松屋が2023年の福袋を発表 コロナ禍でできなかった体験を叶える
松屋は25日、2023年の福袋を発表会形式で公開した。テーマは「コロナ禍でできなかったことを叶える!」、「円安や物価上昇に対抗!」の2つ。国内外の客が戻り始め、今までできなかったことに挑戦したいというポジティブな機運が高まっている一方で、円安や物価高など家計を悩ませる経済状況の継続も見込まれる。こうした状況から「初売りでは福袋で少しでも明るい気持ちになってほしい」との願いを込めて、特別なイベントが楽しめる体験型の福袋と、食品から宝飾品まで揃えた生活応援型の福袋を充実させる。今年は銀座店と浅草店、インターネット通販を合わせて約1万8000個を用意し、売上げ前年比103%を目標に掲げる。
福袋は、店頭と「松屋オンラインストア」で販売する。店頭は年内分を12月26日に、年始分を1月2日と3日にそれぞれ各売場で販売。オンラインストアでは約200種類、約3500個を用意し、受け付けは前年より2週間早める。第1弾は11月2日~12月18日、第2弾は12月1日~12月30日となる。
25日は、発表会形式で“目玉”となる福袋が紹介された。体験型の福袋は「ハワイ高級コンドミニアム宿泊体験」(1点限定、20万2300円)で、高級コンドミニアム「ワイエア」の5泊7日の滞在権にキャリーケースやアロハシャツなどのトラベルグッズが付く。宿泊に用意される部屋は、各3つのベッドルームとバスルームがあるおよそ223㎡の3LDKで、最大6人まで利用が可能。購入価格は7億円以上となるラグジュアリーなコンドミニアムで、世界的な高級不動産仲介ブランドの「リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ」が提供する。
相互送客に取り組む阪急メンズ東京と開発した「A LITTLE CHANGE TOUR~銀座・有楽町探訪~」は、初のコラボ福袋。男女ペア1組限定で、価格は140万円相当が100万円となる。キーワードは「2つの百貨店がつなぐ銀座・有楽町エリアでの特別な体験」。5つ星ラグジュアリーホテル「ザ・ペニンシュラ東京」でのランチと宿泊や、両店で男女それぞれ50万円分の買い物とプロのスタイリストによるコーディネートに、「銀座 吉兆」での夕食と、充実の内容を詰め込む。
阪急メンズ東京の大瀧成章OMO販売企画部マネージャーOMO運営担当は、相互送客の取り組みから「皆、体験を求めていることがわかった。お客様の“知らなかった”を我々が半歩先でご紹介する」。さらに「生活に彩りを加えるのが百貨店の本来の役割。コロナ禍でリアルでできなかったことを取り戻したい」と意欲を見せる。
そのほか、オーダースーツの仕立て券や「Bro Tokyo 銀座店」でのヘアカットやシェービングなどにメンズコスメ5点が付く「銀座の男 美意識工場福袋」(5袋限定、5万5000円、8万円相当)、ゲーム感覚で生ハムのセットやセレクトチーズのセットなどの惣菜(3000~5000円)が当たる「デリガチャ福袋~年の初めの運試し~」(50個限定、1回あたり1080円)を揃える。ガチャガチャは、以前感謝祭で行った「弁当ガチャ」が好評だったため、今回のラインナップに組み込んだ。
8月31日にオープンし話題を呼んだ冷凍食品売場からも、「ハッピーフローズンバッグ」を20袋限定で用意する。価格は3万円相当が送料込みで2万1600円。3品の人気食品に2品の新商品「US プライムビーフモッツァレラチーズバーガー」と「白湯火鍋スープ」の計5品目と、さらに「ブヴェット」など人気のレストラン8店舗で利用できる食事券(1万5000円分)も付く。冷凍食品売場の売上げはオープンからの1カ月間で想定の2倍を記録。大原純総務部広報課広報チームマネージャーは「リピーターも増えてきており、福袋のラインナップに入れてさらに認知度を上げていきたい」と話す。
上り調子のインバウンド需要と円安の状況に向けたラインナップも揃える。「シャトーラフィットロートシルト2008、2010ペア福袋」(3袋限定、33万円、38万5000円相当)は、仏・ボルドー地方の1級シャトー・ラフィットのヴィンテージワインのセット。化粧品では「シュウ ウエムラ」の「ヌードサテン メイク&アルティム8∞ クレンジング オイル キット」(1万3300円)、「ノーズショップ」の「松屋銀座限定 新春 ミニ香水キット5種」(8800円)などを用意。今回初めて英語と中国語に加え、タイ語と韓国語のPOPを用意してアピールする。
物価の上昇に対抗する生活応援型として、「価格据え置き大粒ダイヤモンド福袋」が登場。約2カラットの大粒のダイヤモンドルースが1袋限定で、価格は1200万円相当が550万円となる。物価上昇前の仕入れにより実現した。ほかにも「ハンカチ100枚福袋」(5袋限定、1万1000円、5万円相当)といったボリューム感のある自家需要からプレゼントまで使える福袋を用意する。
イエナカ需要の対応も徹底する。「逸品寝具福袋(プレミアム)」(3袋限定、66万円、100万円相当)は、寝具売場のスリープアドバイザーが厳選した羽毛掛け布団などの上質な寝具類と、栃木県の老舗旅館「板室温泉 大黒屋 」の宿泊ペアチケットをセットにする。「ペルシャ絨毯 シルクの逸品福袋」(1袋限定、202万3000円、350万円相当)は、5大産地であるクム産のシルク絨毯で、約2×3mの楕円形タイプ。白を基調にした上品な色と伝統的なデザインが特徴で、引き続き“おうち時間の充実”に向けて提案する。
浅草店も親子で浅草を満喫できる体験型の福袋を紹介した。「体験がいっぱい浅草お楽しみ袋」は、ベーシックプラン(5500円、8000円相当)とエクストラプラン(1万2200円、1万3000円相当)を用意。ベーシックプランは、「ドンク」でミニクロワッサンの製造や、東武鉄道浅草駅の駅長体験ができ、「浅草今半」の特製弁当と今年10周年を迎えた「エキミセ」の1000円分商品券が付く。エクストラプランは、ベーシックプランの内容に加え、「えびす屋」の人力車で「宮本卯之助商店」が運営する太皷館へ向かい、世界の太皷見学と演奏体験ができるほか、子供の名前を入れたバチももらえる。実施日は1月7日、14日、21日の3回で、1日に大人と子供各1人の最大2組が体験できる。プレゼンテーションの最後に担当者は「コロナ禍で1番我慢を強いられていたお子様達に、色々な体験と思い出をつくってほしい」と、願いを口にした。
松屋の足元の業績は堅調だ。直近の9月の売上げは前年比37.6%増。コロナ禍で多くの人が切望した“体験”と、勢いを取り戻してきた消費マインドによる“本当に欲しいもの”を届けたい––。松屋は皆の願いを詰め込んだ福袋で、23年の初商に挑む。
(中林桂子)