2021年11月 SC・チェーンストア・コンビニ売上高
ショッピングセンター 大都市中心に客足戻り、4カ月ぶりにプラス
日本ショッピングセンター協会が調査した11月の既存SC売上高前年比は1.3%増となり、4カ月ぶりにプラスに転じた。同協会では「前年同月よりも日曜日が1日少なかったものの、緊急事態宣言等の解除によって客足の戻りが見られた10月から、さらに回復傾向が強まった」と総括している。ただ、コロナ禍前の前々年比では9.3%減で、10月(3.9%減)よりもマイナス幅が広がっている。
構成別では、テナントが1.5%増となり、4カ月ぶりにプラスに転じた。中旬以降の気温低下もあり冬物衣料や靴、雑貨などの売れ行きが好調だった。加えて飲食のディナータイムが回復し始めたことも寄与した。一方のキーテナントは前月と同水準の0.5%増となり、2カ月連続増。引き続き百貨店が牽引した。婦人服や服飾雑貨が好調で、加えて宝飾品や美術品などの高額品が引き続き堅調だった。しかしながらコロナ禍で売上げを伸ばしていた地域密着型の中小型SCのキーテナントでは外出範囲の拡大に伴いマイナスになった食品スーパーが見受けられた。前々年比では、キーテナントが2.7%減まで復調し、対してテナントは10.7%減。前月同様にテナントの回復度が遅れている。
立地別では、中心地域が前月微減(0.3%減)から4.5%増のプラスに転じ、特に繁華街に立地する SCの来店客数が増え、大都市(5.8%増)が牽引した。ただ前々年比では16.9%減で、中都市や周辺地域よりもマイナス幅が大きい。対して周辺地域は0.0%の前年並みで、前月(1.8%減)のマイナスから復調した。前々年比では6.9%減まで戻ってきた。
業種別では、衣料品や靴、バッグなどファッションが健闘。外出機会の回復に月後半からの気温低下が重なり、冬物商品の需要が高まった。さらに出張や観光需要が戻りはじめ、地方都市のSCでは土産物に動きが見られた。飲食ではアルコール提供の再開もあり、仕事帰りや友人同士の会食利用などが増え、ディナータイムの客足が戻ってきた。
チェーンストア 3カ月連続増、主要3品目全てプラスに
日本チェーンストア協会が調査した11月のチェーンストア総販売額(56社・1万1882店)は、1兆868億円余で、店舗数調整後の前年比は2.8%増となり、前月(3.7%増)よりも伸長率は下がったものの3カ月連続のプラス。売上高の3分の2を占める食料品が引き続き堅調で、加えて衣料品と住関品もプラスに転じた。
新型コロナウイルス感染者数の減少によって行動自粛などが緩和されたため内食化需要は減少傾向にあるとはいえ、食料品は1.5%増。前月(4.1%増)よりも伸び率は下がったものの、7カ月連続増。惣菜とその他食品が牽引した。惣菜は7.1%増で、前月(8.6%増)に続き突出した伸長率。温惣菜では揚げ物、中華、焼き物などが好調で、要冷惣菜も和・洋共に好調。加えて引き続き弁当や寿司の動きも良かった。一方で農産品、水産品、畜産品は微減だった。
住関品は、前月(1.4%減)のマイナスから0.5%増のプラスに転じた。前月に続き日用雑貨(1.3%増)とその他商品(14.9%増)が堅調だった。日用雑貨では、玩具、TVゲーム、キッチンペーパー、シニア向けおむつ、台所消耗品、たばこなどの動きが良かった。その他商品では、アウトドア用品、ペット用品、スポーツウエア、小型キャリーケース、ボストンバッグなどが好調だった。対照的に前月に続き医薬・化粧品と家具・インテリアが足枷となり、前月がプラスの家電製品もマイナスに陥った。
住関品と同じく衣料品も前月(6.6%減)のマイナスから1.2%増のプラスに転じた。気温低下に伴い季節商品の一部に動きが見られ、前月に6%台のマイナスだった紳士(4.6%増)と婦人(5.6%増)が牽引した。紳士では、カジュアルパンツやアウターなどに動きが見られた。婦人では、フォーマル、ジャケット、カジュアルパンツ、ニット、アウター、ボトム、カットソーなどがまずまずの動きだった。
コンビニ 全店・既存共に2カ月連続減も、客単価は6カ月連続増
日本フランチャイズチェーン協会が調査したコンビニエンスストアの11月売上高は、前月に続き前年のGoToキャンペーンによる行楽需要の反動もあり、全店、既存店共に2カ月連続減となった。全店(7社・5万5928店、店舗数前年比0.04%増)が8774億円余、前年比1.3%減(前月0.4%減)で、既存店は8416億円余、同1.7%減(同1.1%減)だった。
来店客数も伸び悩み、全店、既存店共に4カ月連続減。全店が1.4%減(前月1.3%減)、既存店が2.0%減(同1.7%減)となり、前月よりもマイナス幅が僅かに広がった。
しかしながら平均客単価は全店、既存店共に6カ月連続でプラス。全店が0.2%増の681円超(前月0.8%増、673円超)、既存店が0.3%増の685円超(同0.5%増、676円超)となり、共に680円台の水準を堅持した。同協会では「弁当、調理麺、中華まんなどが好調に推移した」と売れ筋を総括しているが、商品別(既存店ベース)では日配食品(1.7%減)と加工食品(3.2%減)がマイナスで、対照的に非食品は3.2%増のプラスで推移し、客単価増に寄与している。