2021年9月 全国百貨店売上高
2カ月連続減もマイナス幅改善、19年比は36%減に
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・190店)の9月売上高は3188億円余で、前年比(店舗調整後)は4.3%減となり、前月(11.7%減)に続き前年実績を下回ったものの、マイナス幅は改善した。前月に続き緊急事態宣言とまん延防止等重点措置による主要顧客の外出自粛などが影響した。ただ、感染者数の減少に伴い、中旬以降、売上高、集客共に回復傾向も見られた。入店客数は前月(13.8%減)よりやや回復し、12.2%減だった。前々年(19年)比では売上高36.4%減(前月32.1%減)、入店客数38.6%減(同44.4%減)となり、前年より売上高は回復水準を落としたが、入店客数は改善した。
3カ月移動平均値は、1~3月8.9%減、2~4月28.6%増、3~5月61.2%増、4~6月44.9%増、5~7月11.7%増、6~8月2.5%減、7~9月3.4%減。春以降、反動増が顕著だったものの、6月以降、回復テンポの鈍化傾向が続いている。
顧客別では国内市場(シェア99.1%)が4.6%減となり、前月(11.8%減)よりもマイナス幅が改善。ただ前々年比では33.6%減となり、前月(28.3%減)よりもマイナス幅が広がった。インバウンド(免税売上高)は42.4%増となり、前月のマイナス(5.9%減)から再びプラスに転じた。ただ前々年比は88.1%減で、厳しい状況が続いている。
地区別では、大都市(10都市)が3.5%減となり、2カ月連続減だが、前月(9.6%減)よりマイナス幅が改善。東京が唯一のプラスで、名古屋は3カ月ぶりにマイナスに転じた。前々年比では37.7%減となり、前月(33.5%減)より水準を落とした。対して地方都市(10都市以外)は6.2%減となり、前月(16.6%減)よりマイナス幅が改善したものの、4カ月連続減。中部が唯一のプラスで、2カ月ぶり。前々年比では32.8%減となり、大都市と同様に前月(28.3%減)よりも悪化した。
品目別では、前月に続き主要5品目が全て前年実績を下回った。食料品は1.0%減の微減にとどめた。物産展など食品催事、和洋菓子や弁当、惣菜、和洋酒が好調で、菓子(0.9%増)と惣菜(3.5%増)が前年実績を上回った。加えて雑貨も比較的健闘し、中でも美術・宝飾・貴金属(1.0%増)が8カ月連続プラス。ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など富裕層を中心とした高額品需要の手堅さを物語っている。衣料品はビジネス関連の厳しさが続いたものの、一部秋物商材やコート、ジャケット、セーターなどが動いた。
主要5品目の前々年比は、衣料品が41.5%減(前月38.7%減)、雑貨が46.9%減(同34.2%減)、家庭用品が35.6%減(同32.8%減)、身のまわり品が38.9%減(同28.5%減)、食料品が14.2%減(同23.2%減)となっており、食料品が唯一前月よりも改善したが、その他の4品目はマイナス幅が広がった。
免税売上高(88店舗)は約29億9000万円で、前年比は42.4%増となった。前月(約33億4000万円、前年比5.9%減)のマイナスからプラスに転じた。ただ前々年比では88.1%減となり、前月(87.0%減)とほぼ同水準のマイナス。購買客数は約6000人で、前年比13.1%増となり、前月(約8000人、31.6%減)のマイナスから回復し、4カ月ぶりにプラス。しかしながら前々年比は98.4%減で、厳しい状況が続く。一人あたりの購買単価は約48万4000円、前年比26.0%増となり、前月の水準(約42万9000円、37.5%増)を単価、前年比共に上回った。