2024年11月19日

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オンワードHD 成長領域へ投資加速 20年度 EC1.5倍の500億円目標

国内外の不採算事業・店舗の撤退・縮小など構造改革の影響で19年度(20年2月期)に営業損失を強いられたオンワードホールディングスは、20年度(21年2月期)も引き続きグローバル事業構造改革と、「デジタル、カスタマイズ、ライフスタイル」の3領域に重点投資する成長戦略を加速させる。成長領域では特に前期に売上高300億円を突破したEC戦略の拡大を強化し、今期は5割増、500億円を目指す。国内外の構造改革では前期に続き今期も700店舗程度を閉店していく計画。新型コロナウイルス感染拡大に伴う先行き不透明感が強まる中、新たなビジネスモデルへの転換を急ぎ、再成長を図る方針だ。

 

新型コロナウイルス感染拡大の収束が不透明な中、オンワードHDの保元道宣社長は、4月13日に電話会議形式で開催した20年2月期決算説明会で、「デジタルトランスフォーメーションをあらゆる段階で推進し、販路では企画・生産機能を有する『EC事業者』であるという思いを持ってデジタル戦略を加速したい」と強調した。

 

成長戦略の要がECだ。19年度のEC売上高は30.6%増の333億円で、EC比率は13.4%まで上昇。この売上高に占める自社EC比率は85%まで高まった。自社ECは収益性が高く、顧客管理力が強いため、今後の拡大戦略の中核と位置づける。

 

今期は「EC専用商品の開発」と「新規顧客の開拓」を軸にEC拡大戦略を推進する。新型コロナの影響で3月のオンワード樫山の売上高前年比が31%減の中でもECは45%増で、EC化率も30%台まで上昇。ECの存在感が高まっており、20年度は最低でも5割増の500億円達成を目指す。中期的には1000億円を視野に、グループ売上高の半数以上を占める「EC企業」への転換を描いている。

 

成長戦略第2の柱と位置づけているのが顧客と生産工場をつなぐ「カスタマイズビジネス」で、この中核が高品質、短納期、適正価格のオーダーメイドを提供する「カシヤマ ザ・スマートテーラー」の拡大戦略だ。昨年春に中国・大連にメンズの生産工場を設け、秋に上海郊外の蘇州にレディスの生産基盤を構築した。メンズ・レディスのカジュアル、レディスシューズまでアイテムを広げており、今後はバッグの生産を予定する。リアル店舗の積極的な出店を進め、中国や米国など海外展開も視野に入れている。

 

3つ目の柱が「ライフスタイル事業」で、ビューティー、ウエルネス、ファミリーバリュー、グルメ、ギフトの領域で市場開拓を進める。19年度は総合ギフト事業の「大和」が連結に加わり、増収増益(売上高64.7%増の429億円、営業利益0.8%増の15億円)。既存のバレエ・ダンス総合ショップを運営する「チャコット」をはじめとする既存事業も堅調。今期は商品供給体制の基盤を強化し、M&Aにも積極的に取り組んでいく考えだ。