三越伊勢丹HD、 フィリピンに初出店 11月18日に先行開業
三越伊勢丹ホールディングスは11月18日、フィリピンの首都マニラに商業施設「MITSUKOSHI BGC」を先行オープンする。野村不動産、フィリピンの不動産大手「フェデラルランド」と3社で共同開発している大型複合開発プロジェクトによるもので、約1万5000㎡の敷地に建設する。建物は地下1階~地上3階が商業施設で、その上が4棟の住宅棟「ザ・シーズンレジデンス」(地上3階~最高棟地上54階、総戸数約1400戸)となる構造。商業施設の延床面積は約2万8000㎡で、テナントは約120店舗が入る。日系百貨店と日系デベロッパーの複合開発プロジェクトはフィリピンでは初で、三越伊勢丹グループの同国での商業施設開業も初めてとなる。グランドオープンは23年春ごろを予定する。
開発地のボニファシオ・グローバルシティ(BCG)は、フィリピン・マニラ中心部から南東11㎞に位置する。近年、経済成長が著しい新興開発地区で、商業施設やホテル、オフィスや学校、病院などが集積する。ニノイ・アキノ国際空港から約4㎞とアクセスも良く、ファミリー層や富裕層をはじめ各国企業の駐在員が多く居住する。2025年以降には、フィリピン初となる地下鉄「メトロ・マニラ・サブウェイ」の駅の開業が計画されており、さらなる来街者の増加と発展が期待されている。
同施設は「NEXT MANILA LIFESTYLE」をコンセプトに、2国間で共創する“食や美”を通して上質で新しいライフスタイルを発信する。地下1階は、日本の“デパ地下”をイメージした食品とフードコートのフロア。日本の食品を扱うスーパーマーケット「MITSUKOSHI FRESH」をはじめ、アジアや欧米でも人気のクッキー専門店など計33ブランドが出店する。フードコートは、「三ツ矢堂製麺」や「カレーハウスCoCo壱番屋」などフィリピンでも人気のある日本の飲食店が計13ブランド揃う。
1階はビューティーとファッションライフスタイルのフロア。今回を機に誕生したオリジナルビューティーストアの「MITSUKOSHI Beauty」や、フィリピン発のスキンケアブランド「Pili Ani(ピリ アニ)」など計6ブランドのコスメショップが出店。ファッションライフスタイルとしてはアパレルの「SNIDEL」(12月開業予定)や時計の「SEIKO」に加え、「LEXUS」のショールームなども出店する。
2階は生活雑貨とレストランのフロアで、計33ブランドが揃う。日本の書店ではフィリピン初となる「紀伊國屋書店」や眼鏡店の「OWNDAYS」、レストランでは寿司屋の「千両」や、シンガポール発のミシュラン1つ星中国料理店「PUTIEN(プーティエン)」などが23年春ごろにかけて順次開業する。また、フィリピンでは目にすることの少ないキッズやファミリー向けのトイレ、授乳室も同フロアに設置する。
3階は、ARやVRなど最新技術を用いた最新の屋内型アミューズメント施設が開業を予定。若者をメインターゲットに全天候型のエンターテインメント空間を用意する。
施設内の空間デザインは、乃村工藝社が基本構想およびコンサルティングを担当した。「参道」や「通り庭」といった日本伝統の要素を取り入れ、新たな商業空間を提案する。また正面エントランスには、三越の「ライオン像」もシンボルとして設置される。
(中林桂子)