2024年11月19日

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三陽商会、 “在庫を置かない”ショールーミング型店舗を大丸東京店に

三陽商会 リアル店舗とデジタルの融合、ブランディング強化として新たな販売手法を模索

Part1:SANYO Fitting Store

三陽商会は10月21日、ショールーミング型店舗「SANYO Fitting Store(サンヨーフィッティングストア)」を大丸東京店に期間限定でオープンした。店頭には在庫を置かず、試着・決済を行い商品は希望の場所へ配送するショールーミング専用店舗だ。12月22日まで展開する。

明るく入りやすい店内

滑り出しは好調だ。21日の立ち上がりから25日までの5日間で100万円ほどを売り上げた。店頭では「ネットで気になっていたコートを試着してから買いたかった」(水戸から来店した女性)、「丈感や二の腕の袖幅、胸回りなど本当に自分に合っているかスーツを着た状態で試したかった」(会社帰りの男性)、「感染症が心配なので、だれも触れていない商品が自宅に届くのは安心」といった高評価を得ている。

試着の要望が多いコートの陳列を厚めにしている

「SANYO Fitting Store」は、店頭で商品の試着・決済を行い、購入品は希望の場所へ配送で届ける。店舗在庫を持ないため、過剰在庫のリスクがなくなり、在庫スペースに充てていた場所もラインナップを見せる場所として活用できる。消費者も購入品を配送で受け取ることができるため、荷物を持ち運ぶ必要がなくなる。扱うブランドは「サンヨーコート」(メンズ/ウィメンズ)と「S.ESSENTIALS」(ウィメンズ)で、現在は需要の多いコートをメインに陳列。大丸東京店はコロナ以前から地方からの来店が多い店だ。試着のみで重い荷物を持って帰る必要のないショールーミング店舗との相性は良い。

姿勢が数値化できる分析システムをサービスとして提供した

店舗では、姿勢診断ができる「シセイカルテ」をサービスとして提供した。東大発スタートアップ企業Sapeet(サピート)が提供するAIを使った姿勢分析システムで、全身写真を6枚撮ると、AIが現在の姿勢の歪みや柔軟性レベルを解析する。更に未来姿勢や歩き方を3Dアバターで表現できる。美しい姿勢を保ち、きれいな着こなしを推進するとともに、今の姿勢を数値化し客観的に理解できる。

大丸東京店の婦人服担当城田剛氏は「100年コートの歴史を紹介できる美術館のような、多くの人に足を止めてもらえる場所にしていきたい」としている。ポップアップストアは12月22日まで。

三陽商会は今年4月に発表した「再生プラン」において、チャネル戦略のひとつとして「ショールーミング化による新たな販売手法の模索」を掲げている。「少し前まではショールーミングと店頭は相反関係と思われていたが、今はむしろ相乗効果を狙うツールとなりうる。インターネットから店頭へ、そしてまたインターネットへシームレスでお客様と繋がっていきたい」(三陽商会)としている。今回の「SANYO Fitting Store」は、期間限定として試験的なショールーミングを実施し、課題を見つけることを目的としている。取引先と協調しながらリアル店舗とネットの融合で更なる利便性を高める「ショールーミング」の手法を模索する。