三越日本橋本店、独自の文具売場「ステーショナリーステーション」 久菱成文堂と協業
三越日本橋本店は2月26日、本館5階に文房具売場「STATIONERY STATION(ステーショナリーステーション」を開いた。万年筆やボールペンを一堂に集めた筆記具スペースと、手紙、のし袋、カジュアルな文房具などを集めたセミセルフスペースで構成。日本橋エリアの再開発によって増加したニューファミリー層、親子三世代、文房具の愛好家など様々な層を取り込む。万年筆と筆記具の専門店「書斎館」を手掛ける久菱成文堂と共同で運営する。
同店は元々文房具売場を備えていたが、2019年9月以降は欠落していた。しかし祝儀袋やレターセットなどの需要は高く、リモデル以降も要望の声が頻繁にあったという。「当店のお客様は中元や歳暮など贈答の機会が多く、その際に直筆の手紙を添える人が少なくないため、ニーズが非常に高かった」とライフデザイングループマーチャンダイジング部寝具バス・趣味雑貨マーチャンダイザーの佐川俊氏は語る。
万年筆やインクなども熱心な愛好家がいる上、最近では「インク沼」という言葉が生まれるなど、若い世代にも人気が高まっている。同店は19年まで「万年筆祭り」という催事を毎年開催しており、それを復活させるきっかけにしたいという狙いもあった。
売場の構築には、品揃えや世界観にこだわりを持つ久菱成文堂に協力を依頼。新たなブランドとしてステーショナリーステーションを立ち上げた。コンセプトは、「人々が集まる場所に、人々が必要とするものを」。「元々STATIONは『人々が集まる場所』を、STATIONERYは『常設の場所で売られる品物』を意味しており、この2つの言葉の原点へと立ち返った」と久菱成文堂代表取締役の赤堀剛氏は説明する。品揃えや店装は久菱成文堂が担い、販売員も同社から派遣される。
ボールペンや万年筆を揃えた筆記具のエリアはセミクローズの落ち着いた雰囲気で、定番ブランドやイタリアらしい色鮮やかなブランドまで、国内外の約30ブランド、約3000種類を揃える。贈答用の購入も多いことから、価格帯別のコーナーを設け、予算が決まっている客がスムーズに探せるようにした。「最近はブランドヒストリーや機能性ではなく、デザインを決め手に買うお客様も多い」(佐川氏)ことや、フリー客の存在も踏まえ、デザイン性でも選びやすい配置にした。
専用の試筆台も2台設け、ゆったりと商品を試しながら選ぶことができる。試筆する紙は質感の異なる2種類を用意し、紙と筆の相性にこだわる人にも対応する。このスペースではイベントにも活用し、2日~15日には「文具フェア~万年筆祭り・インク沼祭り~」を開催する。
セミセルフスペースは要望の高い便箋、カード、祝儀袋に加え、文具や雑貨などを用意。重厚な雰囲気のある筆記具スペースに対して明るく開放的な雰囲気で、自由に見て回りやすい環境を整えた。近隣のワーカーやファミリー層を意識し、値頃な文具も豊富に揃える。シーズン雑貨を展開するスペースを設けたほか、常設の売場でも商品は定期的に入れ替える。