【インタビュー】J.フロントリテイリング 好本達也社長に聞く 長期ビジョンの骨子と完全復活に向けた重点戦略
「先義後利」に基づき企業戦略とサステナビリティ経営を一体化
J.フロントリテイリングでは、コロナ禍によって劇的に変化した環境に適応していくため、2021年度から新たな中期3カ年経営計画が始動している。19年度の連結営業利益の水準に戻し、コロナ禍からの「完全復活」と24年度以降の「再成長」への道筋をつけるための3年間になる。この策定にあたり、2030年の目指す企業像とその実現に向けた戦略の方向性を明示した。その企業像とは「こころ豊かなライフスタイルをプロデュースし、地域と共生する個性的な街づくりを行う企業グループ」である。社是「先義後利」に基づき、サステナビリティを経営の根幹に据え、社会的価値と経済的価値を両立させた事業活動によって企業像の実現を目指している。陣頭指揮を執る好本達也社長に長期ビジョンの背景と骨子、並びに完全復活に向けた重点戦略と課題について語っていただいた。
2300年程前の言葉「先義後利」は「お客様第一主義、社会への貢献」のことです
――21年度からスタートしている新たな中期経営計画を策定される際、2030年の目指す企業像と、その実現に向けた戦略の方向性を明示されました。改めて社是に基づき、サステナビリティを経営の中核に据えられています。
好本 コロナ禍の昨年はいろんなことを学びました。これまで経営活動のリスクの中にインフルエンザなどの感染症は挙げていたものの、確率的には低かった。新型コロナウイルス感染症は、想定していないリスクでしたが、今後、収束したとしても新しい感染症が起こる可能性も指摘されていますし、リスクの根幹が変わってきています。さらに気候変動、テクノロジーの進展、消費の成熟化、少子高齢化や人口減少などの問題に備えてきましたが、その変化のスピードが加速されています。
こうした取り巻く環境の変化の中で、今後10年間の経営を想定した時に、絶対にブレない部分を明確にしておかなければならないと考えました。企業には経済的価値に加え、環境、社会、人権など多くのサステナビリティに関する課題に向き合い、事業を通じて解決していく役割や責任が強く求められています。それで今後10年間、何が起きようとサステナビリティを経営の中核に据え、社会的価値と経済的価値を両立した事業活動を行っていくことを明確にして、この揺るぎない根幹を全従業員で共有していこうとしているわけです。
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