2020年12月 全国百貨店売上高
15カ月連続減に、大都市圏の2桁減が続く
日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・196店)の20年12月売上高は5464億円余で、前年比(店舗調整後)は13.7%減となり、前月(14.3%減)より0.6ポイント改善したものの、15カ月連続減となった。月前半から歳暮やクリスマスケーキ、おせちの受注が好調で、引き続き高額商材の需要が底堅かったものの、中旬以降、新型コロナ感染症再拡大に伴う外出自粛の影響が色濃く表れた。
3カ月移動平均値は、4~6月51.7%減、5~7月34.1%減、6~8月20.4%減、7~9月25.6%減、8~10月20.5%減、9~11月17.8%減、10~12月10.8%減。10月の復調で、12月までの暦年で捉えた第4四半期が10%台のマイナスまで回復している。
顧客別では国内市場(シェア99.4%)が10%減で、対して入国規制の影響が続くインバウンド(免税売上高)は88.6%減と、依然として激減状態を強いられている。地区別では地方都市(10都市以外)が、前月(10.2%減)より1.9ポイント改善。対して10都市は、前月(15.9%減)より0.1ポイント改善したものの、地方都市との格差が広がり、15カ月連続減となった。10都市では前月に続き新型コロナ感染症再拡大の影響が大きい札幌(前月33.3%減)のマイナスが目立ち、広島、大阪が2割前後のマイナスを強いられた。
品目別では、前月に全て2桁減だった主要5品目のうち、家庭用品と食品が1桁台のマイナスに戻った。年末年始の帰省自粛などから「イエナカ消費」、「巣ごもり需要」の高まりが顕著に表われた。この傾向を象徴するのが家庭用品で、特に家電は、調理家電などがけん引し、1.5倍近く伸び、2カ月ぶりプラス。加えてリビング関連や寝具類も好調だった。
イエナカ消費に必要な食品ではおせちやクリスマスケーキが好調だった。ただ菓子は2桁減で、食品全体で15カ月連続減。また雑貨では引き続き美術・宝飾・貴金属が堅調で、3カ月連続プラス。ただ、化粧品は11カ月連続減で大幅なマイナスが続いた。衣料品は前月に続き最もマイナス幅が大きく、15カ月連続減。引き続き紳士服、婦人服が伸び悩んでいる。
免税売上高(89店舗)は、34億4000万円、前年比88.6%減となり、前月(約27億9000万円、89.3%減)とほぼ水準の減少率で、11カ月連続のマイナス。購買客数は97.8%減の約9000人で、前月(98.2%減、約7000人)よりも増えた。一人あたりの購買単価は約36万円、前年比427.7%増となり、先月(約38万円、495.4%増)と同様の高伸長が続いた。