2024年11月19日

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ルック、シーンや時期を選ばない服を軸に 実用性と世界観を両立

「キース」はトップス& ボトムスのバリエーションを中心に展開。シーズンテーマを色濃く表現するコレクションも打ち出す

ルックの「キース」、「コレット」、「スキャパ」は今秋、実用的で使いやすいアイテムと、ブランドの世界観を体現した〝見せる〞アイテムの両方を充実させ、メリハリのあるMDを展開する。昨今はテレワークの普及や衣料のカジュアル化、新型コロナウイルスの感染拡大によるイベントの中止などによって、かっちりとした通勤着やオケージョン向けの服のニーズが減少傾向にある。これを受け型数を例年より抑えるが、カラーは豊富に揃え店頭の鮮度を保てるよう計画した。実用的な服のラインでは、オケージョンからデイリーまで様々なシーンに対応できる服を主軸とし、同じ型の素材や絵柄違いなども多く用意。ブランドの特性を生かした商品は、他社とのコラボレーションなどで独自性を出し、客のクローゼットにまだ無いような新しい提案を強化する。

軽量化のトレンドに対応 博物館コラボで独自性

主力であるキースは、販売期間の長いトップスやボトムスを打ち出す。ブランド全体で型数は前年より抑えるが、ニット素材のトップスやブラウス、スカート、パンツは無地、タータンチェック、ガンクラブチェック、フェアアイルといった絵柄や、梳毛、ケーブル編みといった素材の違いでバリエーションを持たせる。コートなどのアウター類は通勤の機会の減少や衣料の軽量化、カジュアル化、近年は暖冬が多いことも踏まえて型数を絞る。

同ブランドは以前から衣服の軽量化やカジュアル化への対応に着手していた。今春、通勤着をメインとする「エッセンシャル」、シーズンごとのテーマを表現した「テーマ」の2ラインから、通勤やタウンなど汎用性が高い「デイリー」、フォーマル要素の強い「エターナル」、シーズンのテーマを凝縮した「カプセル」の3ラインに再編。品揃えの軸をスーツやアウターからブラウス、ニットへと移して展開した。すると売上げは堅調に推移し、今秋冬も同様の方針を進める考えだ。

ヴィクトリア&アルバート博物館が所有するウィリアム・モリスの柄をプリントしたジャガードのスカートを発売する

発売時期も近年の気候を考慮し、先取りしすぎない〝ジャストな季節感〞を意識した。8月下旬は薄手の素材に秋らしい色合いのアイテムを用意。9月上旬も見た目は秋らしいがすぐに着られる商品と、レザージャケットなど少し先取りした商品を揃える。10月〜11月上旬はニット素材のトップスやボトムスをメインに展開し、アウターは本格的なコートの前に着るようなニットジャケットやアムンゼン生地の羽織り物などを販売する。

シーズンテーマを凝縮したコレクションではブランドの世界観を色濃く表現し、競合ブランドと差を付ける。「To The Manar Born」はイギリスの荘園であるマナーハウスから着想を得たアイテムを提案。ここ数年続けているヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)とのコラボレーションとして、V&Aが所有するウィリアム・モリスの柄をプリントしたブラウスとジャガードのスカートを発売する。

「The Scottish Highland」は英スコットランドのハイランド地方の伝統的なタータンチェックやキルトなどのモチーフを取り入れ、同地方の冬景色を思わせるカラーリングの商品を用意する。

 

通勤にもカジュアルにも 汎用性の高さを意識

「コレット」はオケージョン向けのラインでカジュアルにも着られるアウターを用意

コレットもコロナ禍の影響でオケージョンが減っているため、得意とする柄物のカットソー、ジャケット、コートの着回ししやすいアイテムを中心に構成する。型数は前年、前々年と比べて減らすが、素材や色などで幅を持たせる。オケージョン向けの「ノーブル」ラインでは着用機会が減少したことから、従来のコンサバティブなコートを残しながらも、ジャージー素材のトップスやトレンチ風のダウンコートなど、デイリーシーンでも使えるようなアイテムも用意する。

以前はノーブルラインと、タウンカジュアルやトラベルカジュアルの「ウィークエンド」ラインでデザインを明確に分けていたが、服に汎用性を求められるようになっている傾向に対応した。

「スキャパ」はニット素材の羽織り物やジャージー素材のジャケットを充実させた

スキャパは、通勤とカジュアルのどちらでも着られるようなアイテムを拡充。ニットの羽織り物を増やし、得意とするジャケットも、ジャージー素材やニット素材、ゆったりとした肩が落ちるデザインなどを揃える。売上げシェア率の高いニット素材のアイテムは編地や糸の種類、絵柄などで変化をつけてシーズンを通して展開し、売上げの底上げを狙う。

3ブランドに共通して、商品の型数は抑えるが、来店時に常に新しい商品が置いてあるよう、新商品を投入する頻度は保っている。また、トレンドに合わせた新要素を取り入れる一方で、顧客からの支持の源であるブランド独自のテイストや世界観はしっかりと表現する。運用の効率性を重視しながらも顧客の期待を裏切らず、かつ飽きさせない商品展開で、今秋の商戦に挑む構えだ。