21年上期SC業界、新規オープンは11 前年比半減
一般社団法人日本ショッピングセンター協会は先頃2021年上期における新規SCのオープン状況やオープン施設の特徴、21年下期に予定されているオープンSCなどのSC業界の動向と、来年1月に開催が予定されているSCビジネスフェアとSC接客ロールプレイングコンテストの開催概要などを発表した。
21年上期(1~6月)にオープンしたSCは11(中心地域1SC・周辺地域10・平均店舗面積1万7536㎡・平均テナント数57店舗)で前年上期に比べて11少なかった。21年上期にオープンしたのは2月に①「アクロスプラザ小平」(所在地・東京都小平市、デベロッパー・大和情報サービス、店舗面積・3300㎡)、3月に②「サンリー カリーノ菊陽」(同熊本県菊池郡、同カリーノ、同2万㎡)、③「イオンタウン茨木太田(同大阪府茨木市、同イオンタウン、同1万7412㎡)、④「エトモ池上」(同東京都大田区、同東急、東急モールズデベロップメント、同4956㎡)、⑤「流山おおたかの森S・C FLAPS」(同千葉県流山市、同東神開発、同4391㎡)の4SC。
4月には⑥「日光ランドマーク」(同栃木県日光市、同ジェイピー、同3315㎡)、⑦「アミュプラザくまもと」(同熊本県熊本市、同JR熊本シティ、4万9200㎡)、⑧「GARDENS CHIHAYA」(同福岡県福岡市、同高橋、同1万2944㎡)、⑨「コピオ長房」(同東京都八王子市、同スーパーアルプス、1万283㎡)の4SC。6月に⑩「イオンモール川口」(同埼玉県川口市、同イオンモール、同5万9000㎡)と⑪「Li-Ka1920」(同鹿児島県鹿児島市、同南国殖産、南国プロパティマネジメント、同8100㎡)の2SC。
SC業界においてもコロナの影響を大きく受けており、コロナ禍にあった2020年(年間の全SCベース)は22・1%減の約24・9兆円にとどまった。21年に入ってからは1月25・2%減(19年比で26・5%減)、2月13・4%減(同16・3%減)でマイナスが続いたが、コロナによる臨時休業や営業時短などで前年の売上の落ち込みが大きかった3月~5月はプラス。3月が12・5%増(同19・1%減)、4月41・2%増(同24・8%減)、5月70・1%増(同33・2%減)。6月は再度マイナスとなり9・1%減(同23・5%減)となっている。
SCの年間の総売上高は2019年が約32兆円で0・8%増加した。コロナの影響を受けた20年は22・1%減の24・9兆円。リーマンショックがあった09年が1・3%のマイナス、東日本大震災があった11年が0・1%増で乗り切っていることからしてもコロナショックがいかに大きいかを物語っている。
日本ショッピングセンター協会では21年下期(7月~12月)にオープンするSC数が17施設あると予測している(7月14日時点のオープン予定数)。オープンが予定されているSC等の商業施設は7月に①「ウェルサイド山の手」(同山梨県甲府市、同にしきコーポレーション、同3605㎡)、②「そよら新金岡」(同大阪府堺市、同イオンリテール、同4419㎡)、③「イオンモール白山」(同石川県白山市、同イオンモール、同約7万4000㎡)、④「μPLAT神宮前」(同愛知県名古屋市、同名古屋鉄道、同6376㎡)、⑤「ビエラ小倉」(同福岡県北九州市、同JR西日本不動産開発、同約8476㎡)がオープン。今秋以降~年内にオープンが計画されているのは9月オープン予定の⑥「美ささ不動産西八王子駅前商業施設ビル」(同東京都八王子市、同美ささ不動産、同3658㎡)、10月は⑦「マルトSC関船」(同福島県いわき市、同マルトグループホールディングス他、同5854㎡)と⑧「iiaS春日井」(同愛知県春日井市、同大和ハウス工業、大和情報サービス、プライムプレイス、同約4万㎡)がオープン予定。11月オープン予定は⑨「須磨区高倉台再開発」(同兵庫県神戸市、同神鋼不動産、同2660㎡)と⑩「西神中央駅ショッピングセンター」(同兵庫県神戸市、同神戸交通振興、同約2万6500㎡)。
