LINE・ヤフー・ペイペイ、共通のマイルサービスを来春開始へ
LINE、ヤフー、ペイペイの3社は13日、マイレージ型の販促プラットフォームを来年3月に開始すると発表した。名称は「LINE・Yahoo!JAPAN・PayPay マイレージ」。特定の商品の購入額に応じてペイペイポイントが付与され、購買データに基づいた情報発信をLINEを通じて行う。3社は一体となったデジタル販促領域の開拓に注力しており、将来的には1000億円規模の売上げを目指す。
同サービスに加盟する小売店やECサイトで対象商品を購入すると、購入金額に応じてマイルが溜まる。それが一定に達するとペイペイポイントが付与される。メーカーもしくは小売としての参加が可能で、現在、メーカー側がアサヒ飲料などの大手飲料・消費財メーカー、小売店はウエルシア、サンドラッグ、オーケーストアなどが参加を公表している。
メーカーは対象商品の継続的な購買促進が期待でき、加えてオンラインとオフライン双方の購買データの入手、顧客へ継続的なアプローチも可能となる。13日の発表会でLINE社長の出澤剛氏は、「今までアナログが中心だった販売促進の『効果測定ができない』という課題を解決できる」と説明した。
ペイペイポイント以外にも特典は自由に設定でき、例えば「20本購入で1本無料」、「オリジナルグッズがもらえる」などが可能。紙やシールなどが不要で集計も自動で行われるため、販促のコスト削減となる。また、ターゲットを絞った新商品のサンプリングや、購入実績に応じて価格を変動する「ダイナミックプライシング」といった複雑な施策も実現できる。
既に花王と共同で、一定金額以上を買うと40%ポイントが付くテストマーケティングを実施しており、想定以上の数字が出ているという。
企業によるユーザーへの直接的な販促を可能にするため、参加企業のLINE公式アカウントとの連携も予定する。Zホールディングスは3社のID連携を進めており、来年3月時点でヤフーとペイペイ間の連携は「ほぼ済んでいる状態」(ヤフー小澤隆生社長)だが、LINEとの連携は23年内を予定。同サービスでの連携もそれ以降となる。
ユーザーにとっても商品単位で買うことでマイルが溜まる、キャンペーンの登録の手間が不要、自分に合った情報が届くというメリットが生まれる。小澤社長は「当サービスによって、顧客のライフタイムバリューの最大化を目指す」と語った。
同サービスの開始に伴い、メーカー、小売などの企業が参画する「LINE・Yahoo!JAPAN・PayPay販促コンソーシアム」を設立する。メーカーへのCRM機能の提供と、リアルタイムでのPOS連携の実現に向けて協議を行うもので、サービスの開始時には10社以上が参加を予定する。
5月以降には、さらなるメーカー向け販促サービスの強化として、ペイペイクーポンの新機能「商品クーポン(仮)」をリリースする。従来のクーポンは加盟店ごとだったが、商品ごとのクーポンも発行できるようになる。
ポイント経済圏を巡っては楽天グループ、NTTドコモなど各社が火花を散らしている状態だが、ペイペイ社長の中山一郎氏は「当サービスによって、ペイペイポイントの魅力を高めていく」と力を込めた。
(都築いづみ)