2021年9月 SC・チェーンストア・コンビニ売上高
ショッピングセンター 2カ月連続減も、キーテナント中心に回復傾向強まる
日本ショッピングセンター協会が調査した9月の既存SC売上高前年比は9.0%減で、2カ月連続減となったが、前月(11.6%減)よりもマイナス幅は2.6ポイント改善した。前々年比では28.3%減で、前月(28.3%減)と同水準にとどまった。同協会では「新型コロナウイルス感染者数が徐々に減少すると共に消費マインドの改善と売上げの回復傾向が少しずつ見られ始めた」と総括している。
構成別ではテナントが10.5%減(前月12.8%減)で、キーテナントが3.0%減(同7.3%減)となり、後者のマイナス幅の改善度が大きい。中心地域・中都市のキーテナントでは得意顧客向けの販促策で百貨店の売上げが改善され、プラス(1.1%増)に転じた。前々年比ではテナントが30.0%減(前月31.2%減)に対しキーテナントは21.0%減(同15.6%減)となっており、テナントの回復度が遅れている。
立地別では、中心地域が10.3%減(前月12.7%減)、周辺地域が8.5%減(同11.3%減)。前々年比では順に36.9%減(前月38.9%減)、24.2%減(同23.5%減)となっており、前月同様に中心地域の苦戦傾向が続いた。中心地域でも大都市の前年比12.0%減(前月14%減)となり、前々年比では41.2%減(同43.4%減)の回復度にとどまっている。
業種別では、中食需要を中心に食料品が堅調で、長雨による生育不足の影響で、夏野菜の価格高騰が売上げ増の一因にもなった。飲食は引き続き厳しい状況だが、ファストフードはテイクアウトやデリバリーを実施しているテナントが前年実績を上回った。ファッションは月上旬の気温低下によって秋物衣料が動き始めたものの、中旬以降は残暑の影響で伸び悩んだ。
チェーンストア 主力の食品5カ月連続増と住関品の復調で、再びプラス
日本チェーンストア協会が調査した9月のチェーンストア総販売額(56社・1万1855店)は、1兆510億円余で、店舗数調整後の前年比は3.2%増となり、6カ月ぶりのマイナスだった前月(0.1%減)から再びプラスに転じた。売上高の7割超を占める食料品が好調で、前月がマイナスだった住関品も堅調な推移を見せた。
緊急事態宣言やまん延防止重点措置の発令によって内食化需要が続き、食料品は4.8%増だった。前月(2.4%増)を上回る伸長率で、5カ月連続プラス。前月がマイナスだった農産品が天候不順などの影響で相場高となってプラスに転じ、前月に続き畜産品、水産品、惣菜、その他食品も全てプラス。中でも前月(8.6%増)も好調だった惣菜は11.1%増とさらに伸ばした。前月に続き揚げ物、スナック、中華、焼き物などの温惣菜と要冷惣菜が共に好調だった。
前月(3.3%減)が6カ月ぶりのマイナスだった住関品は、2.7%増のプラスに転じた。医薬・化粧品と家具・インテリアは前月に続きマイナスだったものの、家電製品(13.4%増)とその他商品(29.9%増)がけん引した。家電製品ではテレビ、サーキュレーター、空気清浄機、掃除機、調理家電などが好調だった。その他商品では、前月に続きアウトドア用品、トレーニングウェア、ペット用品、園芸用品、スポーツ自転車などが好調だった。
衣料品は天候不順の影響で、前月(18.8%減)に続き2桁減(14.2%減)を強いられた。前月よりマイナス幅が改善したとはいえ、紳士服が8.6%減(前月15.9%減)、婦人服が9.2%減(同16.9%減)、その他が17.7%減(同20.2%減)となっており、厳しい状況が続いた。
コンビニ 全店・既存共に再びプラス、平均客単価が710円超え
日本フランチャイズチェーン協会が調査したコンビニエンスストアの9月売上高は、全店、既存店共に6カ月ぶりのマイナスだった前月から再びプラスに転じた。全店(7社・5万5949店、店舗数前年比0.2%増)が9139億円余、前年比0.9%増(前月1.4%減)で、既存店は8786億円余、同0.6%増(同1.9%減)だった。
同協会では「たばこ税増税前の駆け込み需要に加え、巣ごもり需要により、温かい調理麺、デザート、菓子類、酒類などが好調に推移した」と総括している。
来店客数は全店、既存店共に前月に続きマイナス。全店が3.5%減(前月6.1%減)、既存店が3.8%減(同6.5%減)で、前月よりも小幅なマイナスに改善している。
対して平均客単価は全店、既存店共に4カ月連続プラス。全店が4.5%増の714円超(前月4.9%増、702円超)、既存店が4.6%増の717円超(同5.0%増、705円超)。共に前月同様に710円を突破した。