2021年10月 大手百貨店4社売上高
いずれも増収、高額品に加え婦人ファッション活況
大手百貨店4社の10月売上高は、全国で緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の解除に伴い外出機会が増加したこともあり、いずれも前年実績を上回った。引き続きラグジュアリーブランドや高級時計など高額品が好調で、気温低下を背景に婦人ファッションも全般的に好調だった。
大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高前年比は5.8%増となり、前月の減収(0.8%減)から増収に転じた。入店客数も前月のマイナス(6.1%減)から5.6%増まで回復した。店舗別では15店舗のうち須磨と高槻を除く13店舗が増収。心斎橋(15.4%増)、神戸(11.1%増)、札幌(12.4%増)、芦屋(15.1%増)、静岡(25.8%増)が2桁伸長した。商品別では引き続きラグジュアリーブランドが好調で、婦人服が前月(4.8%増)を上回る10.6%増まで伸ばした。雑貨では美術・宝飾・貴金属が前月に続きプラス(7.7%増)で、化粧品がプラス(3.1%増)に転じた。
三越伊勢丹(国内百貨店含む)の売上高前年比は5.6%増となり、前月のマイナス(2.0%減)から増収に転じた。前月も増収(1.6%増)だった首都圏5店舗に限ると7.7%増まで伸ばした。特に都心の新宿、日本橋、銀座の3店舗計では8.6%増となり、前月(2.9%増)より5.7ポイントも高い伸長率を計上した。この3店舗では主要5品目全てが増収となり、ラグジュアリーブランドをはじめ、時計、宝飾、ハンドバッグなどが好調を維持。加えて月後半の気温低下に伴いブルゾンやコートなど重衣料の購買が増えた。一方のグループ店は前月のマイナス(7.2%減)から増収(2.6%増)に転じたものの、都心店に比べ小幅な伸長率にとどまった。
髙島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は5.1%増となり、前月の減収(0.5%減)からプラスに復調した。店頭売上高(法人、クロスメディア事業除く)に限ると、5.6%増となるが、免税(149.5%増)を除くと4.7%増。店舗別では、堺、泉北、岡山以外の10店舗が増収。日本橋(14.2%増)、新宿(12.1%増)、横浜(9.0%増)など大都市の基幹店がけん引した。商品別(同社分類)では、特選衣料雑貨、スポーツ、美術、食料品が前月に続きプラスで、これらに加え紳士服、婦人服、婦人雑貨、宝飾が前年実績を上回った。また、前月が増収だった法人事業(3.4%減)とクロスメディア事業(1.3%減)は共に減収だった。
阪急阪神百貨店の売上高前年比は3.7%増となり、前月の減収(6.9%減)からプラスに転じた。前々年比でも1%増となり、免税を除く国内に限ると9%増まで伸びた。基幹店の阪急うめだ本店が7.8%増で牽引した。同店では婦人ファッション全般が好調で、2桁伸長。加えて100万円以上の高額品も堅調だった。前々年比では6%増となり、国内に限ると21%増まで回復した。10月8日に建て替え先行オープンした阪神梅田本店は9.5%減だった。対して支店は1.9%の増収にとどまったが、博多阪急は2桁伸長(15.9%増)した。