日本SC協会、新規事業提案を募集
一般社団法人日本ショッピングセンター協会(会長 清野智氏)は、ショッピングセンター(以下SC)の未来を創造する新規事業提案コンテスト「チャレンジピッチ2023~NEXT SC~」の募集を開始した。3つのテーマで募集をかけ、「新しい価値の創出を意識したビジネスプランであること」と「将来性・実現性が高いこと」を選考基準とし、二次選考(決勝大会)となるピッチコンテストは23年1月26日に「SCビジネスフェア2023」のイベントとして併催される。
本格的なSCが日本に誕生して50年以上が経過した。その間にSCは生活者のライフスタイルの変化に柔軟に対応し、中心市街地や郊外、駅や空港、バスターミナルといった交通拠点などの多様な立地に広がり、リテールビジネスのプラットフォームとして発展を遂げてきた。
しかし、デジタル社会の急速な発展に伴い、リテールビジネスは「時間と場所の制約からの解放」、「大量情報の活用」という新たな成長機会を得てオンラインリテールの方向に進化する動きとなり、SCのプラットフォームとしての価値は相対的に低下しつつある。
こうした背景から、リテールビジネスのプラットフォームとして、また客の暮らしに寄り添う社会インフラとしての再成長を促すことを狙いに、同コンテストを開催する運びとなった。
チャレンジピッチ2023~NEXT SC~では、SCの未来を創造する新規事業提案を3つのテーマで募集する。1つ目のテーマが「新商品・新業態~新たな価値を提供する売場提案~」(カスタマー向け)。ほとんどの物がECで購入できる時代だからこそ、SCには来てもらえる価値が不可欠だ。来館する目的になるような、新たな価値提供につながる売場(テナント、ポップアップストアなど)が求められており、新商品・新業態、ポップアップ、エシカル消費、地域の隠れた逸品、医療、行政をキーワードに提案を求める。
2つ目の募集テーマは「新マーケティング・新サービス~買い物利便性向上につながる提案~」(カスタマーや地域住民向け)。デジタル化やECが伸長する中、オンラインとオフラインが融合したシームレスな購買体験が求められている。高齢化が進む日本において、特に地方のSCは来館手段の確保も課題になっていることを踏まえ、ウェアラブルデバイス、GPS、音声アシスト、AR、VR、通信サービス(Wi-Fiなど)、モビリティをキーワードに提案を募る。
3つ目は「デベロッパービジネスの革新~SC運営のイノベーション提案~」(出店者・施設運営者向け)。コロナ禍を経験したSCデベロッパービジネスは、オープンSCの減少傾向やテナント出店戦略の変化など、大きな変革期に差し掛かっている。多様な社会課題の顕在化もあり、従来の仕組みの延長線ではない変革が求められていることを踏まえ、オペレーションテック、ロジスティクス、サステナブル、人材不足、テナントリーシング、販売促進、アカウンティング、ファシリティをキーワードにNEXT SCにつながる提案を募集する。
同コンテストの応募資格は、学生、スタートアップ、企業内ベンチャーなど。選考方法は一次選考がエントリーシートとなる。基準に沿って主催者が設置する選考委員会で選考し、1テーマにつき3組(計9組)が選出される。二次選考(決勝大会)によるピッチコンテストは来年1月26日にSCビジネスフェア2023(パシフィコ横浜展示ホールC・Dプレゼンテーション会場)のイベントとして開催され、一次選考で選出された9組で行う。
1組あたりプレゼンが5分間、質疑応答が5分間の計10分間で、インセンティブとして優勝賞金30万円とSCビジネスフェア2024への出展権利のほか、事業パートナー(SC関係者)とのマッチングのチャンスもある。エントリーシート(企画書)をウェブサイトからダウンロードし、フォームから申し込む。応募締め切りは11月10日。
(塚井明彦)