最新機器を活用し安心・安全な接客を提供する婦人インナー売場 | 阪急うめだ本店
百貨店の婦人インナー売場でも、コロナ禍で販売方法の変化を求められた。サイズの計測やフィッティングなど、密になりやすい接客方法から転換し、安心・安全を確保しつつ1人1人の顧客に合った百貨店らしい接客を各店が模索する必要がある。計測機器を導入し、ニューノーマルの接客を実践している阪急うめだ本店のインナー売場に話を聞いた。
最新機器を活用し安心・安全な接客を提供
関西最大級の品揃えを誇る阪急うめだ本店の婦人インナー売場は、新型コロナの感染拡大前と比べて客数・売上げとも約3割減で推移している。休業からじわじわと復調してきた格好だ。そのような状況でも、家ナカ需要ではブラキャミソールやノンワイヤーの着け心地が楽なブラジャーの人気が高い。また自粛期間中、体型が変化した人の買い替え需要など消費傾向に変化もあった。
インナーの接客はどうしても密になりやすいが、まずは物理的な距離を確保するため、販売員がフィッティングルームに一緒に入ることをやめた。そのうえで、着用方法や、インナーが合っているかどうかの見極めポイントをフィッティングルーム内に掲示。いわゆる“セルフフィッティング”を推進した。
そのセルフフィッティングに一役買っているのがワコールが開発した3Dスキャン機器。画面の表示に従うだけで瞬時にサイズや体型を計測してくれるもので、導入以降20代などの若い客層が増えてきているところであった。現在のソーシャルディスタンスを保たないといけない状況でも、「直接の接触がないなら」と採寸を希望する顧客に対して活用している。さらに計測では数字上のサイズだけでなく体型が可視化されるため、「お客様のサイズに対する意識が向上し、ちゃんとフィッティングして合ったサイズのブラジャーを付けようという方が増えた」(婦人肌着バイヤー兼マネージャー馬場泰世氏)というメリットもあった。
今後は阪急うめだ本店が全体で取り組むキャンペーン「GOOD for the FUTURE」で自然と共生した持続可能な社会の実現に、婦人肌着というカテゴリーからも積極的に取組み・発信を行っていく。
ワコールが独自に開発、体型データを可視化するボディスキャナー
ワコールの「3Dsmart & try」は独自に開発した3Dボディスキャナーで、計測と体型データのチェックが行えるもの。計測にかかる時間はわずか5秒。からだの周径や体積を計測し、体型の特徴を判定する。身体の約150万点を計測し、現在と過去の体型データを比較するなど、ボディラインのチェックが可能になった。
自分で画面を見て操作するため、コロナ前から「人に測ってもらうのは抵抗があったが誰にも見られることなく、ひとりで計測できるのが良かった」や「未来的な体験で、楽しかった」などの好意的な意見が多く寄せられていた。サイズ選びが重要なインナー売場において、密を避けて計測できるため、顧客も販売員も不安が軽減されている。
計測後は顧客の悩みや要望と、商品の素材や形状などの要素、さらにワコールが独自に培った接客ノウハウを学習させた接客AI(人工知能)が商品を提案することも可能。店内のタブレットで、悩みや好みのデザイン、シルエットを選択すると、計測したサイズや体型のデータと照らし、おすすめの下着を提案する。計測したデータやおすすめ商品、カウンセリングの情報は、パーソナルシートとして発行することもでき、そのサイズを見ながらECでの購入も可能とした。
現在、「3D smart & try」は全国12店舗の百貨店や直営店に設置されている。ショップリストはこちら。