阪急阪神百貨店、100億円超を投じて神戸阪急の約9割、高槻阪急の約65%を一新へ
阪急阪神百貨店は12日、神戸阪急と高槻阪急の大規模改装の概要を発表した。神戸阪急は全館の約9割に当たる本館1~9階と新館1~8階を、高槻阪急は全館の約65%の地下1階~地上3階および5階を、それぞれ一新する。投資額は神戸阪急が約80億円、高槻阪急が約23億円で、完成は2023年の秋を見込む。大規模改装は、ともに約20年ぶり。
神戸阪急は「神戸を愛し、神戸に愛される With KOBE 百貨店」をストアコンセプトに設定。「神戸阪急ではない、神戸の阪急になるのだ」をメッセージに掲げ、神戸市が22年度の始動を予定する三宮地区の再整備と連動しながら、大規模改装を推し進める。
その骨子は、①都市型百貨店として期待されるハレ型の品揃えの強化・拡充および今日的な時代感を捉えた高感度コンテンポラリー化、②独自性のある地域密着ライフスタイル型『神戸スタイル』ワールドの新設、③新しい発見・驚きなどの楽しさ提案の強化――からなる。
①は本館1~3階と新館1~3階を受け皿に、ラグジュアリーブランドやモードファッションを強化。化粧品や服飾雑貨の売場も新装し、四国地方や中国地方からの来店を狙う。
まず8月31日、新館1~3階に「Hankyu Mode Kobe」が誕生。約2500㎡の売場は、本館とは異なる環境でファッションからインテリア、カフェまでを揃え、“モード”を暮らしのアクセントに採り入れる「神戸流モードライフ」を提案する。
新館1階部分は「デザイナーズⅠ」と呼び、最先端のファッションとカルチャーを融合させて“五感を刺激する”サードプレイス。3ブランドで構成する。同2階部分は「デザイナーズⅡ」で、「モード&エレガンスのマリアージュ」を追求。「美」と「高い文化性」が表現され、神戸初の3ブランドを含め15ブランドからなる。同3階部分は「クリエイターズ」で、神戸初の3ブランドを含めて15ブランドで構成し、「いつ来ても新たな発見・発掘があり、高感度な神戸人とともに創りあげる、ミックス感と意外性にあふれたフロア」(原文ママ)だ。
Hankyu Mode Kobeに先駆けて6月下旬から順次、4つのラグジュアリーブランドが新館1階にオープン。それにともない、外観も刷新する。
一方の本館は、8月31日に「KOBE HANKYU BEAUTY WORLD」が登場。本館2~4階の3層に亘る約1700㎡で、核となる同2階は「ラグジュアリービューティー」として、同1階から移設する5ブランドを含めて30ブランドを集積。ブランドの枠にとらわれず、売場やデジタルでイベント、ライブ配信などを行う「ビューティーステーション」も新設する。
本館3階は「ライフスタイルビューティー」として、リラックスタイムに欠かせない国内外のバスグッズやボディコスメなどを7ブランドで揃える。同4階は8ブランドからなる「ビューティーサロン」で、ネイルやアイラッシュ、アイブロウ、シェービングなど専門性の高いメニュー、最新の美容機器とスキンケアのカウンセリングなどを通じて、客の「もっとキレイになりたい」という希望を叶える。
本館と新館が生まれ変わる8月31日には、本館2階の婦人靴とハンドバッグの売場が同3階に移り、同4階の婦人肌着売場もリニューアルする。
①は2022年度(22年4月~23年3月)中に終え、本館4~6階と8階が対象の②と本館1~8階が対象の③は23年度中を計画。②は「モノの情報発信だけでなく『洗練された華やかな暮らし』など、神戸の人の暮らしをイメージし、神戸の皆様の暮らしと共創するライフスタイル提案型の売場づくり」を進め、③は各階に情報発信拠点「パティオステージ」を新設し、「神戸エリアにおける『楽しさナンバーワン百貨店』」を目指す。
高槻阪急は「高槻暮らしを『おしゃれ』で『楽しく』『便利に』を提案するデパートメントモール」をストアコンセプトに、百貨店と専門店の強みを融合させて収益力を高める。
一連の改装は、①高槻のマーケットに即した3つのスタイルワールドを新たに構築、②郊外での暮らしに必要な生活インフラ専門店や大型専門店の拡充、③催事やイベントを中心に楽しさの提案や、地域に根差した取り組み、そして百貨店カテゴリーとして競争力のある領域の強化――が方向性だ。
①は22~23年度に順次完成させる方針で、1~3階を3つのワールドに分類して約50のブランドを新規に導入。1階は「家族や仲間との距離感が近く、近隣でのアウトドア、自宅での集いを家族・友達と楽しむ『子育てファミリーライフ』」、2階は「都会的過ぎず、でも旬は押さえた好感度の高い日常のおしゃれを楽しむ『今どき旬ファッション』」、3階は「自然を感じ、手間暇かけて日々の暮らしを丁寧に楽しむ健康志向の『大人の楽しみ』」と位置付ける。
例えば1階の子育てファミリーライフでは、ベビールームを新設するとともに、子育て中のファミリーが集える約180㎡の「たかつき けやき広場(仮称)」を象徴として23年の秋に構える。
②は地下1階~地上5階が対象で、6月に家電量販店の「ビックカメラ」を3階へ誘致。22~23年度にかけて、人気の大型専門店、最旬のファッション専門店、生活雑貨店、ドラッグストアなどを導入する。9月には、1階と2階に大型専門店が開く見通しだ。
③は2階や4階などが対象で、期間は22~23年度。百貨店に優位性があるカテゴリーでは特に「ビューティー」と「フード」に注力する。ビューティーは、化粧品売場を1階から2階に上げ、面積を1.3倍の約640㎡に拡大。約30ブランドを揃える。セミセルフ型の化粧品のセレクトショップも加える予定だ。フードは、地域の食材にフォーカスした企画を拡充。4階の催場では、地域の事業者が参画する「高槻マルシェ」、北海道物産展に代表される大型催事、専門店とコラボレーションしたアイテムセールなどを開く。
高槻阪急は大規模改装が完成する23年の秋に、名称を「高槻阪急スクエア」に変更。新たなスタートを切る。