2021年10月 SC・チェーンストア・コンビニ売上高
ショッピングセンター 百貨店が牽引したキーテナントは3カ月ぶりの増
日本ショッピングセンター協会が調査した10月の既存SC売上高前年比は1.4%減となり、前月(9.0%減)よりもマイナス幅は改善したものの、3カ月連続減となった。ただコロナ禍前の前々年比では3.9%減となり、前月(28.3%減)よりも大幅に改善している。同協会では「1日に緊急事態宣言などが解除された後は徐々に来館者が増え、前月から7.6ポイント改善したものの、昨年のGoToキャンペーンなどの消費喚起策が実施されていた反動も影響した」と総括している。
構成別では、キーテナントが0.5%増となり、3カ月ぶりにプラスに転じた。高額品の販売が好調だった百貨店が牽引した。対して、テナントは1.8%減。ただ、前月(10.5%減)よりマイナス幅が改善した。同協会では「前月と比べ、外出意欲の高まり、販促活動の再開、アルコール提供再開、買い控えの反動といった、いわゆるリベンジ消費の傾向が見られたものの、全国的に月前半の気温が高く秋冬物の衣料品販売が伸び悩んだことや、サービス業種でシネマが昨年の『鬼滅の刃』大ヒットの反動を受けたことなどが影響した」と微減まで戻ってきた消費環境を分析している。
前々年比でもキーテナントは1.9%増まで復調しており、対してテナントは5.1%減で、前月同様にテナントの回復度が遅れている。
立地別では、中心地域が0.3%減で、前月(10.3%減)より10ポイント改善。周辺地域は1.8%減となり、前月(8.5%減)より6.7ポイントの改善にとどまった。ただ前々年比では中心地域の11.2%減に対し、周辺地域は0.7%減まで戻している。
業種別では、アルコール提供の再開もあり、仕事帰りや友人同士の会食利用が見られ始めた大都市中心部のSCで回復傾向が顕在化した。
チェーンストア 前月に続きプラス、牽引車の食品は6カ月連続増
日本チェーンストア協会が調査した10月のチェーンストア総販売額(56社・1万1859店)は、1兆884億円余で、店舗数調整後の前年比は3.7%増となり、前月(3.2%増)に続きプラスだった。売上高の7割弱を占める食料品が好調で、衣料品と住関品のマイナスをカバーした。
緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除され、行動自粛などが緩和されたため内食化需要は減少傾向にあるものの、食料品は好調で、4.1%増となり、6カ月連続増。伸長率も前月(4.8%増)とほぼ同水準だった。畜産品以外の農産品、水産品、惣菜、その他がプラスで、その畜産品も0.1%減の微減。この中でも前月(11.1%増)も好調だった惣菜が8.6%増と突出した伸長率。揚げ物、中華、煮物、焼鳥などの温惣菜と要冷惣菜が共に好調だった。加えて弁当や寿司の動きも良かった。
前月(2.7%増)にプラスに転じた住関品は、再び1.4%減のマイナス。前月に続き医薬・化粧品と家具・インテリアが足かせとなった。前者ではマスク、ハンドソープ、除菌シート、うがい薬などが苦戦。後者はタンス・収納家具、羽毛布団、毛布、敷布団カバー、カーペットなどが苦戦した。対して家電製品(4.5%増)とその他(7.4%増)、日用雑貨(2.2%増)が前月に続き健闘した。家電製品では冷蔵庫、テレビ、調理家電、炊飯器、ソーダ―メーカーなどがまずまずの動きだった。その他商品ではアウトドア用品、ペット用品、園芸用品、サイクル用ヘルメット、電動アシスト自転車などが好調だった。
衣料品は前半の気温高の影響もあり季節商品が苦戦した結果、6.6%減。前月(14.2%減)よりマイナス幅が改善したものの、厳しい状況が続いた。細分類では紳士服が6.0%減(前月8.6%減)、婦人服が6.5%減(同9.2%減)、その他が6.8%減(同17.7%減)となっており、いずれも前月と比べマイナス幅は改善している。このうち改善度が大きいその他では、紳士パジャマ、紳士・婦人リラクシング、婦人インナー、スクール衣料、女児パジャマ、女児パンツ、婦人靴下、スニーカーなどがまずまずの動きだった。
コンビニ 全店・既存共に再びマイナスも、客単価5カ月連続増
日本フランチャイズチェーン協会が調査したコンビニエンスストアの10月売上高は、全店、既存店共にプラスに回復した前月から再びマイナスに転じた。全店(7社・5万5938店、店舗数前年比0.1%増)が9100億円余、前年比0.4%減(前月0.9%増)で、既存店は8734億円余、同1.1%減(同0.6%増)だった。
同協会では「昨年のGoToキャンペーンによる行楽需要などの反動」をマイナス要因に挙げている。こうした環境下でも「平均気温が高かったことなどにより、冷し麺、ソフトドリンク、アイスクリーム、酒類などが好調に推移した」と総括している。
来店客数も伸び悩み、全店、既存店共に3カ月連続減。全店が1.3%減(前月3.5%減)、既存店が1.7%減(同3.8%減)。ただ、前月よりも小幅なマイナスに改善している。
しかしながら平均客単価は全店、既存店共に5カ月連続でプラス。全店が0.8%増の673円超(前月4.5%増、714円超)、既存店が0.5%増の676円超(前月4.6%増、717円超)となり、伸び率は前月より低いものの、客単価増を堅持している。