資生堂、「クレ・ド・ポー ボーテ」から菌叢バランスに着目した美白美容液

2022/12/14 3:33 pm

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資生堂は2023年2月21日、「クレ・ド・ポー ボーテ」から、最先端のサイエンス研究により美白効果を進化させた美容液「セラムコンサントレエクレルシサンn」を発売する。同商品は、約1000種類の皮膚常在菌(微生物の総称)を解析したスキンマイクロバイオーム(菌叢)研究にインスパイアされ、6年ぶりにリニューアル。独自技術の「クリスタライジングパワーテクノロジー」が、“点”のアプローチでメラニンの生成を抑えてシミやそばかすを防ぎ、先進技術で開発された自然由来の成分「クリスタチューンコンプレックス」が、最新の“面”へのアプローチで肌を保湿・保護し、角層深部まで潤いを浸透させ、肌の内側から透明感を引き出す。価格は40mlで1万7600円となる。

同ブランドは誕生から今年で40周年を迎える。透明感と輝きのある肌の実現のため、シミやそばかすを予防する“点”へのアプローチだけでなく、乾燥によるくすみ印象に潤いを与える肌全体の“面”にまでアプローチすることが重要と考え、両方でアプローチする美容液を開発してきた。

リニューアルの背景について、ブランドマネージャーの渡邊恵美氏は「客を取り巻く環境の変化」を挙げる。新型コロナウイルスの流行で健康や自己免疫力向上への意識を高めた「細菌への関心」、今後も進展が予想される「スキンケア分野における肌の菌叢への注目」、肌本来の透明感やツヤを引き出し、内面から輝きを放つような肌を理想とする「美白トレンドの変化」の3つだ。

肌の菌叢構造は一人一人異なる。スライドで説明する柴垣奈佳子主任研究員

こうした背景を踏まえ、みらい開発研究所シーズ開発センター肌有用性価値開発グループの柴垣奈佳子主任研究員は、昨今注目を集めているスキンマイクロバイオーム研究に着目。新たなブライトニングケアを目指して、研究を重ねた。

これまで、くすみの原因は角層の不調や重層化、老廃物の蓄積とされていた。しかし研究の結果、肌の透明感を引き出すカギは「菌叢(きんそう)バランス」にあることを発見。さらに新たな知見として、菌叢バランスの乱れと肌の透明度の関係性についても解明した。

菌叢とは、善玉菌や悪玉菌など皮膚に存在する常在菌の集合体のこと。このうち、保湿・抗酸化成分を生成してバリア機能を強化し、肌を保護する効果の高い「表皮ブドウ球菌」に目を着けた。菌叢のバランスは一人一人異なる。表皮ブドウ球菌の割合が相対的に高い肌は、角層にくもりがない。一方、菌の割合が相対的に低い肌は、カルボニル化(真皮のタンパク質が過酸化物質などで変性し角層が黄色くくもって見えること)で肌表面がくすんだ状態となる。カルボニル化は、乾燥や大気汚染、ストレスといった外的・内的要因により菌叢バランスが乱れることで生じる。こうしたことから、柴垣研究員は「表皮ブドウ球菌を増やすことが肌に透明感を与えるカギになる」との結論を導き出した。

こうして開発された面のアプローチを叶える成分のクリスタチューンコンプレックスは、自然由来の2つの成分で生成される。1つは天然の糖であるスクロースとマルトースを縮合したバイオエコリアで、表皮ブドウ球菌の増殖を促進する効果を持つ。もう1つは国内で無農薬栽培されたユーカリの幼葉から抽出したエキスで、抗酸化効果を持つ。これを20~50代の女性に4週間使用してもらったところ、角層のカルボニル化の抑制が確認された。

点のアプローチを担うクリスタライジングパワーテクノロジーは、現行品にも配合されている美白有効成分「4MSK」と「m-トラネキサム酸」に加え、角層に含まれる残骸メラニンを剥離して除去する働きを持つ成分「トリメチルグリシン」を新たに配合し、強化した。

柴垣研究員は「今まで注目してこなかった常在菌層に着目することで、新しいスキンケア効果が期待されている。スキンマイクロバイオームを構成する微生物についても、最近の研究でわかってきた」と、手応えを掴む。

同ブランドが長年積み重ねてきた肌細胞研究は、科学的知見に基づく新しいソリューションで、客の期待に応える。

(中林桂子)

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