コーセー、コロナ禍でも攻めの姿勢 DX加速し海外展開を強化
コーセーの2021年3月期第2四半期の連結決算(4月~9月)は、売上高が前年同期比23.7%減の1302億円、営業利益が同85.8%減の40億円、経常利益が同85.6%減の40億円、純利益が同83%減の30億円で、減収減益だった。中国はロックダウン解除後に伸長したが、日本と中国以外の各国で新型コロナウィルス感染症拡大の影響を大きく受けた。今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速やグローバル展開における事業間の連携の強化などを行い、成長へと繋げる構え。
事業別でみると、化粧品事業で中国の免税とECチャネルが「コスメデコルテ」を中心に高伸長したが、主要ブランドは総じてマイナス成長だった。売上高は同24%減の1008億円で、営業利益は同69%減の93億円。コスメタリー事業ではヘアケア「スティーブンノルニューヨーク」が好調だったが、外出自粛の影響によって、クレンジング、サンケア、シートマスク商材が苦戦した。売上高は同23%減の281億円で、営業損失は19億円(前年同期は4億円の営業利益)。
地域別でみると、日本は渡航制限による訪日外国人客数の激減や外出自粛による購買意識の低下により、売上高が同34%減の788億円となった。免税売上げは同92%減の9億円。アジアでは中国がロックダウン解除後に全チャネルが伸長し、売上高が同17%増の367億円。ただし中国以外は苦戦した。欧米・その他は大手流通の大規模休業の影響を受けマイナス成長となったが、ECは大きく伸長した。売上高は146億円で、同25%減。
21年3月期は、売上高が同12.5%減の286億円、営業利益が同57.2%減の172億円、経常利益が同55.5%減の182億円、純利益が同53.2%減の125億円となる見通しで、現時点において通期連結業績予想からの変更はない。
コーセーはコロナ禍によって消費環境が変化していることを踏まえ、リスク回避に留まることなく積極的な事業の最適化に乗り出す。デジタルトランスフォーメーションを加速するため、既存のプラットフォームを生かしてオンラインとオフラインの両軸で顧客体験を追究する。オンラインでは今年3月に、スタッフによるメイクやスキンケアアイテムの情報発信を始め、ECとも連携した。4月には外出自粛となったことから自社ECサイトで取扱うブランドを一時的に増加。特にコスメデコルテで大きな反響があった。
オフラインでは12月17日に、昨年12月に開業したコンセプトストア「Maison KOSE(メゾン コーセー)銀座」に続くフラッグシップストア「メゾン コーセー表参道」をオープン。メゾン コーセー表参道は各ブランドの商品を試せるディスペンサー型のテスター「オートテスター機能」や香水のサンプルを非接触で渡す「オートサンプリングサービス」などを用意し、非接触型の買い物体験を提供する。支払いはすべてキャッシュレス決済で、21年度には店頭で商品を見て決済を完了し、自宅まで配送するサービスの導入を予定する。
グローバル展開ではリソースを共有することで各社の強みを生かし、さらなる成長を目指す。アルビオンは中国のオンラインショッピングモール「T-mall」での展開を強化。タルトは展開エリアに欧州を加える。コーセーコスメポートは中国を基点としたアジア市場でのブランド育成と営業力の強化に注力する。
山梨県南アルプス市に建設予定の新工場は、21年度内の稼働を予定していたが、1年ほど延期する。コロナ禍による需要の変化に対応し、生産規模を見直す。また、年々求められる水準が高まるサステナビリティや環境配慮への対応を強化し、需要の高い消毒液を量産するための設備も導入する。