秋から年内には、⑪「イオンタウン能代」(同秋田県能代市、同イオンタウン、同2万4609㎡)、⑫「ライフガーデン佐倉」(同千葉県佐倉市、同ダイワロイヤル、同7763㎡)、⑬「イオンモールNagoya Noritake Garden」(同愛知県名古屋市、同イオンモール、同3万7000㎡)、⑭「ビバモール美原南インター」(同大阪府堺市、同LIXILビバ、同2万2575㎡)、⑮「セブンパーク天美」(同大阪府松原市、同セブン&アイ・クリエイトリンク、同4万5000㎡)、⑯「ノブレスパルク袋井」(同静岡県袋井市、同静岡総合不動産、同1万1972㎡)、⑰「文京ガーデン(南街区・北街区)」(同東京都文京区、同春日・後楽園駅前地区市街地再開発組合、同3545㎡)が開業する予定。
このところSCのテナントの業種別構成に変化がみられ、衣料品業種がシェアを落としているのに対し、食物販、飲食、サービスがシェアを上げている。2020年の飲食は2017年の19・2%から24・0%にアップ。食物販は18年の11・8%が21年(1~6月)には16・2%にアップ。18年に18・9%あった衣料品は21年(1~6月)に13・3%へと後退傾向がみられる。コロナによる生活様式の変化もあってSCのテナントに新たな顔ぶれも見られる。日本ショッピングセンター協会によると学習塾、買い取りショップ、カーディーラー、シェアオフィスなどの出店が目立ってきているという。21年上期にオープンしたSCでいえば、「流山おおたかの森S・C」の場合は多様なワークスタイルを実現するためのサテライト型シェアオフィスが導入され、「Li-Ka1920」にはカルチャー&ワークスタイルフロアが設けられ、そこは多目的ホールと貸し会議室や自由なワークスタイルに対応するワークラウンジも備えた多機能スペースとなっている。保育園、学習塾、クリニックなど子育てを支援するサービス機能を充実させる施設も目立ってきた。「サンリー カリーノ菊陽」の場合は保育園、児童発達支援施設、音楽教室など子育てを支えるテナントが集積され、「エトモ池上」は図書館、保育園、クリニックなどが設置され、公共機能も充実した駅ビルとなっている。
SC業界関係者が一堂に会する年に1度のイベント「SCビジネスフェア」は2020年までリアルで開催され、パシフィコ横浜で開かれた20年の同フェア(会期20年1月22日~24日・出展者数244・小間数570)には延べで5万3400人の来場があった。続く21年の同ビジネスフェア(会期21年2月9日~16日、アーカイブ公開2月18日~28日、延べ来場者数2万3666名)はコロナ禍で初のオンライン開催となった。そして第46回日本ショッピングセンター全国大会「SCビジネスフェア2022」(会期:22年1月26日~28日、会場:パシフィコ横浜 展示ホール)は商談展示会をリアル開催、セミナーをリアル(ライブ配信)とオンラインのハイブリッドで開催する予定。
また、2020年度にコロナで中止となったロールプレイングコンテストは、コロナ禍で人と人とのつながりの大切さが見直されるなか、リアル接客の重要性を改めて伝えるコンテストとして、感染防止対策を徹底して「第27回SC接客ロールプレイングコンテスト」が再開となる。パシフィコ横浜 会議センターを会場にして1月28日開催の予定。会場内の新型コロナウイルス感染対策を徹底したうえ、支部大会は無観客開催とし、全国大会は感染状況をみつつ現状では有観客開催を予定。