2021年8月 SC・チェーンストア・コンビニ売上高
ショッピングセンター 再びマイナスに、19年比では約3割減
日本ショッピングセンター協会が調査した8月の既存SC売上高前年比は11.6%減となり、前月のプラス(1.1%増)から再びマイナスに戻った。前々年比では28.3%減となり、前月(16.3%減)よりもマイナス幅が広がった。同協会では「新型コロナウイルス感染症急拡大によって観光客や帰省客などが大幅に減少したこと、営業時間短縮に加え感染防止策として入館制限が求められたこと、またオリンピック・パラリンピックが無観客開催となったこと、九州北部や中国地方を中心に広範囲で記録的な大雨に見舞われ来館者減少の要因となった」と総括している。
構成別ではテナントが12.8%減(前月1.2%増)で、キーテナントが7.3%減(同0.7%増)。前々年比では順に31.2%減(前月18.3%減)と15.6%減(同8.4%減)となっており、前月よりもマイナス幅が広がった。テナント低迷の要因として、緊急事態宣言などの対象エリアの拡大によって、時短営業や酒類提供禁止の要請を受けた飲食がさらに苦戦し、外出自粛による購買モチベーションの低下が顕著になったファッションの不振が目立ったことを挙げている。ただ、シネマ、家電、生鮮食品・惣菜・テイクアウト飲食は比較的堅調な動きを見せた。
立地別では、中心地域が12.7%減(前月3.8%増)、周辺地域が11.3%減(同0.0%)。前々年比では順に38.9%減(前月25.4%減)、23.5%減(同11.9%減)となっており、中心地域の苦戦傾向が続いた。中心地域でも大都市が14%減となり、前々年比では43.4%減まで落ち込んだ。
チェーンストア 6カ月ぶりのマイナス、主力の食料品は4カ月連続増
日本チェーンストア協会が調査した8月のチェーンストア総販売額(56社・1万1850店)は、1兆1255億円余で、店舗数調整後の前年比は0.1%減となり、6カ月ぶりのマイナスに転じた。衣料品と住関品が足かせとなり、主力の食料品は農産品以外がすべてプラスで、内食化傾向が続き、4カ月連続増だった。
食料品は2.4%増で前月(4.0%増)よりも伸び率は鈍化したものの堅調な実績を遂げた。前月に続き農産品がマイナス(4.5%減)だったが、畜産品(2.3%増)、水産品(0.6%増)、惣菜(8.6%増)、その他食品(3.3%増)はプラス。惣菜では前月に続き揚げ物、中華、焼き物などの温惣菜と要冷惣菜が共に好調だった。前月がマイナスだった畜産品は牛肉、豚肉、鶏肉が好調だった。その他食品はヨーグルト、冷凍食品、練製品、カレー・シチュー類、納豆、缶詰、レトルト、カップ麺、袋麺、パスタなどが好調だった。
住関品は3.3%減となり、6カ月ぶりのマイナス。その他商品が10.6%増(前月51.9%増)と唯一プラスだったが、日用雑貨品、医薬・化粧品、家具・インテリア、家電製品がいずれも前年実績を下回った。その他商品では、アウトドア用品、トレーニングウエア、ペット用品、スポーツ自転車などが好調だった。
衣料品は天候不順の影響も大きく、前月のプラスから再びマイナスに転じ、しかも2桁減(18.8%減)を強いられた。紳士服(15.9%減)、婦人服(16.9%減)、その他(20.2%減)の3品目がいずれも2桁減だった。
コンビニ 全店・既存共に6カ月ぶりマイナス、客単価は3カ月連続増に
日本フランチャイズチェーン協会が調査したコンビニエンスストアの8月売上高は、全店、既存店共に6カ月ぶりのマイナスに転じた。全店(7社・5万5940店、店舗数前年比0.2%増)が9344億円余、前年比1.4%減(前月5.9%増)で、既存店は8972億円余、同1.9%減(同5.1%増)だった。
同協会では「緊急事態宣言などの対象区域の拡大や期間延長、全国的に降水量が多かったことなどが来店客数に影響を及ぼした」と総括している。
来店客数は全店、既存店共に5カ月ぶりのマイナス。全店が6.1%減(前月2.7%増)、既存店が6.5%減(同1.9%増)だった。
平均客単価は全店、既存店共に3カ月連続プラス。全店が4.9%増の702円超(前月3.1%増、689円超)、既存店が5.0%増の705円超(同3.1%増、692円超)。巣ごもり需要を背景に、カウンター商材、温かい調理麺、デザート、酒類などが好調に推移したため。