近鉄百貨店が地域の生産者らと組んで開発する、独自商品の卸売が好調
近鉄百貨店が推し進める、地域の生産者らと組んで開発する独自商品の卸売が好調だ。京都府京都市の酒造メーカー・黄桜および三重県伊勢市の菓子メーカー・松屋製菓と手掛けた、酒粕を使用したソフトキャンディ「やわらかほんわり甘酒あめ」(200円)は、累計で約3万5000袋を出荷(今年6月24日時点)。成城石井やファミリーマート、北野エース、近商ストア、土産物店など全国の約200店舗で売上げを伸ばしている。今年4月下旬には、新商品としてフィナンシェと2種類の飴を追加。品揃えを増やし、卸売を強化する。
近鉄百貨店は2018年に「地域商社事業」を立ち上げ、奈良県を皮切りに和歌山県、滋賀県などの産品のブランド化、販路の拡大を目指す売場を各店に設けてきた。18年7月には奈良商工会連合会、19年3月には南都銀行と協定を締結。同月には約3100カ所の郵便局でオリジナルのカタログギフトの販売を始めるなど、百貨店の枠を越えて地域の産品や独自商品を訴求する。
昨年10月には、卸売に着手。黄桜の酒粕を用いて松屋製菓がつくるソフトキャンディを、食品スーパーやコンビニエンスストア、土産物店など全国の約200店舗に供給する。売れ行きは上々で、今年4月下旬にはラインナップを拡充。大阪府八尾市の菓子メーカー・中島大祥堂が兵庫県西宮市の酒造メーカー・大関の酒粕を使ってつくる「酒かすフィナンシェ」(166円)、松屋製菓が三重県尾鷲市の海洋深層水を結晶化した塩を用いてつくる「たべる塩あんこあめ」(200円)、同じく松尾製菓が兵庫県丹波篠山市の黒大豆が100%のきなこを使用してつくる「たべるきなごまアーモンドキャンディ」(200円)を加えた。
今後は「引き続き地域色を出しながら、お茶のセット、オリジナルのカレーなど新しい商品を開発していきたい」(近鉄百貨店)という。
地域商社事業には、「地域のメーカーの商品を、大手のメーカーや有名な産品と組み合わせ、地域の活性化、地産地消から地産外商への転換に繋げる」(近鉄百貨店)狙いがある。魅力的な商品の開発と販路の拡大を急ぎ、それを実現していく。