2024年11月19日

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新たな“複合型”続々と 注目の20年春夏開業 大型商業施設

今年の春夏シーズンも全国の主要都市で再開発に伴う大型複合商業施設が続々と開業する。特に、有明、豊洲、海岸など湾岸エリアをはじめ、渋谷・原宿、虎ノ門、横浜などの首都圏に注目の施設が多い。昨今の潮流であるミクストユース(複合化)による新しい「街」が創出される。オフィス、ホテル、マンション、公園・広場、多目的ホール、バスターミナルなどと共に開発された「街」の中で、存在価値のある商業施設づくりが問われている。

 

 過ごす・集う場に注力 体験や飲食、空間で魅力化

 

都内の有明と豊洲エリアでは、住友不動産と三井不動産が大規模再開発プロジェクトを進めている。共にミクストユースによる新たな「街づくり」を象徴する再開発だ。

住友不動産は、有明の中心地に位置する約10.7ヘクタールの敷地に大規模複合街区「有明ガーデン」を開発する。最大約8000名収容の多目的ホールや劇団四季専用劇場、749室を有するホテル、約3000平米の温浴施設、分譲マンション、約6800平米の公園や広場、定員280名の認定こども園、そして商業施設で構成され、バスターミナルも設けられる。

 

有明ガーデンの中核施設が4月24日に開業する「住友不動産ショッピングシティ有明ガーデン」だ。地下1階(駐車場)、地上5階建の店舗面積約4万平米に、「豊かに味わう(食のこだわり)」、「楽しく育む(子育てのこだわり)」、「素敵に暮らす(生活のこだわり)」という3つのテーマに沿って、203店舗を集積する。このテーマが昨今の潮流を端的に示している要諦だ。

 

「食」では、「イオンスタイル」を核に、多彩な食物販店舗とカフェやカフェダイナー、レストラン街、フードコートを配置。「子育て」では、屋内キッズスペース、屋上テラスや遊び場、江東区有明子ども家庭支援センターを設け、学習塾から託児型までスクール10店舗や玩具7店舗を集積する。「生活」では、都内最大級の「無印良品」(アネックス棟1~3階、秋開業)を誘致し、ライフスタイルショップ、ビューティやスポーツ関連の専門店を充実させ、さらに内科や産婦人科、歯科、小児科など7つの診療科を設ける。

 

施設(街区全体)には、吹き抜け広場、テラス、シーズンプロムナードなど全11カ所、総面積約2万3000平米超のイベントスペースを配置しており、イベントやワークショップなどを随時開催していく予定だ。いわば賑わいを創出するリアル店舗ならではの集客装置であり、これも商業施設づくりの要諦のひとつだ。

 

三井不動産は、豊洲エリアで最大の再開発プロジェクト「豊洲ベイサイドクロス」を4月24日に開業させる。最先端の機能を持つオフィス、商業ゾーン、ホテルで構成される。この「街」のシンボルが地上36階建ての「豊洲ベイサイドクロスタワー」(延床面積約18万4800平米)で、地下1階から地上4階に商業施設「三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲3」を設ける。店舗面積約7000平米に36店舗を揃える。飲食店を中心に集積するが、4階には内科、整形外科、リハビリテーション科、小児科、耳鼻咽喉科、心療内科のクリニックを集積する。さらに託児所、こどもカルチャースクール、ホットヨガスタジオなどサービス関連も充実させる。

 

隣接する既存の「ららぽーと豊洲1・2」も大規模改装に着手。約180店舗のうち約70店舗を改装する。高感度ファッションとキッズ向けコンテンツ、並びにフードコートとレストランを拡充し、施設ハード面でも快適な滞在空間を再整備する。

 

ららぽーと豊洲の1、2、3は全て接続デッキでつながる。総店舗面積は約6万7000平米に広がり、店舗数214店舗に増える。

 

三井不動産が、渋谷の宮下公園跡で進めている再開発街区「ミヤシタ パーク」も、公園、駐車場、商業、ホテルを一体化する新しいミクストユース型プロジェクトだ。立体都市公園として渋谷周辺エリアをつなぐ全長約330メートルの低層複合施設(南街区と北街区)が6月18日に開業する。

 

「渋谷のエリア特性、公園の持つ魅力、新しい時代における価値観」をポイントに開発。商業施設(南街区1階~4階、北街区地下1階~3階)は、「刺激と快適が交わる4階建ての公園」をMDコンセプトに店舗を誘致し、公園×コミュニティ、ファッション、カルチャー、ナイトエンターテインメント、カフェ・レストラン、マーケットストリートの6カテゴリーで、90店舗を集積する。

 

南街区の1階には日本の古きよき横丁文化を発信する「渋谷横丁」(19店舗)を設け、2、3階にはスポーツブランドやカルチャーブランドを中心に配置。一方の原宿やキャットストリートとつながる北街区の1、2階には高感度ファッションブランドを揃える。

 

この他、「羽田エアポートガーデン」内の商業施設、「ウォーターズ竹芝」内に開業する「アトレ」、JR横浜駅西口の再開発ビルに入居するルミネの「ニュウマン横浜」など、注目の商業施設が続々と開業する。いずれにしてもミクストユースによる各々の立地環境に応じたリアル施設ならではの「過ごす・集う場」創造に注力している。

 

2020年春夏に開業する主な大型商業施設