2021年9月 東京・大阪地区百貨店売上高
再びプラスに、組織顧客向け施策が奏功
東京地区百貨店(12社・24店)の9月売上高は936億円余で、前年比(店舗調整後)は0.7%増となり、6カ月ぶりのマイナスだった前月(9.1%減)から再びプラスに転じた。緊急事態宣言の延長によって入店客数は2カ月連続減の7.7%減だったものの、各社の組織顧客向け施策や催事が奏功した。ただ、消費増税前の駆け込み需要で大幅に伸びた前々年(19年)比では売上高34.6%減(前月35.5%減)、入店客数42.0%減(同49.6%減)となり、共に前月よりも改善した。
3カ月移動平均値は、1~3月12.4%減、2~4月26.5%増、3~5月63.6%増、4~6月51.3%増、5~7月16.3%増、6~8月1.5%増、7~9月0.4%増。春シーズンはコロナ禍の反動増で一気に回復に向かったものの、6月以降は回復テンポの鈍化が顕著に表われている。
売上高のうち店頭(構成比89.4%)は1.5%増となり、前月のマイナス(9.5%減)からプラスに転じた。非店頭は前月(5.6%減)と同水準の5.5%減となり、6カ月連続のマイナスだった。
商品別では、前月が全てマイナスだった主要5品目のうち食料品、雑貨、身のまわり品がプラスに転じた。最も高い伸長率だった食料品では惣菜(19.7%増)と菓子(13.6%増)が2桁増でけん引し、その他食品と共に7カ月連続増。菓子ではシルバーウィークやお彼岸、敬老の日の需要が盛り上がり、惣菜では高単価の弁当や惣菜が好調だった。
雑貨では美術・宝飾・貴金属が2桁伸長(11.0%増)し、8カ月連続増。引き続き高級時計、特選ブランドのジュエリーなどの売れ行きが好調だった。スキンケアアイテムの買い替え需要が見られた化粧品(4.7%増)も2カ月ぶりのプラスだった。
衣料品(0.8%減)は2カ月連続減だが、前月(17.7%減)と比べるとマイナス幅は大幅に改善。前月が2割近いマイナス(19.1%減)だった婦人服はプラス(1.7%増)に転じた。月前半の気温低下によりコートやジャケットなど羽織ものに動きが見られた。
主要5品目の前々年比は衣料品42.9%減(前月45.9%減)、身のまわり品38.5%減(同33.3%減)、雑貨42.5%減(同36.9%減)、家庭用品24.8%減(同26.9%減)、食料品7.3%減(同22.1%減)となっており、食料品がひと桁台まで回復したが、他の品目は6~7掛けの回復途上の段階だ。