2024年11月19日

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既製品の不満を解消 三越伊勢丹「アーム イン アーム」CF活用でムダなく

三越伊勢丹は、顧客の声を反映させた衣料品を開発して販売するインターネット通販限定のSPA型ブランド「arm in arm(アームインアーム)」で、国内最大級のクラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」を利用する。腰が張った女性でも下半身がスッキリと見えるフレアスカートなど10型を、2月上旬~下旬にマクアケへ出品。設定金額に届いた型だけを生産し、在庫の余剰の防止と環境負荷の低減に繋げる。

 

アームインアームは、2019年の春夏に誕生。「顧客との共創」をテーマに、顧客の声を商品開発に反映させてきた。環境への負荷を軽減する「サステナブル」も重視。「もっとピンポイントで女性の悩みにフォーカスするとともに、余剰な在庫を減らすため、ブランドを立ち上げた当時から検討していたクラウドファンディングの活用を決めた」(本田彩夏デジタル事業部アームインアーム営業部開発2バイヤー)。

 

まず、昨年の11月上旬に「インスタグラム」の機能で、「上半身のお悩みは何ですか?」など約30項目のアンケートを実施。次に、約3000人から寄せられた回答から、多かった身体の悩みやシーン別の困り事などの解決法を、選択式のアンケートで募った。例えば「腰まわりがスッキリ見える解消アイテムを一緒に作るなら?」という質問には「パンツ」か「スカート」で答える。さらに、ブランドの会員やインスタグラムのフォロワーらに座談会への参加を依頼。より深く意見を交わし、最終的に10型に落とし込んだ。

 

10型には、いずれも工夫が光る。「もう『太った?』と言わせない! 大胸さんのためのすっきり見えブラウス」は、「既製品では胸部が引っ張られて裾が上がってしまう」、「ボタンとボタンの間が開いて下着が見えてしまう」といった悩みを、縫製やボタンの間を狭くするなどで解消。「腰張りさんだって履きたかった!すっきり細見えテーパードパンツ」は、ファスナーを3cmほど長くして履く時に腰で引っ掛からないようにしたほか、腰囲を大きめにして胴囲との差を広げて「腰に合わせてMサイズを選ぶとウェストが余る」という悩みに対応した。「腰が張った体型の女性はワイドパンツを勧められがちだが、テーパードパンツも履きたい。デザインでは縦のラインを強調し、視覚的にもスッキリと見える」(本田さん)という自信作だ。

 

10型は、2月上旬~下旬にマクアケへ出品。価格帯は5000円~1万円で、目標金額は30万円~50万円に設定する。期限は1カ月で、達成すれば生産工程に入り、出資者には4月末~5月上旬に届く。生産はアミアズとシタテルが担う。

 

ブランドの誕生から約1年。インスタグラムのフォロワーは1万を超えた。本田さんは「多くの人に共感して貰えたのは財産だが、課題もある。CFで修正し、よりサステナブルなブランドを目指す」と2年目の進化を誓う。