2024年11月19日

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新型コロナ再拡大と天候不順が重なり、全社減収

大手百貨店4社の8月売上高は、全国的な新型コロナウイルス感染症再拡大に加え、降雨日数増の影響で、特に月半ば以降、入店客数が減少した結果、各社増収だった前月から一転して減収を強いられた。ただ前月に続き、百貨店の強みであるラグジュアリーブランドや時計、美術など高額品は概ね堅調で、食料品も健闘した。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む、総額売上高)は5.2%減となり、前月(7.9%増)の増収からマイナスに転じた。前月に2桁伸長(16.6%増)した入店客数も0.9%減のマイナス。直営店の店舗別では14店舗のうち10店舗が減収。増収店舗のうち心斎橋は売上高(23.3%増)、入店客数(22.1%増)共に突出した伸長率だった。3月から8月まで上期累計でも売上高55.6%増、入店客数45.4%増を遂げた。全店合計(関係百貨店含む)の上期は、売上高が27.6%増、入店客数が27.8%増となった。8月の商品別では食料品が菓子や惣菜、その他が堅調で、生鮮食品の落ち込みをカバーしてプラスを遂げた。またラグジュアリーブランドが2桁伸長した婦人服が1.7%減の微減にとどめた。

髙島屋(国内百貨店子会社含む)は大阪を除く全店舗が減収を強いられ、10.0%減。店頭売上高(法人、クロスメディア事業除く)は10.5%減の2桁減となり、前々年比では27.7%減で、前月(15.7%減)の水準を下回った。免税売上高は67.4%増だったが、前々年比では80.6%減となり、前月(83.1%減)とほぼ同水準の厳しい状況が続いた。店舗別では、郊外立地や地方都市店舗の減収が目立った。品目別では、ラグジュアリーブランドや時計など高額品が好調だった身のまわり品(5.9%減)と美術・宝飾・貴金属(2.3%減)が微減にとどめた。また、前年のコロナ影響による受注減の反動で法人事業は前月の減収(15.8%減)から2.3%増の増収に転じた。対照的にクロスメディア事業は前年の反動減で10.4%減のマイナスだった。

三越伊勢丹(国内百貨店含む)は10.8%減となり、6カ月ぶりのマイナス。首都圏5店舗に限ると8.3%減で、対照的にグループ店は14.1%減。グループ店でも名古屋は増収を遂げているが、地方都市店舗のマイナスが目立っている。4月~8月の5カ月累計の前年比は国内合計で29.1%増まで復調。このうち首都圏5店舗が37.5%増、グループ店18.6%増となり、首都圏の「反動増」が顕著に表われている。品目別動向ではラグジュアリーブランドや希少性が高いデザイナーズブランドなど高付加価値商品へのニーズが依然として高く、時計やハンドバッグなどが好調で、加えて、秋物衣料や服飾雑貨にも動きが見られた。

阪急阪神百貨店の売上高前年比は両本店で新型コロナの感染者が多数発生したことにより、食品売場を中心に一定期間自主的に休業した影響で、15.6%減となり、前月の増収(11.0%増)からマイナスに転じた。特に阪神梅田本店の19日間にわたる食品売場の休業に加え、建て替え工事に伴う売場面積の縮小によって68.2%減の大幅減だったことが影響した。旗艦店の阪急うめだ本店は8月17日から地下1階食品と1階アクセサリー・シーズン雑貨売場を臨時休業したこともあり、13.7%減。前月に11%減まで復調していた前々年比では39%減(免税除くと35%減)まで落ち込んだ。支店も緊急事態宣言の発令や天候不順の影響を受けたものの、食品ニーズの高い郊外店が健闘して、8.6%減にとどめた。