイントカードのポイントが5倍になるほか、新規の利用者には先着で1000人に1000ポイントを付与する。ネット通販の売上げは、昨年の中元商戦が一昨年の2.1倍、歳暮商戦が同じく1.9倍と好調で、さらなる伸長を狙う。
特に高齢者はギフトセンターでの注文がメインで、その縮小とネット通販へのシフトにはリスクも小さくないが、松屋の飯田尚思営業一部食品二課バイヤーは「物流のコストが高騰しており、什器のレンタル料や人件費の圧縮にも繋がる。今回の体制は試金石で、高齢者には丁寧に説明してネット通販の利用をサポートしたい」と狙いを明かす。結果が芳しくなければ、歳暮商戦では戻すという。
6月1日には、報道陣に中元商戦の“新体制”を説明した。その途中、高齢女性の2人組がギフトセンターの縮小を目の当たりにし、「三越に行ってみよう」と立ち去った。恐らく、近隣の銀座店だろう。松屋のネット通販へのシフトが、銀座地区での中元商戦に、あるいは百貨店業界の中元商戦に、どういう波紋を投じるか。注視すべき変革だ。
(野間智朗)