2022年3月 SC・チェーンストア・コンビニ売上高
再びプラスに、まん防解除と好天で来館客数が回復
日本ショッピングセンター協会が調査した3月の既存SC売上高前年比は2.3%増となり、前月のマイナス(4.4%減)から再びプラスに転じた。同協会では「前半は多くの都道府県でまん延防止等重点措置による影響があったものの、22日から解除され、春休みに入るタイミングと重なったこともあり、来館者が回復し、さらに休日が前年より1日多かったこともプラス要因となった」と総括している。コロナ禍前の2019年比は15.9%減となり、前月(18.8%減)よりマイナス幅が縮小されたものの、「8掛け台」の回復水準が続いている。
テナントとキーテナントの構成別では、共にプラスに転じた。前月が4.9%減だったテナントは2.4%増。気温の上昇によって衣料や雑貨などの春物の動きが活発化したことや、スーツなどオケージョン需要も好調だった。さらにまん延防止等重点措置解除後はディナータイムの売上げが回復した飲食も好調だった。
キーテナントは1.5%増。ラグジュアリーブランドや宝飾品などが好調だった百貨店が牽引し、中心地域のSCは2桁伸長(11.7%増)。しかしながら周辺地域の郊外立地のSCはGMSやスーパーで前年のような食料品の買いだめ傾向が落ち着いたことから0.8%減だった。19年比ではキーテナントが8.0%減(前月7.7%減)で、テナントが17.5%減(同21.5%減)となっており、キーテナントの回復度が先行している。
立地別でみると、中心地域が4.8%増(前月0.4%減)となり、中でも大都市地域はキーテナント(14.9%増)が牽引して6.2%増。繁華街やオフィス街での人出が増加したためだ。対して周辺地域は1.1%増となり、前月のマイナス(6.0%減)から復調したものの、中心地域との格差が続いている。
地域別では9地区のうち、東北、関東、中部、近畿、中国、九州・沖縄の6地域が前年実績を上回った。中でも関東が4.4%増と最も高い伸長率。前年は1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)で緊急事態宣言が発出されていたが、今年はまん延防止等重点措置で制限が緩和されたことで、この地域のSCの多くが前年実績を上回ったためで、総合計のプラスに寄与した。
チェーンストア 主力の食と住の堅調持続、7カ月連続でプラス
日本チェーンストア協会が調査した3月のチェーンストア総販売額(56社・11808店)は、1兆1123億円余で、店舗数調整後の前年比は1.9%増となり、前月の伸長率(6.1%増)を下回ったものの、7カ月連続のプラスだった。前月に続き衣料品が伸び悩んだものの、売上高の約7割を占める食料品が堅調で、住関品が前月に続き好調だった。加えて主要3品目以外のサービスが前月に続き高伸長を遂げた。
同協会では「新型コロナウイルスの感染者下げ止まり傾向が続いていることもあり、内食化需要は引き続き強く食料品はまずまずの動きで、衣料品の動きは鈍かったが、住関品が堅調に推移した」と総括している。
食料品は1.2%増となり、前月(4.4%増)より伸び率は鈍化したものの、10カ月連続のプラス。惣菜と農産品が好調で、その他食品も前年実績を上回った。惣菜は4.7%増で、前月(8.7%増)の伸長率を下回るものの、食料品の5品目の中で最も高い伸長率。温惣菜では前月同様に揚げ物、中華、煮物、焼き物などが好調で、要冷惣菜は和・洋惣菜共にまずまずの動きで、弁当や寿司の動きが良かった。農産品は4.1%増となり、前月(5.0%増)に続く高伸長。玉ねぎ、大根、白菜、キャベツ、レタス、ミニトマト、スナップえんどう、アスパラガス、ピーマン、カット野菜などの動きが良かった。
住関品は5.9%増となり、前月(3.5%増)を上回る伸長率で、5カ月連続のプラス。日用雑貨が15.5%増で牽引し、前月(7.1%増)を上回る伸長率。日用雑貨ではランドセル、玩具、カードゲーム、ペーパー類、ウェットティッシュ、ラップ・ホイル類、カセットコンロ・ボンベ、防災用品、線香・ローソク、ゴミ袋などが好調だった。
サービス部門は82.0%増となり、前月(40.3%増)をさらに上回る伸長率。チケット販売、キャッシング、DPE、クリーニングなどだが、売上高構成比は0.3%とはいえ、需要の高まりが顕著だ。
対照的に衣料品は0.8%減となり、前月(9.1%減)よりもマイナス幅が小幅になったものの、伸び悩んでいる。紳士(1.6%減)、婦人(1.3%減)、その他(0.7%減)の3品目が全てマイナス。紳士では春物ジャケット、スラックス、長袖ドレスシャツ、カジュアルシャツなどが苦戦した。婦人ではスカート、シャツ・ブラウス、カジュアルシャツ、ボトムなどの動きが鈍かった。
コンビニ 平均客単価が全店・既存店共に10カ月連続増
日本フランチャイズチェーン協会が調査したコンビニエンスストアの3月売上高は、全店(7社・55912店、店舗数前年比0.2%増)が9127億円余、前年比1.7%増となり、前月(0.4%増)を上回る伸長率で、4カ月連続で前年実績を上回った。既存店は8753億円余、同1.2%増となり、前月のマイナス(0.2%減)からプラスに転じた。
同協会では「月後半の天候不良などが来店客数に影響を及ぼしたものの、カウンター商材、弁当、たばこなどが好調に推移したことから、全店、既存店共に売上高が前年を上回る結果となった」と総括している。
平均客単価が全店、既存店共に10カ月連続のプラス。全店が2.8%増の700円超(前月3.3%増、713円超)、既存店は2.7%増の703円超(同3.3%増、716円超)となり、前月に続き共に700円台を堅持した。商品別(既存店ベース)では、前月(2.1%増)に続き非食品(構成比33.0%)が3.9%増のプラスで、さらに日配食品(構成比35.8%)がプラス(0.9%増)に転じた。
一方で、来店客数は全店、既存店共に前月に続きマイナス。全店が1.1%減(2月2.8%減)、既存店は1.5%減(同3.4%減)だった。