「大丸有」エリアに最大級の緑地空間
大手町・丸の内・有楽町エリアで最大級となる約6000㎡の緑地空間「Otemachi One Garden(大手町ワンガーデン)」が12月16日に誕生した。日本を代表するオフィスエリアである大手町に位置し、目の前にある皇居の広大な緑との連続性によって、緑のネットワークの形成と豊かな緑地空間を創出。都心におけるクールスポットの形成やカーボンニュートラル、生物多様性など環境への貢献も担う。25日まで、世界的なフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏によるフラワーライブパフォーマンスやイルミネーションなどによるオープニングセレモニー「Winter Bloom」が開催中だ。
三井物産と三井不動産による複合再開発事業で2020年2月に竣工した「Otemachi One(大手町ワン)は、「三井物産ビル」(地下5階~地上31階、高さ約160m)と「大手町ワンタワー」(地下5階~地上40階、高さ約200m)からなり、延床面積は約35万7700㎡。オフィス、ホール、カンファレンス、ホテル、飲食店、ランニングステーションなどが整備された。これに大手町ワンガーデンが加わり、全面完成を迎えた。
「より豊かに、イノベーティブに、サステナブルに」をコンセプトにした大手町ワンガーデンは、都市の喧騒から身体と心を解放させてくれるリラックス空間として、季節の移り変わりを身近に感じながら食事をしたり、木陰でビジネスミーティングをしたり、芝生でイベントを楽しんだりと、オフィスワーカーも来街者も楽しめる緑地空間を実現する。
7つのゾーンからなる同ガーデンは、約6000㎡の緑地空間を持つ。うち芝生広場を中心とした約3000㎡がイベントスペースとなり、大手町エリアで稀少なイベント対応型の広場空間が出現した。7つのゾーンにはそれぞれに特徴があり、内堀通りに面し、皇居からの人の流れを迎え入れる「ゲートウェイプラザ」にはステージやアートが設置され、イベントの中核となって人が集まる賑わいの広場となる。ゲートウェイプラザから進んで左手に「フラワーガーデン」、「サクセッションフォレスト」、「インペリアルフォレスト」が連なる。
フラワーガーデンは様々な花が咲き、季節の移り変わりを感じられるリラックス空間。紅葉中のサクセッションフォレストは木々の間に照明付きのイスとテーブルが置かれ、午後6時になるとイルミネーションが木々を彩る。ここで会話をしたり食事をとったりと、昼も夜も楽しめる。皇居の緑を借景にして植栽の連続性が感じられるつくりになっているインペリアルフォレストは、常陽樹と落葉樹の組み合わせを楽しめ、皇居との生物多様性にも対応している。
ゲートウェイプラザから進んで右手に広がるのが、芝生広場の「インペリアルグリーン」。ここでは芝生を使って多彩なイベントが開催される。オープニングセレモニー中はキッチンカーが乗り入れ、ウインターマルシェを展開。今後は芝生を利用したヨガ教室やコンサート、映画上映などが計画されている。インペリアルグリーンと並行して三井物産ビル側に面している「ENGAWAテラス」は日本固有の縁側をイメージした空間で、並んでいるベンチで休んだり食事したりできる。
同ガーデンの一番奥に広がるのが、水の流れを楽しめる水景がある「シェードガーデン・ウォーターガーデン」。建て替え前の三井物産ビルの前にあった池には、皇居からカルガモがやってきて話題になったが、ここも皇居からの動線を確保してカルガモの受け入れ態勢を整えた。
ゲートウェイプラザには、ニコライ・バーグマン氏がデザインしたフラワーディスプレイが展示されている。67個の球体を組み合わせた高さ3mのオブジェで、同ガーデンの多様性・人々・自然・感謝・特別などの想いを受け入れる場所であり、都心の中のリラックス空間であり続けたいという願いを表現した。ニコライ氏の持ち味である「どこから見ても美しく、異なる表情を楽しめる」のが特徴だ。製作期間は約1カ月、ここでの組み立てに4日間要した。
(塚井明彦)