2024年11月19日

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静岡伊勢丹、地元の作家や天然素材の魅力を発信する売場を新設

静岡伊勢丹は3日、静岡県のクリエイターが手掛ける家具や食器、絵画などを扱う売場「OTOKURIKED(オトクリケッド)」を6階に開いた。合同会社すまうと(静岡市)と協業。有機栽培茶で知られる樽脇園(浜松市)、漆塗りの「曲げわっぱ」を販売するSHIOZAWA漆工所(牧之原市)、現代では稀少な「シャトル織機」を使って丈夫で軽くしなやかな綿シャツを打ち出すHUIS(ハウス、浜松市)など約10社から、約100SKUを揃えた。

【写真】木をはじめ、静岡県の素材が持つ心地良さを提案する

OTOKURIKEDを逆から読むとDEKIRUKOTO、すなわち「できること」で、「静岡県のクリエイターと文化が融合する魅力を発信していきたい。地元の素材を活用し、できることから1つずつ丁寧に作り上げたモノを集め、現代の生活に沿ったモダンな空間を創出する」(中田圭亮営業統括部販売戦略担当販売促進2マネージャー)という意図を込めた。約1年間を費やして計画を練り、すまうとに協力を依頼。開設にこぎ着けた。

品揃えは幅広く、季節ごとに入れ替える。オープン時は、静岡県で産出された木材「オクシズ材」を用いたベッド「FUTON」(すまうと、20万9000円)、座面の高さから幅、奥行き、ひじ掛けの高さまで選べるイス「Bone」(すまうと、38万5000円)、接着剤にも天然素材を用いる漆塗りの曲げわっぱ「お弁当箱小判」(SHIOZAWA漆工所、8800円~1万1000円)、すまうととHUISがコラボレーションした「ブラウス」(2万680円~)などを用意した。

自分好みのサイズに調整できるイス「Bone」

静岡県で産出された木材「オクシズ材」のベッド「FUTON」

接着剤まで漆を使用した、SHIOZAWA漆工所の「お弁当箱小判」

すまうととHUISがコラボした、綿100%のブラウス

メインターゲットは、30~40代。中田氏は「モノにこだわり、厳しい眼で選んで買って帰る世代であり、親和性が高い。もちろん、中心顧客であるシニア、ミセスの関心が強い『身体に合う』、『使いやすい』といったニーズも取り込める」と自信を示す。

静岡伊勢丹は数年来、地域密着戦略を推し進めてきたが、コロナ禍を機に加速。1月18日には、静岡県内の衣料品を集める売場「JIMOTO SELECTION(ジモトセレクション)」を5階にオープンした。今後も“静岡”にフォーカスして地域でのプレゼンスを高め、収益力の向上に繋げる。