小田急百貨店、新宿店を10月4日に新装オープン　「ハルク」の6層・約6000㎡に

小田急百貨店は7日、10月4日に新装オープンする新宿店の概要を発表した。新宿西口ハルクの地下2階、同1階、地上1階、中2階、2階、7階の6層からなり、食品や化粧品、ラグジュアリーブランドを軸に、新宿駅周辺で働く女性を取り込む。同店は小田急電鉄と東京地下鉄を主体とする「新宿駅西口地区開発計画」に伴い、10月2日に本館の営業を終了。新宿西口ハルクの1館体制で新たなスタートを切る。売場面積は約3万㎡から約6000㎡に縮むが、食品や化粧品、ラグジュアリーブランドの売上げは新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年度（19年3月～20年2月）の水準を目指す。

改装のテーマは「Smart（スマート）」。小田急百貨店は「新宿駅利用者や来街者はもちろん、特に新宿周辺で働く女性に向けて、『私のお気に入りがある店、行きたくなる場所』となることを目指す」（原文ママ）という。

地下2階は和洋菓子を除く食品で、「西洋銀座」（新宿地区初）や「キンタン イン ザ ハウス」（同）45のショップで構成。従来の生鮮品に本館から惣菜や弁当、パンなどを移設する。12月には、新宿西口ハルクの至近で小田急グループが運営する小田急エースの北館の西側にも出店し、食品売場を広げる。

地下1階は化粧品、ネイルサロン、和洋菓子、免税・サービスカウンターからなる。化粧品と和洋菓子が隣接するのは珍しいが、特に若年層の買い回りを促す。化粧品は46のショップで51のブランドを集積。フレグランスやヘアケアなどジェンダーレスのブランドを拡充するとともに、非接触型の肌診断などコロナ禍に適したサービスも提供する。一部のショップは、卵の殻から生まれた壁紙やリサイクル素材の化粧板などを採用。環境に配慮する。

和洋菓子は25のショップで構成。化粧品売場を訪れる高感度な女性を惹き込むため、「普通の毎日をちょっと彩る“プチハレ”」をテーマに、パーソナルギフトや“自分へのご褒美”に適う商品を強化する。定期的に商品を入れ替える「おかし日和」のコーナーも開設。限定商品を販売するほか、ブランドの枠を超えたアソートも手掛ける。化粧品と同様、ロールケーキの切れ端やカヌレにクリームを注入する際にくり抜く部分を活用したティラミスを販売するなど、フードロスの削減にも取り組む。

地下1階の和洋菓子は25のショップで構成する（イメージ）

地上1階はインターナショナルブティック、アクセサリー・雑貨、ゴルフ用品、ベーカリーからなる。インターナショナルブティックは高級時計をはじめ14のブランドを編集。高級時計を1階で扱うのは珍しいが「従来の時計売場からグランドフロアに移設しショップ化することで、ブランドとしてのステータスを確立する」（小田急百貨店）狙いがある。新たに「和光サイト」（百貨店初）、時計だけでなくインテリアなども販売する「フランク ミュラー」、ブランドでは初となるレザーグッズに特化した「ジョルジオ アルマーニ」、万年筆からレザーグッズまで揃える「モンブラン」が登場する。

時計だけでなくインテリアなども販売する「フランク ミュラー」（イメージ）

ゴルフ用品やベーカリーは新宿西口ハルクの外周に路面店を出して拡大。「有賀園ゴルフ eStand＋」と「ゴントラン シェリエ」を誘致する。

中2階はゴルフウェアとカフェ。ゴルフウェアは9ブランドからなり、路面店との買い回りも促す。

2階はハンドバッグ、婦人靴、婦人服飾雑貨、ポップアップスペース。ハンドバッグは13ブランドを擁する。婦人靴は一部のコーナーで3D計測器を使用。客にフィットする靴を提案する。エスカレーターの正面に配すポップアップスペースは、2階で販売する商品に限らず、ブランドのプロモーションや歳時記などにも活用し、物販以外も行う。

7階はイベントスペース、宝飾・メガネ、ギフトサロン・商品券、学生服・ランドセル、インテリアコンサルティングカウンター、ゴルフスクールの受付、お得意様サロンなどで構成。ギフトサロンはインターネット通販と連携させ、いわゆる「eギフト」を提案したり、商品の詳細などをネット通販サイト上で紹介したりする。イベントスペースでは食品や美容、健康を軸に、特化型の食の催事、中元や歳暮のギフトセンター、バレンタインデーのイベントなどを開く。

新宿店の“新生”に当たっては、とりわけ“デジタル”の活用を本格化。新宿店での販売が終了する商品をネット通販サイトに移す、町田店や小田急百貨店ふじさわの商品を電話で注文してオンラインで決済できる「リモート注文サービス」を拡充する、外商顧客をブランドの直営店にアテンドするなどを進める。

（野間智朗）