2021年7月 全国百貨店売上高
高額品と食品がけん引、再びプラスに、19年比も改善
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・191店)の7月売上高は4020億円余で、前年比(店舗調整後)は4.2%増となり、4カ月ぶりのマイナスだった前月(1.6%減)から、再びプラスに転じた。時計・宝飾品など高額品と、イエナカ需要増による食料品がけん引した。入店客数も前月のマイナス(5%減)から3.6%増のプラスに転じた。前々年(19年7月)比では売上高が17.4%減、入店客数が30.0%減となっており、前月よりも改善したものの、「8掛け」状態が続いている。
3カ月移動平均値は、11~1月18.6%減、12~2月18.0%減、1~3月8.9%減、2~4月28.6%増、3~5月61.2%増、4~6月44.9%増、5~7月11.7%増。コロナ禍の2巡目に入り春以降の反動増が顕著だが、5月以降、反動増が落ち着いてきた格好だ。
顧客別では国内市場(シェア99.0%)が4.1%増となり、前月のマイナス(2.1%減)からプラスに転じた。前々年比では13.0%減だが、前月(16.7%減)よりもマイナス幅は改善した。インバウンド(免税売上高)は22.2%増で、5カ月連続増だが、前々年比では86.2%減となり、前月(84.0%減)とほぼ同水準の苦戦が続いた。
地区別では、大都市(10都市)が6.4%増となり、前月(0.4%増)を上回る伸長率で、5カ月連続増。10都市のうち7都市がプラスで、中でも東京、京都、神戸、福岡の4都市が5カ月連続増だった。対して地方都市(10都市以外)は1.2%減で、前月(6.5%減)よりも改善したものの、2カ月連続減だった。北海道、東北、中国のマイナスが響いた。ただ、前々年比では大都市の18.5%減(前月21.7%減)に対し地方都市は14.4%減(前月17.6%減)となっており、依然として大都市の厳しさが続いている。
品目別では、主要5品目で家庭用品以外の4品目が前年実績を上回った。前月もプラスだった身のまわり品(7.8%増)、雑貨(10.6%増)、食料品(3.7%増)に加え、衣料品(0.8%増)がプラスに転じた。2桁伸長した雑貨では美術・宝飾・貴金属が30%増でけん引し、前月(25.8%増)に続き突出した伸長率で、前々年比でも9.1%増だった。
身のまわり品ではラグジュアリーブランドのバッグや、日傘、アクセサリーなどが動いた。食料品は内食需要の高まりを背景に、和洋惣菜、弁当、鰻、和洋菓子、酒類などに加え、手土産需要が堅調だった。菓子と惣菜は5カ月連続プラス。衣料品では婦人服がけん引。ブラウス、カットソーなどカジュアルアイテムが動いたが、クリアランスでは生産抑制による在庫不足が見られた。家庭用品は2カ月連続減で、家電が8カ月ぶり、家具が5カ月ぶりのマイナスに陥った。
主要品目の前々年比は、衣料品が26.5%減、雑貨が17.9%減、家庭用品が20.6%減、身のまわり品が13.6%減、食料品が8.3%減。さらに細分類では化粧品36.3%減、婦人服25.5%減、紳士服28.0%減となっており、多くの品目が先月よりマイナス幅が改善している。
免税売上高(88店舗)は約38億7000万円で、前年比は22.2%増となり、5カ月連続増。購買客数は約9000人で、32.0%減となり、2カ月連続減。前々年比では売上高が86.2%減、購買客数が97.9%減で、前月(売上高84%減、購買客数97.9%減)とほぼ同水準の厳しい状況が続く。一人あたりの購買単価は約42万7000円、前年比79.9%増で、前月(約46万6000円、前年比116.2%増)をやや下回った。